「認知症の親と同居を決断する」前に知っておいて欲しいこと

「認知症の親を東京へ呼び寄せる」 絶対反対!な3つの理由とは? という記事を以前書きました。3つの理由とは、

1.新しい土地で生活していく精神的負担
2.介護サービス上の不利を強いられる
3.自分自身の負荷が高まる

という話だったのですが、最近の認知症の母(70歳)の行動を見て、確信に変わりました。遠距離介護で呼び寄せを検討している方は、我が家の例も参考にしてみてください。

ガスレンジが覚えられない

まずは8年間使い続けたガスレンジです。赤枠の右側コンロを着火するには、下の赤枠のスイッチを押す必要があります。ポイントは右から2番目のスイッチを押すと、右側コンロが着火するということです。

ガスレンジ

2014年1月末に購入した新しいガスレンジがこちらです。メーカーも同じ、スイッチの扱い方も限りなく旧タイプに近いものを選んで購入しました。赤枠の右側コンロを着火するには、1番右のスイッチを押すと着火します。

ガスレンジ

2つの写真、何が違うかってスイッチの位置がテレコになっている・・・ただそれだけです。
母は料理ができるのでこの3か月間、1日3回朝昼夜と、このガスレンジを使ってます。30日×3回で最低90回はスイッチONしてます。着けたり消したりするので、この3倍近くはスイッチをONしているんですが、

3か月経っても、覚えられない!

んです。

朝も間違い、昼も間違い、夜も間違います。そして母は、

「新しいガスレンジは、使いづらい!」

と1日3回言ってます。わたしは 「慣れないからね、しょうがないねー」 を、1日3回言ってます。ヘルパーさんや看護師さんが変わっても若干パニックになりますが、最も使用頻度の高いガスレンジが3か月経っても覚えられないのは、正直ショックでした。(いつ頃、覚えてくれるかなー)

さらに食器棚を替えたという話も、先日記事にしました。こちらの写真の食器棚は30年以上使っていたものです。

20140211_200326

新しい食器棚が来て1ヶ月経過しますが、スプーンを取り出すのに一発で引き出しが当てられません。いくつかの引き出しを開けて、やっと見つかるという感じです。

どちらも認知症の軽度のうちならば、早く変更すれば覚えてくれるのでは? という思いで、早めに変更したんですがそれでもだめです。

何が言いたいかというと、

「わずかこれだけの変化に対応できないのに、住む場所が変わって何もかも変わってしまったら、認知症の人にとってそこは異次元の世界でしかない」

ということです。トイレの場所、電化製品の使い方、食器の位置、お風呂を沸かす・・・・日々やらないといけない事はたくさんあります。最も怖いのは、環境に順応できずに最終的に何もしなくなることです。何もしないので、当然認知症は悪化します。

うちはピック病と診断されているので、変化に弱いので特にそうなのかもしれません。子供として、心配だから近くに住まわせたいと思う気持ちはすごくよく分かります。でもそれは認知症の人にとって、ベストなんでしょうか?ひょっとしたら、呼び寄せは自己満足なのかもしれませんよ。

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8 件のコメント

  • ホームを選ぶ時の場所は、住み慣れた土地である必要があるでしょうか。

  • Mさま

    「回想法」から考えると、今後施設を利用する場合でも住み慣れた土地にわたしはします。

    ヘルパーさんや看護師さん、他の同居者の ”なまり” とか、同年代で繰り広げられる土地勘のある
    会話が(どこの学校に行ってたとか)、昔を思い出させる(=回想法)ことになるからです。認知
    症にとって、回想法は重要と思っています。

  • ご助言ありがとうございました。いつまで一人暮らしが出来るか考えながらの日々です。
    私の在住地、母の生まれ育った故郷(母の親族は全て故郷に)、母の現住所(過去30年在住)が皆違う土地であります。
    私の家には何度も行き来していますが、母は馴染めず完全拒否。
    今は、母の故郷か、母の現在住地かと思っています。
    過去30年の思いでか、生まれ故郷の思い出か。。。
    難題です。

  • はじめまして。私は認知症の親を呼び寄せて同居介護生活を続けています。奇しくもスタートは40歳でした!
    認知症の人が新しいコトモノバショに適応しにくいのはおおむねその通りだと思います。うちの場合もそうです。
    でも全てが全てでもありませんし、適応しにくさを補完する方法を”開発”して解決するできることもあります。
    なにより新しいことは刺激になるので、プラスに働けば進行防止として作用する可能性もあるかと。
    特に、私も当初はそうでしたが、覚えられないこと/間違うことetcをダメなこととしてのみとらえると、介護者も当事者も行き詰まっていく一方になるように思います。

  • Mさま

    わたしもいつまで一人暮らしができるか、いつも考えています。
    ブログに書いている体験談のすべては、1日でも長く自宅で1人で暮らしていけるために試しています。これは本当に難しい選択ですね。親族との距離感次第かもしれませんね。いつも様子を見にきてくれる親族ならいいですよね。そんなに来てくれない感じならば、ヘルパーさんやケアマネさんをフル活用して現在地にわたしならすると思います。

  • 湯葉さま

    コメントありがとうございます!

    いつも悩むのが、現状維持 or 変化で刺激を与える このバランスです。湯葉さまの言うとおり、現状維持だらけではだめですよね。という事でうちはピーク時は週2回外食に連れて行って、刺激を与えるようにしてます。うちはピック病というのもあり、時刻表通りに行動する事をよしとしていて、特に変化に弱い認知症です。そのかわり家の中のものは、現状維持という方法です。

  • うちの食器棚は張り紙だらけです・・・w 透明なとこはともかく、引き出しにはだいたい張り紙してアリます。「スプーン」とか「フォーク」とか。「入れる場所を決めておこう」という体裁で貼っています。
    まあ一番問題なのは透明なとこなんですけどね。入るところに手当たり次第いれてしまうので一緒に使っているとイライラしますねー。

  • syumitektさま

    やっぱ張り紙なんですよね。うちの場合はヘルパーさんやめったにこないお客様に張り紙を見られるのがいやで、剥がしてしまいますwwww ということで、好きにさせています。ひとり暮らしだから問題ないかなぁ~と。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ものがたり診療所もりおか地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父も、別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)