【思った以上に緊張した】認知症とお餅のはなし

認知症とお餅

1月はお餅を食べる機会が多いかと思います。

今年は妹の嫁ぎ先で大量に餅をついたらしく、そのお裾分けをもらいました。農家のついたお餅なので、わたしも食べたくなって餅を食べることにしました。

ここからは母とわたしのもち談義をご覧ください。

くどひろ
この餅、うまいよー。今回はね、岩手産のあんこと青きな粉にしてみたよ。
あらー、おいしそうねー
くどひろ
ちゃんと噛んでよ、少しずつ飲み込むんだよ!!
分かりましたっ
くどひろ
(2回目)ちゃんと噛んでよ、少しずつ飲み込むんだよ!!
分かりましたっ
くどひろ
(3回目)ちゃんと噛んでよ、少しずつ飲み込むんだよ!!
分かりましたっ

皆さんご存知のとおり、1月は高齢者の餅の事故が多い月。嚥下機能はしっかりしている母ですが、認知症なのでわたしが言ったそばから忠告を忘れてしまいます。

母があんこ、きな粉餅を口に運ぶたびに、「ちゃんと噛んでよ」これを延々と30分以上続けました。なんという緊張の連続・・・餅ってこんなに緊張感のある食べ物か?

母はインスタントラーメンはほとんど食べませんが、たまに食べるとえらく喜びます。今回は餅だけだと足りないので、赤いきつねを作りました。

  • 餅を食べてるとき・・・緊張
  • 赤いきつねを食べているとき・・・安堵

餅を食べるときは、母を凝視。赤いきつねをすする時は、リラックスしてテレビを見る・・・そんなお昼でした。赤いきつねは久々に食べたいかなぁと思って買ったのですが、まさか安堵の時間を提供してくれるとは予想もしてませんでした(笑)

デイサービスでお雑煮が出たのですが、きっとデイ職員の皆さんはわたしと同じ思いをしながら利用者さんの食べる姿を見ているんだろうなって思いました。

認知症と餅のまとめ

  1. 餅自体は噛む回数が増えるので、脳への刺激にはなる
  2. 並行作業が苦手な認知症の方は、話しかけると気が散るので食べることに集中してもらう
  3. 誰かが必ず監視する

こんな事を考えながら、お餅と格闘しました。あとは何かあるかな・・・

ちなみに嚥下が困難な方には、株式会社ふくなおさんが出している「さっくりお餅」というのがあります。ふくなおさんって、やわらかおせちなんかもやっているんですよね。

認知症の方にとってお正月感というか、こういう行事っぽい感じって大切ですよね。嚥下機能が落ちたとしても、こういった演出はしてあげたいと思ってます。

初めてきな粉を自分で扱ってみたんですけど、思った以上に砂糖入れるんですね。母はクルミだれやゴマだれのお餅が得意でしたが、今はもうできません。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか