母の甘酒はすでに違うものになっていたから、代わりに息子が作ってみたら・・・

小学生の頃、家で甘酒をよく飲んだ記憶がある。

極寒の盛岡で飲む甘酒は格別で、アルコールで酔っぱらったりしないか心配してた。

今は夏でも、甘酒を飲んでいる。

熱中症は認知症の症状を進行させるから、その予防もかねて、冷やし甘酒を飲んでいる。

去年同様、母が酒粕を買ってきた。(記事タイトル下の写真)

たぶん、記憶の中心が40代くらいにある母は、自分の子どもたちにあったかい甘酒を飲ませようと思って、酒粕を買ってくるんだと思う。

だけど、今の母が作る甘酒は、飲めたものではない。

例えるなら、セメントを牛乳で溶かしたような仕上がりで、とにかくドロッドロ。そのまま顔に塗ったら、お肌ツヤツヤになるレベルだ。

酒粕に水を加えればいいと思っていて、酒粕1袋を鍋に全部ブッこんでかき回す。職人さんにコテを渡したら、そのまま壁を塗ってしまうだろう。

でも、せっかく作ってくれたから、一口飲んでこう聞く。

くどひろ
これ、飲んでみぃー、どう?
いつもと同じ甘酒じゃない!

味のないもやし炒めを作ったときは、「あれ、味ないわね」って認めるのに、なぜかセメント甘酒はまずいと言わない。

本当に飲めないので、こっそり台所に捨てる。

母も、いつもと同じとか言いながら、しっかり残しているから笑える。

こんな地獄を味わいたくないので、今年は自分で甘酒を作ることにした。

料理をほとんどしない自分だが、今はクックパッド師匠という心強い味方がいる。

師匠の指示通り、酒粕に水、砂糖と塩ひとつまみを入れたら、おいしい甘酒が完成した。

くどひろ
甘酒飲む~
あら、あんた作ったの?飲む。
くどひろ
何入ってるか分かる?ポイントは、ひとつまみの塩らしいよ
なんで、塩なんかいれるの!

よく分からないけど、塩じゃないらしい・・

何が正解か聞いてみると、しょうゆを「タツっと」入れるらしい。

試しにやってみると、味に深みが出て、確かにうまい。もうおいしい甘酒は作れないのに、こういう記憶だけは残っていたりするから、面白い。

酒粕1袋(500g)は結構な量で、母と息子だけではとても減らない。

また師匠に尋ねると、水の代わりに牛乳を入れる甘酒牛乳というものがあるらしい。

試してみると、酒粕の臭みが消えて、すっきりして飲みやすい!

母も気に入ってくれた。

塩でなく、こちらにも少ししょうゆを入れたら、確かにおいしくなった。

おそらく、この冬も何度となく、酒粕を買ってくるに違いない。

母の気持ちを、ムゲにはできないから、わたしが酒粕レパートリーを増やすことにした。

甘酒プリンとかあるので、こんど試してみようと思っている。

認知症が面白いと思うのは、甘酒自体の作り方を忘れているのに、隠し味だけ忘れていないところだ。

ブログ読者の皆さまには、なんのお役立ち情報もないので、最後にひとつ。

セブンイレブン限定で、森永チョコ・ダース×甘酒バージョンが今売っている。

だめっすかね、このプチ情報。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか