遠回りしたようで実は近道した認知症治療のはなし

我が家は、2人の認知症患者を抱えています。

祖母(89歳)はすでに重度の認知症で、弄便(便をいじって、壁につける)もありますし、認知症で行われる長谷川式テストでは、30点満点で5点という結果です。末期の子宮頸がんということもあって、在宅介護ではなく今は病院のお世話になっています。

長谷川式認知症スケール - Wikipedia長谷川式認知症スケール – Wikipedia

一方で母は軽度の認知症で、長谷川式テストは最新結果で21点です。曜日や日付感覚が微妙、同じ事は何回も言うし、妄想も軽度という割には飛躍しすぎです。

母の場合、1年前くらいから兆候があったのですが、祖母の入院が引き金になりました。そこからの進行具合は、その前1年と比較して、新幹線並みの速さでした(意味わからん・・・)祖母といっしょに暮らしてきたのに、急にひとり暮らしになり、ごはんを作ってあげる相手も、喧嘩相手もいなくなってしまったのが大きかったようです。

わたしが遠距離介護を決断し、会社も辞めようと思ったのはこの 遠くに住む親が、認知症でひとり暮らし(母はこれにCMT病もプラス) ということです。全国でたくさんわたしのような方はいて、わたし以上に大変な方はたくさんいらっしゃるはずです。

しかも軽度であれば、治りはしなくとも認知症の進行を新幹線並みの速さから、快速列車の速さに減速できるのでは? 悪化のスピードが加速したばかりの今なら、まだなんとか・・・そういう思いがあって、介護に集中することに決めました。

成年後見人になるのも、祖母と母の病院に行くのも、結局平日。土日休みのサラリーマンでは、遠距離介護が各駅停車なみの遅さで何も進まんのです・・・それはさておき。 最初は長谷川式テストがなんなのか、認知症に軽度や中度、重度のランクがあるのか、家族として何をしていいのかさっぱり分からず、ひたすら本を買ったり、認知症110番に電話したり、県の認知症窓口に相談しに行ったり、ネットで探したりして自分で情報収集をしていました。

遠回りしたなぁと今思うこと

この情報収集している5か月間、生身の人間として相談したのは認知症110番のお姉さまと県の認知症窓口のみ。あとはひたすらネットや本だけで、勉強しまくりな毎日を送りました。

遠距離介護のメリットである、たくさんの移動時間。この移動時間を利用して、ひたすら認知症の本を読んでました。 わたしはある本との出会いで、この認知症治療のアプローチを、『医療』 と 『介護』 という両面から進めようと決めました。でもこれが分かったのが、5か月間の最後の方でした。介護面は5か月間で努力したのもあって、形になりました。

しかし、医療面は短い間にいろんな失敗を経験しました。 そういう遠回りは、次に遠距離介護する人にはしてほしくないですっ!どう近道になったかは、一番下で。

遠距離介護で母ひとりを単独で病院に行かせる難しさ

実家に住む母をどうやって病院に行かせるか・・・そして認知症の検査を受けさせるか・・・仕事は抜けられないし、でも早くかかりつけ医の認知症診断が出ないと、要介護認定もアップしないしで・・・。結局どうしたかというと、ベタベタな作戦・・・かかりつけ医へお手紙を書いて、東京から送りました。

『先生、どうか母に電話して、病院に健康診断にくるように促してください』 ある本に ”家族よりも、権威ある病院の先生のいう事は認知症の人には効果あり!という文があって、これだなと。かかりつけの先生はこれを実行してくれて、病院なんか絶対いかない!な母でしたが、先生に言われると従ってしまうようで、この作戦で病院へ単独で行かせる事に成功しました。健康診断といいながら、実際は認知症診断で、長谷川式テストやMRIもとってくれました。

実は近道したって、なに?

この記事のオチである近道とは、名古屋フォレストクリニック院長 河野和彦先生のコウノメソッドを本で見つけたことでした。この認知症治療マニュアルを回り道しながら、本当に5か月間の最後の最後で見つけた時は、やったぁ!情報収集してきてよかった! そう思う瞬間でした。実際何が近道なのか?は、コウノメソッド次第というところもあるので、このすぐ次の記事に続きます。医療面の失敗についても、書きますね。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか