「親の病気で介護離職した」と面接で言った結果

親の病気 退職 理由

わたしが2007年に経験した、親の病気による介護離職から1年半のブランクを経て再就職に至るまでの話です。古い話と思われるかもしれませんが、16年経った2023年でもさほど状況は変わっていないことを最初にお伝えしておきます。

介護離職した理由は父の脳梗塞

7年勤めた会社で昇進して1年しか経ってない状態で、突然父が脳梗塞で倒れた時はびっくりしました。すぐ新幹線で岩手の病院へ駆けつけましたが、字は書けない、歩けない、自分の鼻を触ろうとしても触れず、すり抜ける。長期のリハビリ生活と介護を覚悟した瞬間でした。

わたしの家は少し面倒で、家出をしたひとり暮らしの父が倒れたという修飾がつきます。当時30代半ばだったわたしは、恥ずかしくて会社の人に本当のことを言えませんでした。

普通に考えれば母が介護をするはずですが、別居中。 だから、自分の中でやりたい事があるからと言って、会社に辞表を提出しました。友人全員にも、同じ理由を言いました。ここから人生初の遠距離介護がスタートします。

介護離職から1年半もブランクがあった

脳梗塞は早期発見だったので、半年ぐらいで父はぐんぐん回復。しゃべりはモゴモゴしているものの、日常生活ができるまでになったので、わたしはたまに父を訪れて様子を見る程度でした。

本人がリハビリに対してやる気があるのと、治してやろう!っていう意志も強く、またあまり来なくていいと言ってくれたので、負担にならず退院も早かったです。 結局、本格的に転職活動を始めたのは、会社を辞めて8か月後のことでした。

ここからさらに半年かかって、次の会社の内定をもらうのですが、さすがにブランクが1年空いた時は、

「いくら介護のための退職・離職とはいえ、このブランクで面接で通用するのか?」

常にそう思いながら、面接に行ってました。

介護離職後の面接

利用される『介護退職』というはなし という記事を以前書きましたが、介護を理由に退職する人は本当に多いです。しかもウソの理由で、介護を利用して退職する人が多いので、本当に介護を理由で辞めている人から見ると、ふざけるなってなります。

OK waveの「介護による退職・再就職について」で相談している人の回答者(採用担当者)の辛辣な言葉が、まさにそれを裏付ているので引用します。

ぶっちゃけ家族の介護で仕事を辞めましたってのは嘘のつき放題です。逆に、家族の介護でという理由でも辞める理由TOP3に入ります。そのくらいどうでもできるからです。

いえ、貴方が嘘をついているとは思っていませんがね、大人の常識として、普通家族構成にもよりますが働き盛りの子供を辞めさせてまで祖母を介護させるか?というと答えはNOです。大多数は介護施設やリハビリ施設で回復をまつのが仕事をもつ孫であり子供ですから。そのくらい仕事は大事ってことです。辞めたい理由があってついでに辞めたというのならわかるのですが、まあありえない理由だというのが採用側の常識です。すみませんね。

引用元:https://okwave.jp/qa/q7426540.html

この方は採用する側の本音を、かなりぶっちゃけてます。多かれ少なかれ採用担当者は、ウソつき介護退職者を多く目にしているわけで、こう思っている人は多いです。中にはこういう介護の大変さを理解している人事担当者もいます、決して上のような人ばかりではないです。

しかし回答の引用にある「大人の常識」と「そのくらい仕事は大事」というコメントから、介護したことない人でしょうね。わたしは、大人の常識を知らない人ということになります。

介護を理由に介護離職したと面接で言うとどうなる?

転職活動中、面接をたくさん受けましたが毎回決まって  『前の会社を辞めた理由をお聞かせください』 って聞かれます。どの会社の面接に行っても同じ事を聞かれるので、最後は職務経歴書に ”父の病気のため退職、その後回復” と回復したことまで書きました。

採用担当者はもうひとつ 『この人また父の介護を理由に退職するんじゃないの?』 と思いながら、わたしの面接をしています。『また介護が必要になるかも・・・』 というケースもあるかもしれませんが、わたしは本当に介護の必要がなかったので、『全く問題ないです!』って言ってました。

実体験として、介護を理由に退職したという理由を何十社で面接で言ってみて、それが何かマイナスになったかというとそんな事はなかったです。ウソついている人と違って、自信満々に介護状況を説明できますからね。離職期間が長くなると、再就職に不利 ってよく言いますが、介護という正当な理由の離職期間の長さは問題ない!わたしの実体験はそうでした。

もちろん書類選考でいっぱい落ちましたが、面接までいった会社の介護への反応は、まったく問題なかったです。

介護離職しない、させない

介護で苦労された経験をもつ採用担当者なら、上記抜粋コメントにはならないと思います。こういう人がいる会社では働きたくないので、そんなそぶりを面接で見せる会社があったら、こちらから辞退しますね。

30代中盤で約1年半のブランクでしたが、結局2社から内定をもらいました。今はもう40代だし、今回の遠距離介護は祖母と母の2人。今のところは余命宣告されてしまった祖母、いまならなんとかなるかもしれない認知症の母を最優先として生活を組み立てます。

わたし以外の15名の介護離職者の実例が載っているのが、下記本「介護離職しない、させない」です。一般社団法人・介護離職防止対策促進機構を立ち上げた和氣美枝さんが著者で、ご自身がヒアリングした表にはなかなか出てこない話が満載です。

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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか