認知症の人のために携帯電話を購入するときの2つの注意点

祖母(89歳)と母(70歳)2人とも認知症ですが、祖母はずっと病院にいるので外に出る心配はないし、携帯電話を持たせる必要もありません。母は自分で買い物に行く日もあるし、どこかに外出して家に戻れなくなる可能性もあるので、携帯電話が必須です。

普通に考えると、GPS付き携帯電話をもたせればOK!となりますが、認知症の母と一緒に生活してみると、そんなに簡単な話じゃないことが分かってきました。

認知症で携帯電話を充電できるか?

スマートフォンは充電をまめにしないと、電池切れになります。

母に購入したdocomoのガラケーらくらくホンは、1回フル充電にすると2週間以上電池切れがありません。今は自分が実家に帰った時にフル充電して、東京に戻るという生活を繰り返しています。

携帯の契約内容はメールや留守電機能など、使わないものはすべて契約してません。ファミ割契約しているので、家族間の電話はゼロ。徹底して節約しています。

2013-08-23-16-55-08_photo
母のドコモのらくらくホン(ガラケー)

携帯を持たせたことで、何でもないときに何度も電話してくる弊害もありましたが、遠距離介護だと携帯を持たせている安心感があります。

スマホも検討しましたが、認知症になる前から使い慣れている携帯電話を使っています。ひとり暮らしで認知症の方なら、充電の習慣がないと携帯の意味もありません。充電は大切ですが、それよりもっと大切なことがあります。

携帯電話を持ち歩く習慣があるか?

そもそも認知症の家族が、携帯電話を持ち歩く習慣がありますか?

携帯電話を購入したところで、充電がきっちりできたところで、携帯を忘れず持ち歩く習慣があるかどうかにかかっています。

わたしもいろいろ認知症便利グッズを購入しては、成功と失敗を繰り返していますが、実は認知症グッズを買う前に「習慣づけ」が最も大切です。新しいものを購入しても、ある程度認知症が進行してしまっていては、逆に混乱して習慣が身につきません。

うちは認知症の疑いがあった時点で、ガラケーを買ってもたせました。外出する時は必ず、

『携帯もったー?忘れちゃだめだよー』

と毎回言うようにしています。

忘れる事も多いですが、持っていく事もあります。ここまで認知症が進行すると思っていなかったので、GPS機能なしのガラケーにしてしまったのは失敗でした。ただ、今からスマホに変更するつもりはありません。ちなみにうちの母は、

『この携帯重くて、もっていくのが大変だぁ~』

って言います。こんな軽いものを重いというなんて・・・結局面倒だから、言い訳として重いというようです。

『命に関わる事だから、必ず持って!!』

最近はこういって、携帯をもって外出させます。うちは軽度の認知症なのでまだ大丈夫ですが、これからもっと進行してしまったらと考えた時に、携帯以外のいいものを教えてもらいました!

フィリップス緊急通報サービス

遠距離介護コミュニティーNPO法人パオッコさんのパオッコサロンに行った際に教えてもらった、携帯電話ではなくペンダントタイプで安否確認ができるフィリップス緊急通報サービスがありました。(2016年にサービス終了)

このペンダントのメリットは、

・充電の必要がない
・お風呂でも使用可能
・転倒して気を失ったとしても、ペンダントが検知してくれて、自動通報してくれる

月3,980円かかるのと、フィリップスの方が駆けつけるような場合は、1回1万円とられます。加入登録料も2,000円かかります。もうちょっと安くならないかなぁと思いますが、それでも安心料と考えればいいかと。家の中の安否確認としては合格ですが、外出が厳しいようです・・・そこは携帯が必要なんですよね・・・

とても便利なペンダント、もちろんこのペンダントを首から掛けるという習慣が身につかないと、何の意味もないんです。今のうちから使った方がいいのかどうか、悩むところです。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

3件のコメント

いつも役立つ情報有り難く、クスリ(笑)と拝見しています。
さて、auのmamorinoやmi-lookと言ったGPS携帯はご存知でしょうか?
(設定次第ではau以外とも連携可)
ウチは父が若干徘徊気味なので、
mamorino3を持たせる事にしました。
今まで使っていた携帯が(高齢者用ですが)
使えなくなってきつつあり、
切り替えるなら今のうちだと、
記事にも同感しています。
どこまで使いこなせるのか、ドキドキ半分、
期待半分です。

amyさま

クスリとして頂けてうれしいです!

mamorinoとmi-look、どちらも知りませんでした。こういうのあるんですね~
うまく使いこなせるといいですね!

NHKスペシャルで認知症の行方不明が話題になりましたが、その際にツイッターでGPS靴の存在について
つぶやきました。後日、NHKを見ていると、GPS靴についてやっていたのですが、バッテリーの問題がま
だクリアになっていないそうです。

携帯を持つ習慣がどうしてもない母はとても頑固なので、記事を書いてしばらく経ちますが厳しいかなぁ
と思っています。

>管理人さま
GPS靴!いいですね!
どんどん進化してシールタイプになって、
履物やら鞄に付けられたらBESTですね。
たぶんそういう技術でできる日も近いと思っています。

父に渡したmamorino3は、小さ過ぎる!と文句タラタラ、
しかしこれも言い訳なんですよね~^^;
やっぱり機器が変わって、ビビってるようです(笑)。
まぁ、もう自らの発着信は期待せず、
居場所さえ判れば良いので、持って歩くだけで良しとしています。
通信機能のない「あんしんGPS」というのも出ていますね。
月額も数百円で運用できるようなので、
いよいよ進行したらこれにするかなぁ、と考えています。
私はdocomoとEMユーザーですが、
この分野ではauがリードしてると感じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか