介護離職を「新しいチャレンジへのきっかけ」とプラスに考えられるか?

介護離職 ホームレス きっかけ

もし1億円が手元にあって運用することになったら、まず「分散投資」が頭に浮かぶと思う。

例えば、5千万円を日本円の定期預金、3千万は株式投資、2千万は投資信託という具合だ。

なぜ分散投資をするのかというと、リスクヘッジするためだ。

一方で、ご自身の「お仕事」はどうか?

「会社勤め」だけで生計を立てている人は、1億円を株式だけに投資しているように感じることがある。

明日リストラにあったり、1か月後に介護離職することになったら、他の方法で収入をすぐ得られるようになっているだろうか?

介護離職で年収1200万からホームレスになった

東洋経済オンラインの記事で、介護離職がきっかけで年収1200万からホームレスになった人の話を読んだ。

高野さんは高校卒業後、大手百貨店で正社員として働き、管理職になってからの年収は1200万円。休日にはスキーに没頭するという絵に描いたような独身貴族。その生活が一変したのは、咽頭がんを患う父の面倒を見るために介護離職をしたことがきっかけだった。「母は病弱、6歳年上の兄は両親と折り合いが悪く家に寄りつかなかったから誰にも頼れなかった。親と同居していた自分が見るしかないと思い込んでしまいました。離職しないで済むようにさまざまな制度を使い倒せばよかったんですが、そこまで気がまわりませんでした」
引用元:http://toyokeizai.net/articles/-/202736

いろいろと気になることをお話されているのだが、

40代を過ぎてからハローワークで求職しても見合った職はみつからない。会社を辞めるといずれ後悔する

わたしなら、まず転職エージェントの利用を考える。代理人のようなもので、希望する企業との面接の調整、求人の紹介、年収の交渉、キャリアアドバイスなどを無料でしてくれる代わりに、年収の3割ほどを企業側がエージェントに払う仕組みだ。登録は無料なのだが、ある程度のキャリアがないと、登録できない。

ハローワークの求人は、転職エージェントの提供する求人と比べるとだいぶ質が落ちる。40代である程度キャリアがある場合は、ハローワークではなく、転職エージェントを使うべきだ。また友人・知人といったコネも40代は大切。次に気になったのが、こちら。

精一杯の親孝行のつもりで葬儀を執り行い、お墓を建てた。その費用は合わせて850万円。母の介護がはじまってからも想定外の出費は続いた。母は認知症の症状が出はじめ、高野さんが知らないところで、訪問販売などで布団やネックレスなど高額な商品を買い込んでいたのだ。

葬儀とお墓に850万・・・わたしなら絶対に払わない、というか払えない。精一杯の親孝行は、生きている間にしようとわたしは思う。本にも書いたが、わたしは医療も介護も先行投資派で、とにかく後悔したくないタイプ。死後に関しては、本人の遺志も尊重しつつ、できるだけ節約する。人それぞれ考えは違うと思うが、わたしはそう思った。

高野さんがホームレスになるまでのプロセスは、記事を読んでほしい。

自分の市場価値を知るということ

高野さんの年収は1200万。その額が転職市場において適正なのかということを、できれば30代のうちに確認したほうがいい。どうやって確認するかというと、「転職活動」をしてみることだ。

転職エージェントに登録して、自分のキャリア、適正年収をみてもらう。そうすると、自分の年収が他の会社より多いのか、少ないのかが分かる。自分の年収1200万が転職時の基準となるから、これより多い年収を希望して転職活動を開始する。しかし、大手百貨店の管理職ならば、一般的には年収500万(←あくまでたとえ)とエージェントや応募企業に言われ、自分の仕事や職種、業種の市場価値を知る。

そこで自分の年収が高いと分かり、今の会社で長く頑張ろうと「転職活動」を通じて気づくことができる。しかし、その会社では成果をきっちりと出し続けないといけない。じゃないと介護離職よりも前に、突然のリストラ候補になる。市場と比べて多くの年収、だけどパフォーマンスがイマイチな40代、50代ならば、真っ先にリストラ候補になってしまう。

自分の市場価値を、一度知っておくことが大切だと思う。能力と釣り合わない年収をもらっていることに気づかずに、介護離職やリストラにあったら目も当てられない。ダミーでもいいから一度転職活動をしてみて、身の丈を知ったほうがいい。

「おらおらでひとりいぐも」の若竹千佐子さん

今回の芥川賞候補になった「おらおらでひとりいぐも」の著者である若竹千佐子さんは、同郷で63歳の主婦。60歳を過ぎてから小説家デビューされている。

40代でハローワークで希望の仕事が見つからない・・確かにそういうこともあるのだけれど、若竹さんのように60歳を過ぎて小説家になる人だっている。

好奇心を失うことが、本当の老いなんだと思う。年齢とは関係なく、いくつになってもチャレンジし続ける気持ち、いろんな人に会ったりできる好奇心が大切だと思う。好奇心をもつだけでなく、行動に移せるかどうかはもっと大切。しかし、体のほうは確実に老化が始まる。精神科医の和田秀樹先生は、こう言っている。

年をとっても、すべての能力が衰えるわけではない。意外と影響がないのが一般知能で、反対に、感情をコントロールする能力は衰えやすい。これは前頭葉の機能が低下するためだ。大脳半球の前方、額の奥の辺りにある前頭葉は、理性や感情、意欲など、最も人間らしい部分を司る。だが、早ければ40〜50代で老化が始まり、60〜70代になれば、だれでも確実に機能が低下していく。その結果、次の四つの老化現象が起きる。意欲の低下、感情抑制機能の低下(理性の低下)、判断力の低下、性格の先鋭化。ここでは「意欲の低下」に焦点を当てる。前頭葉の機能が衰えてくると意欲や自発性が低下し、柔軟な発想ができなくなる。このため、これまでの経験からは判断しきれない意表を突く体験や、物事の変化を避けるようになる。しかし、それでは脳が老化する一方になってしまう。
引用元:https://www.dailyshincho.jp/article/2018/01060559/?all=1

わたしが今置かれている環境は、本当にありがたい。ブログや本で発信し続けることで、毎年変化が起きている。毎年違う人に会い、違う仕事を頂く。いつも決まった人としか仕事をしていなかった会社員時代とは、比べ物にならないくらいの刺激をもらっている。

意欲が低下して、歳をとったかな・・・と思うこともあるが、新しい刺激をもらって、自分の内に眠っていたものが呼び起こされることがよくある。意表を突く経験、変化だらけの毎日が心地いい。

いつか、介護離職者が制度などで、救われる日が来るのかもしれない。だけど、介護しているその人が、現実を受け入れて変化に対応しようと思わなければ、どんな回りのサポートも意味がない。介護保険サービスを使いこなす、自ら認知症カフェに足を運ぶ、相談相手を見つけようとする好奇心を持って行動しなければ、ただ老いるだけだ。

介護が始まったら、介護離職してしまったら、人生終了とか思わないでほしい。新しいことに強制的にチャレンジさせられるきっかけをもらったと考えて、必死にもがいてみてほしい。今だから言えること、それは「介護離職できて本当によかった」ということだ。

今日もしれっと、しれっと。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護2)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父(要介護5)も別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:がんばりすぎずにしれっと認知症介護 (新日本出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか