認知症の親を「お父さん・お母さん」と呼ばず「名前にさん付け」で呼ぶ効果とは?

認知症 親 呼ぶ

最近の東京新聞の記事に、こんな話がありました。

「母のことを『さん付け』で呼んでいる自分を、別の自分が見ているような感覚でしょうか」。そう呼ばれた良子さんも、普段と違う感じがしたのか、機嫌が良くなることが多かったという。「お互いの気持ちを落ち着かせ、介護をスムーズにするための『ツール』として使っていました」と振り返る。
引用元:http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201711/CK2017112202000179.html

認知症介護で自分の親をお父さん、お母さんではなく、名前に「○○さん」とつけて呼ぶことで意識的に距離を置くことになり、気持ちが落ち着くのだとか。

自分の父や母を、○○さんと名前で呼ぶ方はあまりいないかもしれませんが、わたしはいつの頃からか父や母を○○さんと呼ぶようになりました。なぜかというと、単純に「恥ずかしい」からです。おそらく中学生か高校生ぐらいまでは「お父さん、お母さん」と呼べていたはずです。しかし、自分でもよくわかりませんが、いつの日からか両親、祖母ともに名前に「さん」付けで呼ぶようになっていました。

だから、この記事を目にしたとき「めっちゃわかる~」って、思ったんです。

お父さん・お母さんと呼べるのは家族の特権

自分の親をお父さん、お母さんと呼べるのは、家族だけに与えられた特権です。介護職員、医療関係者は、利用者・患者さんをお父さん、お母さんとは呼びません。

生まれたときから何十年と「お父さん、お母さん」と呼んでいますから、呼ぶたびに昔の思い出が無意識のうちに頭のどこかでよみがえっているのかもしれません。お父さん、お母さんと呼びながら、幼稚園時代の自分を思い出したり、高校時代に弁当を作ってもらったことを思い出しているのかもしれません。いい思い出も悪い思い出もひっくるめて、頭の中でグルグルといつもいつも回ります。

そんな昔の思い出と認知症になった今という現実とのギャップに、家族は落ち込んだりします。うちの場合だと、昔はちらし寿司なんて余裕で作れていたのに、今は不思議なちらし寿司もどきが出てきて、あの美しいちらし寿司はもう見ることはできないんだなぁ・・って思うこともあります。介護者はいずれ受け入れられるようになるのですが、介護初期は特にこのギャップに苦しめられます。

敢えて、「○○さん」と名前で親を呼ぶことによって、その特権から離れることができます。わたしもこの記事を読んで、確かに母と一定の距離感はあるかもなぁと思いました。わたしの呼び方はもはや親ではなく、医療・介護職の方々と同じですからね。

さらにこんな方法で親との距離感をとる方法もあるそうです。

コミュニケーションのパターンを変える方法は、さん付けで呼ぶことに限らない。例えば、語尾に「です」「ます」を付けて丁寧に話し掛けたりするのも、同様の効果が期待できるという。介護する家族が自分の感情をコントロールできれば、認知症の患者の気持ちも落ち着く。
引用元:http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201711/CK2017112202000179.html

わたしはこれはやってませんが、手法としてはすごく理解できます。

呼び方ひとつで、今までの親子関係が一時的にもリセットできるかもしれない名案とわたしは思いましたが、皆さんはいかがでしょうか?元記事は下記になります、一読してみてください!

今日もしれっと、しれっと。

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8 件のコメント

  • くどひろさん こんにちは!深夜バスの旅お疲れ様です!介護担当の方達との会話で母のことを〇〇さんと呼ぶことありますがいつもは「おばあちゃん」です。母はなぜか孫目線で私を「ママ」と呼びます。「ママ!ママ!」と呼ばれると「あたしおばあちゃんのママじゃないから!」とブチギレてます。
    たしかに さん付けだと少し冷静になれる気がしますね。これから母 そして義父 義母も〇〇さんにしてみようかな⁉︎
    新刊発売楽しみにしてます。キャンペーン頑張ってくださいね!

  • てんさま

    ありがとうございます、深夜バス・・・寝たり起きたりで3時間程度しか寝れませんでした。満席なうえに、最後の乗車だったので申し訳ない感じで狭い通路を荷物を持ちながら席まで・・・日曜日の夜は避けなければいけなかったですね。さん付けはいい距離感になっているなと、記事を見て思いました。タイミングが合うようでしたら、イベントに遊びにいらしてください!

  • くどひろ 様
    ご無沙汰していました(^^)  認知症になってしまった母を○○さんと呼ぶと一定の距離が生まれるのですね。ふむふむ参考になりました。
     うちでは母をまだ「お母さん」と呼んでいます。とりあえず私を娘だと認識できていますし、わかるうちは、と思って。

     ただ、介護者さんたちの母の呼び名が最近までバラバラでやっと統一させてもらいました。母は小さい田舎町の保育園の先生を長年していたせいで、町中の方々が「○○先生」と呼んでおり退職して20年以上経っても「○○先生」のまま。 そして、ヘルパーさんの中にもその保育園の父兄さんがいたので「○○先生」のまま。さらにコーラスサークルの仲間もヘルパーさんもいたのでその方は「名字でさん付け」。
     認知症になっていても、先生と呼ばれたりコーラスサークルの後輩だとついつい『上から目線』になって、威張り気味になってヘルパーさんを嫌な気持ちにさせてしまうのではないかと心配で、2・3か月前位に「○○子さん」で統一して読んで欲しいとお願いしました。

     呼ばれ方で、母がどう変わるかはわかりませんが、お互い穏やかに関係性を保って行けたらいいなあと思っています。

     イベントがんばってくださいね(#^^#) 用事があって行けないけど、本は買いますよ。

  • 奈都さま

    お久しぶりです。本ありがとうございます!平日昼のイベントで都合つく方は、特にブログ読者では少ないと思っています。

    なるほど先生と呼ばれると、つい上から目線になる心配・・・分かります。それわたしのことでもありまして、急に本を出してから言われたことのない「先生」と呼ばれることもあり、まったく慣れません。でも先生と呼ばれてもピンと来てないので、心配はないのですが(笑)

    先生と呼ばれたほうが、昔の仕事のイメージを取り戻してシャンとするのかも・・・とも思いました。使い分けや使いどころも大切かもしれませんね。

  • くどひろさん、こんばんは。

    呼び方では無いのですが「支配的な介護」ってありますよね。
    ご主人が奥さまの介護で「〇〇しなさい」と言う方が居て、仲良くさせて頂いてますが、毎度心が沈みます。
    「おしっこしてきなさい」「これを食べなさい」「向こうで待っていなさい」
    私がいなきゃ何もできない癖に・・等々。
    言葉とか語り口って大切です。
    ちなみに亡き実母は、そもそもあまり母親らしくない人で「ママ」の呼び名から自然と従来の母のあだ名になり
    多くの方があだ名で呼んでました、本人もそれが落ち着く様子でした。

  • 自分もてんてこ舞いさま

    おっしゃるとおり、言葉は本当に大切だと思います。この前、新しい薬剤師さんが母の前で「おかしなこと言うことありませんか?」と言ったときは、度肝を抜かれました。
    資格で人を見てはいけない、まず人間として見たあとで資格を見るようにしないといけないなぁと思いました。

  • くどひろさん、こんばんは。

    「おかしなこと言うことありませんか?」って聞いた貴方の「聞き方・資格者としての資質」のほうを
    おかしくないか?と疑いますよね。
    医療従事者から「認知症に対する誤解を解かないと」まだまだですね。
    くどひろさんに、あっちでもこっちでも、しれしれっと広報し続けて頂きましょう!
    病態が進めば勿論何事にも理解が難しくなる病気ですが、あえて私は「認知症はその時は理解出来るけど
    物事を忘れてしまう病気」とお話しするように努めてます。

  • 自分もてんてこ舞いさま

    そうですね、しれしれっと広報し続けますね。

    医療従事者がこう言ってしまうと、受け手の家族もそういうものなんだ~って、信じてしまいますからね。あ、このネタでブログ書けそうです。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護2)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父(要介護5)も別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:がんばりすぎずにしれっと認知症介護 (新日本出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか