認知症の人の「入れ歯」に注意!口腔カンジダに母がなりました!

認知症 口腔カンジダ

今日は自分の備忘録として記事を書きますが、離れて暮らす親が認知症で「総入れ歯」だったら読んで損はないかもしれません。

口腔ケア、口腔カンジダに関する教科書的な記事はネット上にたくさんあって、むさぼるように読みまくったのですが、「認知症」「別居介護」を合わせて語ってくれる人がおりませんでした・・・よくあることです。

ということで、実際自分でいろいろ試してみた体験談をご紹介します!

遠距離介護と相性が悪い「歯の治療」

認知症の母(73歳)は、上下総入れ歯です。一部前歯と奥歯が残っていて、そこに違和感があったようで突然こう言われました。

なんか、詰め物がとれたみたい!

口の中を見たものの、正直よく分かりません。顔や手や足はよく見ますが、口の中を見ないのでいつもと違いが分かりません。とりあえず歯医者を予約したのですが、遠距離介護と相性が悪いのが「歯医者」。1週間おきに通うので、帰京する自分がずっと通院させることができません。前回は、ヘルパーさんにも通院をお願いしました。

歯医者の予約が終わったことを母に伝えると、

前に歯医者へ行ったときね、どちら側で噛みますかと聞かれてさー。右で噛みますと言ったら、じゃぁ左は治さなくていいねと先生に言われたわよ

真顔で言う母の話を冷静に考えると、こういうことです。

「利き手はどっち、右ね・・・じゃぁ、左手は骨折したままでいいよね」
「目の調子悪いって?右目・・・・なら、左目は見えないままでいいよね」

そんな医者いたら、ぜひ会わせてほしい・・・こんなくだらないことを想像する自分もどうかしていますが、予約前日の夜はこの話を何度も何度も聞きました。「要は歯医者に行きたくない」ということですが、こんな面白い作話をしてくれたので、これでよしとしましょう!

ひとり暮らしと認知症と入れ歯

歯医者へ行って分かったことは、一部抜歯をしないと入れ歯の修理ができないということ、そして「口腔カンジダ」があるということでした。口腔カンジダについて、日本口腔外科学会の説明を引用します。

おもにカンジダ・アルビカンスという真菌(しんきん:かび)によっておこる口腔感染症です。急性型と慢性型があります。口腔粘膜の痛みや味覚障害が出ることもあります。原因:カンジダ菌は口腔内の常在菌の一種で、普段はある程度以上は菌数が増えないように他の菌と共存しています。しかし、副腎皮質ステロイド薬の投与や糖尿病、全身衰弱などにみられる免疫力の低下している状態、唾液量の減少、長期間にわたる抗菌薬の服用などにより、常在菌間のバランスが崩れ、カンジダ菌が異常に増殖し、病原性を発揮することにより発症します。
引用元:https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/(日本口腔外科学会)

うちは、歯医者ではかなり目立ちます。難病の足のせいでスリッパが履けないので、靴下のまま院内を歩きます。でもって、わたしといつも腕組みをして歩く・・・以前、認知症であることも伝えてあるので、治療の説明はすべてわたしが聞くという態勢になっています。母に説明しても、すぐ忘れちゃうので。

治療途中に先生がわたしを呼んで、口腔カンジダを見せてくれました。上あごのところに、白いカビがブワッと広がっていました。生で見ると、結構気持ち悪い・・・入れ歯をしっかり洗っていなかったことが原因と言われました。加齢、糖尿病、がん治療、口腔粘膜の損傷なども原因になります。口腔カンジダが原因で、誤嚥性肺炎になることもあるのだそう・・怖い。

結局、口の中を清潔に保つことが一番で、記事タイトル下の写真のセットを歯医者で購入しました。義歯(入れ歯)洗浄剤のデント・エラック、義歯専用ブラシ、うがい液のネオステリングリーンです。

これで口腔カンジダが治るわけですが、問題は2つ。認知症だから、こういうの普通に渡されてもなかなか覚えられないという点、そしてひとり暮らしだから、きちんと歯みがきやうがいができるかという点です。(認知症のお薬をひとりで飲めるか問題と同じですね)

独居で認知症の母が「入れ歯」のメンテナンスをできるか

母はホワイトアンドホワイトで、残った自分の歯と入れ歯の両方を磨いて終わりという口腔ケアでした。入れ歯洗浄剤も使ってなくて、結局口腔カンジダになってしまいました。普通の歯磨き粉で入れ歯を磨くと、傷がつくこともあるそうです。

購入した入れ歯洗浄剤やうがい薬を使おうとしたら、いろいろと問題がありました。誰かにに相談してみようかな・・とも思いましたが、まずは自分で考えることにしました。

義歯洗浄剤について

デント・エラック(写真左)は、1回さかさに傾けると1回分の量が出てきて、それを水150mlで溶かし、入れ歯をその中で洗浄するというものでした。実際わたしがやってみたのですが、これは母にはムリです。家を探したところ、酵素入りポリデントがあったので、それをまず使うことにしました。(昔使っていたらしいので)

母にやってもらうと、ポリデントがおせんべいの袋に入っている乾燥材(シリカゲル)と間違えて捨てそうになります。たぶんひとりなら、確実に捨てます。あと5分で洗浄が終わるのですが、その5分が待てません(脱抑制)火をつけたまま、どこかへ行ってしまう人なので、5分待つのが厳しい・・・

たしかにシリカゲルに見えなくもない・・・

寝る前に入れ歯を外してつけ置き洗いをするご家庭もあると思うのですが、調べてみると「総入れ歯」であればつけたまま寝てもいいとありました。大阪にある大前歯科医院の意見を、引用します。

当院ではなく、一般的な歯科医で作った総入れ歯の場合は、「就寝時には外してください」と言われるかもしれませんが、大前歯科医院で作る『噛み合わせをきちんと治した総入れ歯』の場合には、夜間の就寝時に外さなくても、問題のないことがほとんどです。
引用元:https://www.o-mae.com/column/002-2/

部分入れ歯は飲み込む可能性があるので外す必要があるけど、嚙み合わせがしっかりした総入れ歯は外さなくてもいいようです。うちの総入れ歯はどうか分からないのですが、母の長年の習慣が「つけたまま寝る」だったので、わたしが帰京すればその習慣に戻ることは明らかです。ということで、いいように解釈して「つけたまま」なんとかできないか考えました。

すると、こういう義歯洗浄剤がありました。

ポリデントフレッシュクレンズ

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どちらも「泡で」60秒クレンジングするというものです。チューブタイプの入れ歯用歯磨き粉だと、それで自分の歯も磨きそうなので、見た目に違う泡タイプがよく、しかも待たなくていいということでこれを使うことにしました。でも、近所で売ってないので、帰京して買います。

うがい薬問題

うがい薬って、うがい液を水で薄めてガラガラペッってやればいいのは分かります。でも、うがい薬自体を失くす、説明書を失くす、そして食後3回きっちりやらない、うがい液も水の量もてきとうになります。ひとりでやってもらうには、ハードルが高すぎます。

うがい薬の説明書・・・こんなの絶対にやらないし、紙なくす!

明治うがい薬Cというのがあって、これは薄める必要がないタイプ。見つけたときは「開発者は天才か!」と思ったのですが、口腔カンジダに効くという記述を見つけられず、これを使うのは断念しました。

【第3類医薬品】明治うがい薬C 480mL

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物理的に水がたくさん入らない小さいコップを、100円ショップで買ってきました(下の写真)。これがMaxで200ml。母には20滴たらして、コップの半分くらい水を入れてねと指導しました。現在、また張り紙を作成中・・・

日本製なのに、どこか中国で作ったキティちゃんみたいなコップ

明日帰京するので、結局3日程度しか口腔ケア指導ができません。完璧は難しいとは思いますが、明日から1週間は電話によるうがい指導をしようと思います。張り紙と電話で、どこまで頑張れるか・・・

気になる咳もこれが原因かも

母が長期で軽い咳をしていて、ずっと気になっていました。それで下記のようなこともしました。

  1. エアコンのカビが原因と考え、業者にエアコン掃除をお願いした
  2. 市販薬の風邪薬をずっと飲ませていた
  3. かかりつけ医に軽い咳が気になると伝え、診てもらった

おそらくですが、口腔カンジダのカビが咳の原因だったのかもしれません。しばらく様子を見てみます。

最後に

あんた、歯医者さんに言ってくれた、わたしの手が不自由だってこと・・

要は手が不自由だから、歯磨きが雑になりカビが生えたと手のせいにしたかったようです・・・あの、自分で歯磨きできますよね?いろいろと笑わせてくれます、同じ血が自分にも通っているんだった(笑)

今使っている歯ブラシの毛先を見たら、散る寸前のチューリップぐらい開いていて猛省しました。ごめんよ・・歯ブラシの毛先チェックは、介護の中に入ってなかったよ。これからはやるから、許してね。

今回の経験で今後やろうと思ったことは、

  1. 口腔ケアの勉強をしてみよう!(実はやろうと思ってところでした)
  2. 歯医者の定期健診を受けてもらおう!
  3. 今回の経験を、認知症で別居介護している人に知ってもらおう!(済)

虫歯がきっかけで、口腔カンジダを見つけることができてラッキーでした。気づかなかったら、誤嚥性肺炎になってたかも。家族は、割と自立できている親の口の中まで見ないかもしれませんよね。「総入れ歯」の方、要チェックですよ!

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか