認知症の母が帰京のとき、手を振って見送る姿にいつもおもうこと

雪道
気をつけて帰りなさいよ、今日は特に寒いから
くどひろ
また2週間後に、帰って来るから

そういって玄関の戸を閉めると、近くの別の扉から母がひょっこり顔を出して見送ってくれる。

少し歩いて振り返ると、母はまだ手を振っている。

あの純粋な笑顔を見せられると、なんとも言えない気持ちにいつもなる。

見えなくなったあと、盛岡駅行きのバス停まで雪道をただ歩く。

43歳にもなって、ホームシック?いい歳して、なんだろう・・・

でもこの感覚、どこかで感じたことがあるような?

そういえば小学校の頃、こうやって見送ってもらってた。

あのころの気持ちがよみがえってくるから、なんとも言えない気持ちになるんだ。

★★

1週間、母と一緒に生活をする。

ずっと笑って過ごす週もあれば、つい言い過ぎてしまってケンカ一歩手前までヒートアップする日もある。

母の妄想がネガティブで飛躍し過ぎると、つい真っ向否定してしまう。何度かやり過ごしても、5日目ぐらいにはがっつり否定して、怒らせてしまう。

いろんなことがあって、東京へ帰る日の朝。朝食を食べると、だいたいこういう会話になる。

くどひろ
ご飯食べたら、東京帰るから
(昨日もおとといも伝えているけど)うそっ!なんか、さみしくなるわね
くどひろ
ほら、カレンダー見て。ヒロノブ、東京帰るって書いてあるでしょ?
あら、ホントだ

1週間いろんなことがあっても、すべてを忘れ、見送りのときは子育てしていたころの母に戻る。

認知症じゃなかったら、多少のわだかまりが残ってしまって、純粋に笑って見送れないはず。

これが認知症のいいところでもあるよな・・・、遠距離介護だからこういう思いにもなるんだ・・・

何回帰省しても、毎回こういう思いに不思議となります。たぶん恵まれているんだよな・・・とも思います。解放感と妙な寂しい感じが入り混じるバス停までの道のりを、スマホメモで書き残したやつをそのままアップしてみました。

今日もしれっと、しれっと。

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6 件のコメント

  • 読んでいて涙が出てきました。私も同じ気持ちになります。前だったら、ケンカしたあとはお互いにしこりが残ってましたが、母が認知症になった今はケンカしても、すぐ笑顔になります。一瞬、一瞬で生きてるんだなあって思います。もちろん、生活はしっかり振り回されてますが・・・あとになって「あの時にああすればよかった」と後悔しないように母と向き合っていきたいと思いました。そんな風に思うのも離れて生活してるからかもしれません。これからもブログ、楽しみにしています。

  • みるきーママさま

    「一瞬、一瞬を生きている」

    わたしもいつもこう感じています。後悔もしょっちゅうしています。それでも最終的にはしれっといきたいなぁって思っています。今後ともよろしくお願い致します!

  • 私も遠距離なので月に一度3~4日実家に滞在するのですが、私が帰る時は私が見えなくなるまで手を振って見送る姿を見るとたまらなく切なくなります。滞在中は何度も喧嘩するのに「帰り道気をつけてね」「風邪ひかないようにね」「旦那さんを大切にするのよ」などと言われると切なさ倍増です。リピートされるので途中でふたりで笑ってしまう時もあるのですが。 母のぬくもりに包まれたいと思う一方で、いや立ち止まることなく先を見据えた対策を考えないと、など揺れる気持ちを平らにすることが帰路中の作業です。

  • ふくいさま

    やはり切なくなりますよね。そしてケンカのあとのやさしさで切なさ倍増なんです、ホントに。
    帰路で揺れる気持ちをフラットにする作業、わたしもいつも新幹線の中でやっております。カチカチアイスを食べるころには、なんとなく作業終了しています。

  • 私もくどひろ様同様、都内の42歳女で71歳の母がいます。実家は車で10分の距離にありますので、週の真ん中と土日は家に帰り父と見守っています。
    職場も近いことから、仕事は続けております。
    うちの母も、くどひろ様のお母様同様の感じです。
    この度、本を購入させて頂き、ラインマーカーと付箋でいっぱいになっています。とーっても勉強になります。共感部分たくさんあります。
    ありがとうございます!しれっと頑張ります!

  • よみさま

    コメントありがとうございます!

    実家までの距離以外は、ほとんど同じ環境ですね。

    本購入して頂いてありがとうございます!そして、付箋やラインマーカーでいっぱい・・うれしいです。あまり頑張り過ぎず、”しれっと” これからもよろしくお願いします。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ものがたり診療所もりおか地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父も、別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)