介護で使うための親の財産を聞けないときの「謎解き」方法

親の財産 介護

4年間口をきいてなかった父が、この6月に悪性リンパ腫で倒れました。口をきいてないので、父の財産がどうなっているか全く分かりません。

本やブログでも書いているとおり、「お金」がどれくらいあるかで介護の内容は大きく変わります。しかし、親の財産について実は聞けずにいる・・・というご家族はかなり多いと思います。

わたしはエンディングノートを使って、あらかじめ財産状況を聞いておいたほうがいいよ!とよく記事にするのですが、これは自分が財産探しに苦労したからです。祖母の時などは、わざわざ成年後見人になって財産探しをしました。

今回の父のケースは、全くゼロからの捜索となりました。その際に、どうやって親の財産を見つけていったかについて、記事にしました。

父のマンションを捜索する際に大切なもの

肺に水がたまっていて、せき込むと辛そうな父に、あれこれ質問できる感じでもありませんでした。そこで、まず最初に調べたのが、父の家にあった「請求書やダイレクトメール」です。クレジットカードの請求書、以前契約していた保険会社からの更新のハガキ、そういったものの中に「ヒント」は眠っています。

請求書には引き落とし口座が書いてあるので、それで父のメイン口座を特定しました。請求書の明細を見て、契約している医療保険、傷害保険の状況が分かりました。どうでもいいダイレクトメールの方が多かったのですが、請求書関係は親の財産にたどりつくための、最初の一歩です。

証券会社の封筒を見つけた時は、飛び上がって喜びました。これで介護費用を捻出できる・・・すぐ株価をチェックしてみると、含み益がありました。しかし、山のような書類を探っていくと、だいぶ前に株を売却していたことが判明・・・ものすごく凹みました。

結局、請求書をきっかけに、メインの銀行口座を見つけ、通帳も探し出し、ある程度父の財産の流れを把握できました。年金についても支給額の通知ハガキを見つけたので、いくらもらっているかをチェックして、今後の介護費用を考えました。ダイレクトメールも、以前買っていたものや契約していたもののヒントにはなります。

結局、3日くらい捜索して書類を読み込んだ結果、概ね父の財産について把握できました。在宅療養中の父に確認を取ると、ほぼ正解でした。

非情と思われるかもしれませんが、余命宣告されたとしても、わたしは平気でお金の質問をします。結局、あとで大変になるのは、残された人たちだからです。「あの時、聞いておけば・・・」そう思いたくないので、情に流されず「しれっと」遂行しています。延命治療をするかどうか、お墓、葬儀についても、すでに本人の意思を確認しています。

お金がない時の次の策「リバースモーゲージ」

「父の介護は、父のお金でやる」

と決めています。わたしはフリーランスで収入が不安定なので、緊急事態までは1円も出しません。その代わり、知恵はめっちゃ出します。その一つとして考え始めているのが「リバースモーゲージ」です。

リバースモーゲージとは、自宅(持ち家)を担保にして、そこに住み続けながら金融機関から融資を受けられる主にシニア層向けの融資制度です。死亡後は自宅を売却して、その代金を融資の一括返済に充てます。1980年代に一部の自治体が始めた融資制度が日本における最初のリバースモーゲージといわれていますが、近年、高齢化や長寿化を受けた「老後の住まいの有効活用」の観点から再度大きく注目されています。
引用元:http://www.joyobank.co.jp/woman/column/201612_03.html(常陽銀行)

父はお金はありませんが、唯一マンションがあります。首都圏ならこんな時「リバースモーゲージ」を利用するのですが、岩手で調べてもなさそうです。ちなみに公的なリバースモーゲージと言われる「長期生活支援資金貸付制度」はあるので、この線で介護費用を捻出できるか、これから動いてみます。ただ築30年以上のボロマンションは、厳しいかな・・・

こういった作業が面倒で嫌ならば、やはり「エンディングノート」を書いてもらっておいたほうがいいです。わたしはこういうことが好きなので、あまり苦になりません。

まさか、人生で2度もダイレクトメールや請求書で親や祖母の財産探しをすることになるとは・・「請求書やダイレクトメール」はお金の流れを特定するのに使えるので、捨てずに取っておいてくださいね。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか