「24時間テレビの寄贈車両」にみる認知症の母の繊細さ

24時間テレビ

母は足が不自由なので、外を歩くときはデイ職員さんやわたしと、腕を組んでカップルのように歩きます。母と同じシャルコー・マリー・トゥース病の方は、「杖」を使って歩きますが、母は杖が嫌いです。

腕を組まない場合は、自転車を杖代わりにして歩くことができます。そうすることで、「普通に見せる」努力をしています。どういう心境かというと、

  1. 体が不自由と思われるのがイヤ(60年くらいそう思っているはず)
  2. いかにも老人のアイコンである「杖」が、イヤ

こういった「プライド」は、今後も持っていて欲しいので、尊重しています。杖も覚えて欲しいという気持ちもありますが、今はプライド優先で考えています。杖以外にも、「普通に見られたい」という思いを感じることがあります。

24時間テレビの寄贈車両におもうこと

デイサービスの送迎車には、どこにも「デイサービス」という文字がありません。母は幼少期から近所の目を「異様に」気にして育ってきた人ですから、デイサービスという文字が書いてある車両が家の前に止まることが、恥ずかしいのです。

そういう思いを聞いたとき、繊細だなぁと思いました。ただ、いつもそうでなくて、認知症の霧から晴れた瞬間に言うので、心の奥底ではそう思っていると理解しています。

先日、24時間テレビの寄贈車両での送迎のとき、わたしは「あちゃぁ~」って正直思いました。ボンネットにこれでもかっ!っていう、あの地球マークがでかでかと描かれていました。

わたしの思いとはウラハラに、母は何も言わなかったのでホッとしましたが、霧が晴れていたらどう反応したのかな?そう思いました。

24時間テレビの募金がどう使われたか、募金された方は街を走っている寄贈車両を見てきっと納得されると思います。わたしも、「こういう使われ方されるんだ」と思いながら見ていましたが、母の心の中を垣間見たときに「こう考える人もいるんだ」と、少しハッとさせられました。(寄贈車両がダメと言っているわけではありません)

母が通っている病院は、いい意味で病院らしくないです。デイサービスも同じで、どちらも街の日常に「しれっと」溶け込んでいます。デザイン的にもかっこいいし、そんな環境にいる母は稀で、恵まれていると思います。

●●病院・デイサービス●●という名称、建物を含めたそのデザイン、病院や介護施設はどこか「非日常」で特別なところであり、その「いかにも」感が母はイヤみたいです。

医師、看護師、介護職という ”人” にばかり注目が集まりますが、デザインや建物、名称など環境面も、認知症の方に大きな影響を与えていますよね。どんなにすばらしいケアが提供されていても、記憶がリセットされてしまう認知症の方は、建物の入り口で

「うわっ、病院だ」「なんだ、わたしは施設にこれから入るのか?」

って、毎回毎回思うわけですからね。小さい頃から行きたくないところという記憶が擦りこまれていますから、その雰囲気をいい意味で壊してくれるデザイン、建物、名前って、とても大切だと思います。

24時間テレビのマークも、何か「特別なもの」とわたしが感じてしまった結果、「あちゃぁ~」って思ったんでしょうね。デザイン、建物、名前などの環境も、しれっとしていたほうがいいのかな・・母の場合は、そう感じるようです。

今日もしれっと、しれっと。

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2 件のコメント

  • 施設の屋号や、競輪、宝くじ等のデザインされた車両はとてもよく目立ちますが、利用者側からすると特に最初の頃は抵抗があります。利用者本人よりも家族いや私自身に抵抗がありました。利用者の年齢にもよると思いますが利用者が若いほど近隣の目が気になります。もう数年前のことですが自分の気持ちと葛藤していた時期を思い出します。

  • 和田さま

    利用者が若いほど・・・確かにそうですよね。

    わたしはそんなに葛藤はないのですが、母はたまに葛藤があるようです。繊細ですが、その繊細さを保って欲しいとも思います。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護2)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父(要介護5)も別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:がんばりすぎずにしれっと認知症介護 (新日本出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか