【ネットで話題】こんなのあり?JR東海による認知症を介護する側が賠償を負わされるリスクとは?

あまりに他人事ではないな! という鉄道事故の判決の記事を見て、先日思わずこんなツイートしたんですが、改めてブログでご紹介したいと思います。判決

JR東海の認知症の男性に対する損害賠償

2007年12月に当時91歳であった認知症の男性が、線路に入って死亡。電車が遅延した事によって、JR東海が遺族に損害賠償を求める裁判を起こしたというこのお話。当時85歳の同居していた妻がいて、判決ではこの妻が ”見守りを怠っていた” と認定。さらに ”別居していた” 長男にも、『事実上の監督者』 として、責任を負う事になりました。

この記事を書いた星正秀弁護士はまた、

『そのような場合、成年後見人などがいれば、成年後見人などが認知症の男性に代わって不法行為責任を負います(民法714条)』

『ひゃぁー』

うちの認知症の祖母が徘徊して、誤って線路に立ち入って電車を遅延させたら、成年後見人であるわたしが賠償責任を負う ということになります。なのでツイートで、

『自分も有罪になる可能性あり!!』

とつぶやいてしまいました。有罪?ちょっと変ですね、賠償責任!ってつぶやくべきでした。

今後、こういう裁判は増えるんじゃない??

認知症で徘徊というのは、よくあることです。うちの場合は祖母が子宮頸がんで入院、徘徊する場所は病院内であったので、迷惑をかける範囲は限定されていました。でも、もし線路沿いに住んでいたら、あの足腰の強かった祖母・・・絶対線路に入っちゃうな!って思います。

同居していても、遠距離介護していても、24時間監視しているのは不可能です。病院に入院していれば安心と思っていても、うちのように病院内でベットから転落して大腿骨を骨折なんてこともあります。病院内ですら、ずっと看ていることは不可能なのです。それが在宅介護だったら、もっと厳しいです。

わたしは祖母の成年後見人ですが、こんな責任も取らされるの? とちょっとびっくりしてしまいました。もちろん電車を止めるということは、たくさんの人に迷惑をかける行為なので、そうならないように家族がサポートする必要はあります。

ただ85歳の同居する妻の責任とか、別居中の長男の責任とかちょっと厳し過ぎやぁしませんかね??

認知症患者を持つ同居している家族以外にも、別居中の家族にまで責任が及ぶというこの裁判。もちろん何のケアもしてなければ、それは問題ですが、やるべきことをやっても起こりうるこの事故。みなさんどう思いますか??


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか