認知症介護の悩み「車の運転を止めさせたい」をどう解決するか?

認知症 車の運転

介護系イベントに参加していて、悩みとして意外と多いなと思ったもののひとつに、

「認知症の人に車の運転を止めさせるのには、どうしたらいいか?」

というのがあります。車徘徊という場合もあります。役立つツイートがあったので、ご紹介します。

まずはこちらから。

帰省中に親御さんの物忘れがいよいよ「確定的」と感じたら、車の運転はしばらくお休みするようにお話を。車庫入れが上手にできている方でも、人身事故を起こす場合があります。受診後は医師とよく相談を。認知症の方の事故、増えています。どうぞご注意を。#認知症

satomi inoue (@satomiot) 2015, 1月 3

車の運転の変化で認知症が分かるという話は有名で、車庫入れができないとか、ウィンカーを間違える、車をこするというのが代表例です。でもこのツイート、車庫入れができていても人身事故を起こす、そういうパターンもあるんだという話です。

認知症の親御さんが、どう説得しても、車の運転をやめてくれない場合。車の鍵を隠す、ガソリンを抜く、バッテリーをあげてしまう、などの対策も有効ですが、ご家族から医師に警察への通報を依頼するのも方法です。事故を起こしてからでは遅すぎる。決断が親御さんを守ります。#認知症

— satomi inoue (@satomiot) 2016年1月24日

このツイートの関連情報として、付け加えます。意外と知られていないのが2014年6月の改正道路交通法の改正で、ポイントは3つです。②と③が使えますよね。

  1. 免許を受けようとする者等に対し、病状に関する公安委員会の質問に対し虚偽に回答した者に対する罰則
  2. 認知症等を診断した医師による任意の届出制度
  3. 認知症の疑いのある者を医師の診断までの間、暫定的に3か月の範囲で運転免許証の停止

第三者、特に権威ある医師の意見は聞いてくれるという、認知症の方もいらっしゃいますから、そういった場合は任意ですが、医師に相談してみるのも手です。

認知症のAさんに孫主催の「運転卒業式」開催。「おじいちゃん、長い間運転ご苦労様でした」と感謝状+記念品贈呈+記念写真撮影→床の間に飾る。車を売却→駐車場にご近所との歓談用ベンチ。「俺の車どうした?」と聞くたび妻は記念写真を指差し「そうだったな」と納得。一つの参考例として。#認知症

 satomi inoue (@satomiot) 2015, 1月 3

これステキな話ですよね!一番のポイントは、記念写真に残すところと、駐車場のベンチ。せっかく運転卒業式をやっても、イベント自体を忘れる可能性がありますからね。写真であっ!ベンチであっ!ってなりますよね。

免許を自主返納するともらえる「運転経歴証明書」とその特典

運転経歴証明書は、免許の有効期限内に返納した方が申請できます。更新期限が過ぎて、失効したあとはダメです。

運転経歴証明書のイメージがこちら↓
運転経歴証明書

確かに見た目が、免許証です。公的な免許証風なものに「自動車等の運転はできません」と書いてあれば、認知症の人への抑制効果にはなるかと。ちなみにこの証明書をもつと、特典がつきます。例えば、

  • 巣鴨信用金庫は運転経歴証明書所有者専用定期預金「サポート」、店頭金利+0.05%優遇
  • 東京リオネット販売:補聴器10パーセント割引
  • イオンの電子マネー「WAON」のWAONカードを無料で1枚進呈

これらは東京都の特典です。自治体によって特典内容が違うので、ご自身が住んでらっしゃるところで確認してみてください。「免許の自主返納」と各自治体名で検索すると出てきます。

特典というアメで免許証を自主返納できればいいんですが、東京都はアメがかなり小粒(笑)。また返納の勇気を称えつつ、返納 ⇒ 歩く ⇒ 体力維持&認知症予防になる というパンフレットも配布されています。

いかがでしたか?家族のいう事は聞かなくても、医師のいう事は聞くという認知症の人は多いので、2番目のツイートはかなり有効ですよね。本人のプライドを尊重する意味で3番目の運転卒業式は、神対応だと思います。

でも分からなくもないんですよ、免許返納=自分の老いを認める 作業です。人間ができた人ならば、あっさり自主返納できます。でも、困っている人の多くは、「まだまだ運転できるんじゃ!」っていう、老いが認められない人への対応ですからね。

地方だと自動車がないとつらい点、運転できないと引きこもりのきっかけになるなど課題もありますが、返納ができれば人様に迷惑をかける事は少なくともなくなります。

認知症ドライバー

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか