「ふつう」というコトバに苦しむ介護者たち

関西学院大学の浜田寛子さんが書いた「男性も、涙を流せる世の中へ」というコラムを読んで、「ふつう」に縛られる男女の介護者を思い浮かべました。

わたしの新刊「医者は知らない!認知症介護で倒れないための55の心得」の中で、認知症介護者を苦しめる3つのロックという心得を書きました。医療・介護職の方は「知ってる!ドラックロックとかスピーチロックとかでしょ?」というと思うのですが、わたしが考えた3つのロックなので、まったくの別モノです。

そのひとつ「常識ロック」、まわりのみんながそうしているからと考え、介護者が行動できず苦しむという話を書いたのですが、このコラムにもそういった文章がありました。

朝早く通勤電車に乗ると、乗客は男性が多いことに気付きます。狭い車内で新聞を読んだり、読書をしていたり。反対に、平日の昼間は主婦の方、とりわけ女性の姿が目立ちます。電車に乗る客層からも、まだまだ「男性=働くもの」という印象を受けます。たしかに、スーツを着てバリバリ働く男性の姿は、「かっこいい」と思います。しかし、私自身も含めて、多くの人が抱いているそのイメージが、男性自身を苦しめているかもしれません。
引用元:http://allatanys.jp/blogs/2664/

さらにこう続きます。

妻をがんで亡くし、男手一つで中学生から幼稚園まで3人の子どもを育てるため、転職し「主夫」となった44歳の男性が取り上げられています。以前勤めていた職場では「育児や家事のために仕事を制限する姿は見られたくない」と、転職したそうです。「男のプライド」がそれを許さなかった、とあります。男性自身も、「一家の大黒柱として家族を養うこと」が「男らしさの象徴」と考えているようです。
引用元:http://allatanys.jp/blogs/2664/

そっかぁ・・・男のプライドって、面倒だなぁ・・・まずこう思いました。

スーツ嫌いなわたしは、会社選びの条件として「服装自由」を優先しました。Tシャツ、ジーパン、スニーカーで会社に行ってたこともあり、きっとご近所からはフリーターと勘違いされていたことでしょう(笑)この「主夫」の男性も、仕事を制限したほうがむしろかっこいいのにと、わたしは思います。

女性はどうでしょうか?

親の世代(70代、80代)の女性像を、娘世代は押し付けられながら生きているかもしれません。バリバリ働いて、育児や家事、介護の順位を下げると、「女性らしくない」と親世代には言われてしまいます。義父や義母の面倒も、見て当たり前と言われているかもしれません。

こうやって誰もが、見えないものにロックされながら生きていますが、特に介護者はいろいろとロックされています。(他の2つのロックは、新刊でチェックしてみてください)

「ふつう」ってなに?

介護離職を2回もして、ブログや本で自分のことを公開しながら遠距離介護する40代男性って、やっぱり「ふつう」ではないようです。でも「ふつう」でないから面白いと思われて、取材が来たり、本を出版する機会に恵まれたわけです。

「コンビニ人間」を書いた、芥川賞作家の村田紗耶香さん。コンビニバイトしながら、作家であることが「ふつう」でないから面白いのです。

嫁が介護するのが「ふつう」、他人を頼らず、自分で介護するのが「ふつう」、大病院のものわすれ外来を受診するのが「ふつう」、介護と仕事を両立するのが「ふつう」、疲弊しながら介護するのが「ふつう」・・・誰が決めたんでしょうね「ふつう」って。

親族や兄妹が、ご近所が、職場の上司や同僚がつくる「他人のふつう」なんか無視して、「自分基準」を作ってその中で生きたほうがラクです。

「ふつう」や「常識」に縛られてしまう「常識ロック」は、やはり介護者を苦しめます。そういったロックは、自分でさっさと解除することで、かなりラクになります。それに「ふつう」から外れていくことで、その人の「個性」が生まれます。

わたしは介護者それぞれが、ひとつの「商品」になると思っています。たいした介護もしてないと、皆さん言うのですが、大したことしてますって。いつも「気づき」を頂きます、「そんないい方法があるんだ、知らなかった」って。それをどう使うかは、その人次第です。すごいお宝を皆さんお持ちですし、宝はお金に変わることもあります。面倒でも宝を発信しないと、「宝の持ち腐れ」になります。

周りがいう「ふつう」なんて気にせず、ご自身が考える主体的な介護を目指しましょう!わたしも最初は親族やら、なぜか家出した父やらに介護についていろいろ言われましたが、今は王様です。母の希望を叶えつつ、自分のやりたいようにやっております。

女子大生世代だと、古い男性像イメージは崩れているのかな・・と思っていたのですが、コラムを読むとそうでもないようですね。この記事の写真、何か分かりますか?芋焼酎の・・・

今日もしれっと、しれっと。

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2 件のコメント

  • 常識ロック、ありますよね。
    昨日、祖母がショートステイから帰ってきました。2度目ですが、この施設に決めたのは母とわたし。本来は祖母の意思を尊重したいところですが、時間もなくて。
    そんなため、その施設で大丈夫か心配でした。
    1度目のショートの後には、不安になったのかすごい妄想話が出てきて、父や母が困惑していました。
    なのにですよ、2度目のショートから帰ったら、ご機嫌に色々とあった事を話して、なんか嫌いと言ってた職員の方を優しいと言ったり。。。以前、祖母が働いていた職場の職員さんとも再会できたりしたようでした!!ビックリ!
    1度目のショートが終わった時に、早まらなくて良かったです(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
    そして、施設に預ける事に引け目のような気持ちになってましたけど、それも常識ロックですね。
    次のショートステイの日を楽しみにしてるように、いつお迎えが来てくれるんだっけ?と聞いてくる祖母にホッとしました。
    本人の性格などにもよりますが、介護者の負担は間違いなく軽減しますし、そこで得られる事もありますから、ショートステイを実施して良かったです。

  • アラサーちゃんさま

    おっしゃるとおり、引け目を感じる人はいらっしゃいますね。しかし、それぞれ違いますし、ご本人と介護者にハッピーであればそれでいいと考えています。抱え込んでつぶれることは、誰も得しないので、介護のアウトソースに賛成です。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ものがたり診療所もりおか地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年より悪性リンパ腫の父も、別拠点で在宅介護中。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)