【高齢ドライバー事故】高速道路の逆走事故「認知症の人がほとんど」という勘違い

認知症ドライバー

高速道路で逆走したドライバーのうち、認知症の人の割合はどれくらいだと思いますか?

ちなみにわたしの当初予想は8割でした。下記はgoogleのトレンドグラフなんですが、2015年から特に高速道路の逆走事故のニュースが注目されています。

高速逆走

先日参加した介護漫画ヘルプマンの出版記念イベント。作者くさか里樹さんのお話から、8割という予想が大きな勘違いをしていたことが分かり、改めて検証してみることにしました。

くさか先生
認知症で高速道路を逆走している人は、16%なんですよ

認知症ドライバーによる暴走(だいたいニュース見出しはこうなる)がたった16%という数字を聞いて、「少なっ!」って思ったんですよ。

全国のNEXCOが発表した逆走の発生状況と原因

NEXCO(高速道路の会社)が2015年4月に発表したデータとグラフをご覧ください。
引用元:http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/head_office/h27/0428/

高速道路 逆走

まず下の円グラフ(左)を見ると、逆走してしまったドライバーの7割が65歳以上の高齢者です。(意外と若い人も多い)次に注目すべきは円グラフ(右)、認知症の “疑い” はたったの9%。むしろ気になるのは8割以上いる、その他・・・

次に逆走を発見した場所が上の棒グラフですが、半分以上がジャンクションやインターチェンジという結果です。本線上で気づくケースも相当数あるってことですよね。

プレスリリースを読んでも分からないのが、8割も占める 「その他」。この話をヘルプマンイベントで聞いたんです。

原因は高齢者ドライバーの過信

くさか先生のお話では、原因は 「高齢者ドライバーの運転技術に対する過信」 。年齢と共に身体的能力や判断力が衰えていくわけですが、それを認めたくない高齢者ドライバーが多いということです。

「わしは、まだまだ現役のドライバーじゃ!」 

別居中の父もこのタイプです。マニュアル車癖が抜けない父は、AT車を右足でアクセルを踏み、普通なら右足でブレーキを踏むところを、左足でブレーキで操作してます。助手席でゾッとしたわたしを横目に、ドライビングテクニックを自信満々に語ってました。危ねぇ~と言っても、無視です。

以前放映されたNHKクローズアップ現代でも、とんでもないグラフが紹介されました。

 

これは、自分の運転テクニックであれば、十分危険を回避できるかどうかということに関して、イエスと回答した人の割合ですが、今おっしゃられたとおり、70歳を超えるとぐんと上がってまして、75歳以上の方では、実に53%に達しているということです。(どうしてか?)これはですね、長年の経験から、交通規則よりも自分の経験則を重視してしまっているというようなことですね。引用元:http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3527_all.html

判断力がある若い人の方が自信がなく、判断力がない高齢者は自信満々って・・・

認知症ドライバーによる暴走はどこ?

わたしが認知症介護しているから、過剰に認知症ネガティブキャンペーンに反応していたのかもしれません。

でもくさか先生も驚いたってことは、世の中の多くの人が同じように考えているんじゃないかと。逆走は認知症ドライバーばかりじゃないってことですよね、むしろ多いのは認知症以外の高齢者です。

昨日、75歳以上のドライバーに対する認知症チェック体制を強化する道路交通法の改正案が成立しました。それはやるべきことなんですけど、全体の10%なんですよね・・・むしろお元気な高齢ドライバーの対策をどうするかが重要です。

ちなみに認知症と運転については、以前こんな事を書いたので、合わせて読んでみてください。

認知症 車の運転

グラフの引用元となるプレスリリースはこちらです。16%という数字は見つけられませんでしたが、ほぼ同じですよね。

今日もしれっと、しれっと。


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2件のコメント

高齢者の事故でアクセルとブレーキの踏み違えはアクセルからブレーキに足を踏み変えた時、足が衰えているためブレーキペタルにしっかりと足が掛かっていないことが分かった、ブレーキペタルの右肩に少し掛かっているだけです、アクセルからブレーキに移行する時、足がしっかり上がっていないからです、ともするとブレーキペタルに掛けた足の掛かりが少ないので滑って、その反動でまたアクセルを強く踏んでしまう、これが暴走の原因です、ですから足の衰えなのです、認知症は関係ありません、

また逆走は目の衰えです、視野が狭くなったり白内障など目が悪いから錯覚し易い、

また若い人でも目が悪くなくても錯覚起こしたり考え事をしていて逆走することもある、

またインターチェンジにも間違え易い原因がある、慣れていないインターチェンジは後ろから車が付いている場合、右か左か咄嗟に決められず間違ってしまう事もある、また若い時インターチェンジで間違って他の高速に乗って料金を損することも誰でもよくあることです、逆走と本質的には変わりありません、ですから認知症は関係ありません、

もう一つの原因は考え事をしていて少しの間逆走することもある、これは老若問わずある、

高齢者ドライバーは脳はしっかりしていても身体動作は悪くなる、だからこれまでの適性検査(反射神経等)を厳しくすれば良い、認知症検査は不要です、

単に目や足の衰えが原因なのに認知症に転嫁するのは間違いです、認知症は関係ありません、

もう一つ認知症とは無縁という証明があります、それはカーブに差しかかった時、健常者ならカーブとスピードを調整してスピードを落とすが、認知症はスピードを落とさず回るから事故を起こす、起こさないのは認知症でないからです、

認知症が運転すれば乗ってすぐ事故を起こします、だから乗れないです。

匿名さま

コメントありがとうございます。

足の上げ下げの話、確かに高齢者が家の中で転倒事故をよく起こす話ともつながります。小さな段差でも骨折したりするのですから、確かにアクセルブレーキの踏みかえは相当高い段差になるかもしれません。認知症を介護する家族としては、やはり車に乗るのは心配なので家族としての個別対策は必要かなとは思います。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか