【認知症】たまにしか会わない家族には 「異常」 が見えない

 

ここ最近のどの認知症番組の内容よりも印象に残ったのが、NHKスペシャル 「認知症行方不明1万人」 を見たあとにツイートされた きるるさん のこの言葉です。

認知症の介護をしたことのない出ていった父や、その親族から見ると

「そんなに何度も新幹線で帰省しなくてもいいんじゃないの?」
「そこまで一緒に生活しなくても、ひとりでなんとかやっていけるでしょ」

となるわけですが、このツイートがこの2つの問いの回答になっています。たまにしか会わない家族は 「異常」 が見えません。 一緒に生活してこそ分かることって、たくさんあります。

わたしの場合は、祖母の介護がきっかけで現在の体制(1か月のうち、約半分は一緒に過ごす)になっていますが、祖母が亡くなった今、一緒にいる時間を減らそう(ひとりで過ごす時間を増やそう)と数か月実験してきました。

ところが、「おやっ?」 という出来事に遭遇します。

「この妄想は、何がきっかけなんだ?」
「なんで、服薬管理が急にできなくなったんだ?」

月1回の通院にしても、一緒に生活をして起きた出来事を先生にお話しないといけないので、たまにというわけにもいきません。おそらく遠距離介護をされている多くの方は、週末のみとか月1回とかだと思うのですが、そのレベルだと変化に気づけないんです。

それだけ症状がまだ軽いという事でもあるんですが、結局は通う回数を祖母が生きている時と同じレベルの “隔週” (1週間は実家で過ごし、1週間は東京に戻ってくる)に戻します。

「この話、昨日も聞いたなぁ~」

ってことはいつものことなのですが、

「あれ?今日で2日目だぞ」 「ん?今日で5日連続、この話聞かされてるんだけど・・・」

ある程度一緒に生活してこそ、気づくことです。週末だけでは、判断ができません。今は軽度の認知症ですが、これが中等度になった時が本当の進行だと考えています。では、どこで進行を判断するかというと 「衣服」 です。

つりあいのとれない組み合わせの衣服を着始めた時、「進行したな」 って判断します。認知症の進行については、このブログの人気記事でもある下記にも書いてあります。

  アルツハイマー型認知症の 「4つの進行レベル」 とは? アルツハイマー型認知症の 「4つの進行レベル」 とは?

中等度の症状としては、買い物が一人でできない、お風呂に入らないなどもあり、これはうちは該当してます。ただ手足が不自由な母なので、認知症というよりかは、こちらがメインの理由なので、まだ 「軽度」 の認知症なのかな?と思っています。

もうひとつは時間経過です。2年~3年で次のレベルに進むのが一般的と言われています。うちは2年はないだろうな・・と思っていますが、3年はあるかもしれません。そう考えると、残された時間は短いんですよね・・・

この先認知症は進行していきます。この 「軽度」 のうちにいろいろと手を打っておけば、進行は遅くなる! と思っているので、勝負をかけてあれやこれやと試しそれをブログにも書いているんですが、一方で思うのは、

「この先さらに拘束される時間が増えるならば、今は自分優先の生活に切り替えてもいいのでは?」

と。勝負をかけるか、自分優先の生活にするか・・・いつもこの両天秤で悩むのですが、結局は天秤が平行になるような介護を選択しています、バランスよくという意味です。この選択は正しいのだろうか・・・


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか