介護職の人が勘違いする「介護離職ゼロは無理」を介護離職経験者が語る

介護離職ゼロ アベノミクス

今日は、安倍総理が発表した新3本の矢のひとつに含まれる 「介護離職ゼロ」 についてお話します。

介護離職経験者として、世間の人がどう感じるのかニュースやネットをみておりました。びっくりしたのが、「介護 “職” の離職ゼロ」 と思った人が異様に多かったことです。

介護職員数は、厚生労働省の推計値で約170万人(2015年)。一方の介護離職者は年間10万人と完全に少数派で、周りにもそんなにいないからでしょうか?下記のような「介護 離職ゼロ」 ツイートを、たくさん見かけました。

「介護離職」という言葉の 「本当の」 意味は、わたしのように介護をきっかけに会社を辞めざるを得なくなった人のことをいいます。介護職の方は関係ありません。

介護職の離職ゼロも考えてみる

「介護離職ゼロの前に、介護職の離職率をなんとかせい!」 「特養増やしても、働く人がいないと意味ない!」 「箱だけ増やして、税金を使うのか」

ごもっともです、その通りです。わたしは何でもダメダメ言いたくない、むしろ新しい話はありがたいと思うタイプです。だから安倍総理が、「介護離職」という言葉を口にしただけで、素直に評価します。

と同時に、会見を見て思った2つのこと、それは、

「在宅介護にシフトしていく話と、特養を増やす話がかみ合ってない」

これ、1つ目。特養が足りないのは事実で、困っている方も多いので、職員問題はあるにしても、待機している人は歓迎していると思います。2つ目に思ったことは、「特養とかそこじゃない!」 ということです。

「働き方」 に注目すべき

特養も、介護職の離職ゼロもわたしから言わせると、あとの話なんです。

以前ご紹介した、(株)明治安田生活福祉研究所が2014年11月に調査した 「仕事と介護の両立と介護離職」。その結果をもう一度ご紹介しますと、

・介護が始まって2人に1人は、1年かからずに転職や介護離職する
・介護離職の最大のきっかけは、「自分以外に介護する人がいない」

自分以外に介護する人がいない = 介護離職 って、よく見ると関係ないですよね。自分が介護することになっても、働ける環境があれば働くはず。結局、仕事との両立が難しかったり、職場の理解がなかったりすることが一番の問題です。

これを解決することが、介護離職ゼロへの一歩目になります。具体的にどうしたらいいか?

産休ぐらいの理解が、介護休にも広まるのか?

産休ぐらい、介護休も同僚や職場が理解してくれれば・・・理想論です。

3月期決算上場企業の従業員平均年齢は40.44歳。この平均年齢なら、産休は理解できます。でも介護はこれから始まるかもぐらいの年齢で、実際やってる人少ない。だから理解できないと思うんですよ、正直。

じゃあ、平均年齢の高い会社に転職すれば、介護への理解はあるか?上記調査によると、転職すると年収が減って介護時間が増えるという調査結果になっています。介護きっかけの転職は、あまりうまくいかないようです。

転職もダメ、職場の理解もない・・・となると?

働き方を多様化すべし!

産業競争力会議の資料を読むと、こう言っている方がいました。

仕事を居る時間で測る文化が未だあり、働く時間に制約があると、短時間勤務という時間を減らす制度しかない。これは考えなければいけない。短時間勤務、育児休業だけでなく、労働時間を自分で調整できる多様性がもっと必要。

労働者の8割が繁閑差が激しいサービス業で就労していることを強く意識して議論をすべき。労働時間を 1年単位でもっと柔軟性を持たせることが必要。繁閑に合わせて大胆に労働時間を増減できる制度改革が必要。
引用元:http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/0422/sankou_01.pdf

賛成です!「介護離職ゼロ」を本気で目指すなら、まずは働き方の多様化です。時間でなく成果で報酬を!

これを実現するために裁量労働制(実労働時間でなく、みなしの時間で報酬を払う)があるんですが、これ拡大しようとすると 「残業代ゼロになる!」 「ブラック企業が増える!」と大騒ぎになります。

介護離職した人から見れば、非常にありがたい制度です。しかし、こういった働き方改革、生産性アップは抵抗もあって、なかなか実現しません。そして職場の理解も進まないでしょう・・・あまりに早く帰ると、陰口叩かれたりすることもありそうです。

八方塞がりですね・・・周りが変わらないなら、自分が変わる・・・わたしが選んだ選択肢は、フリーランスです。こんな働き方している人みたことない(ブロガー)ので、みなさんも!とはとても言えません。

時間はかかりますが、ゆっくりゆっくり変わっていくと思います。そのきっかけになる会見であってほしいです。

今日もしれっと、しれっと。

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2 件のコメント

  • 介護と仕事の両立はなかなか・・・
    我が家は父も俺も介護をする為に仕事を辞めちゃいましたからね。
    自営業だったのでそれなりに融通は利きやすかったのですが、さすがに毎夜徘徊されると両親と俺の3交代でも耐えれませんでした。
    症状で肉体・精神的に追い込まれ、働けない事で経済的にも追い込まれる。
    結果、俺が選んだのは自分が働けない分お金に働いてもらう方法でしたが、それはそれで周りからは孤立するし・・・
    介護を終えた今でもどう立ち回ればよかったのか考える事があります。
    方法が無かったのか、我が家の努力・情報収集が足りなかったのかは今でも分かりませんが・・・

  • 匿名さま

    コメントありがとうございます!

    わたしは「お金に働いてもらう方法」ありだと思っていますし、むしろ賛成派です。その方法で介護を成し遂げた方を知りません、すごいです!株式投資をすると財産をすべて失うというイメージを持つ人もいますが、これも勉強ですよね。介護と仕事を両立してつぶれるくらいなら、投資の勉強をするというカードもありです。選択肢はいろいろあってしかるべきで、「仕事は絶対辞めてはいけない!」以外の意見を聞いたことがないので、いいコメント頂いたなって思いました。

    わたしもきっと孤立しているのかもしれませんが、こうやって皆さまと意見交換していますし、リアルの場でもお会いする機会も増えてきて、孤独を感じたことがありません。貴重なご意見、ありがとうございます!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ものがたり診療所もりおか地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父も、別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)