認知症でもある母のシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)の症状はこうです

デイサービス

71歳の母の握力は、右手11kg、左手5kg。

で?

そう思われた方が、ほとんどだと思います。わたしも訪問リハビリに来て頂いている作業療法士さんに思わず、

「これって、どうなんですか?」

と聞いたほどです。数値的には問題ないという話を受け、「作業療法士さんが普段リハビリしている患者さんの平均数値から見ても、OK」 ということなんだろうなと解釈。健康診断は受けてもらってますが、意外とこういう体力測定系は初。数値で体力を見る事の大切さに気づかされたのでした。

一方で、

「70代女性の一般的な握力って、どんなもんなんだろ?」

と思ったので、早速調べてみました。70代女性の平均握力は、23.26kg。(男性は36.56kg)平均握力って、左右2回ずつ計測したあとで、数値のいい方(利き手でしょうね)の記録を平均したものをいいます。

これに当てはめると、一般70代女性の半分以下の握力しかないということになります。これは、シャルコー・マリー・トゥース病(以降CMT病)が原因です。末梢神経が損傷し、筋肉委縮している母。

足の裏はこんな感じで土踏まずがえぐれていて、(写真)、手のひらは土手の部分の肉があまりなく盛り上がっていません。

Charcot-marie-tooth_foot
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。

日常生活でどのような事が起きているかというと、

<母の日常で不便なこと>
・ペットボトルのふたが開けられない
・スリッパが履けないので、病院ではスリッパなしで歩く
・外を歩くのが苦手(靴が苦手)なので、歩くときは誰かに必ずつかまる
・階段の最終段でよく転ぶ。転ぶ時は膝から落ちるようにゆっくりと。

<若い頃の母のCMT体験>
・体育の時間に行進すると、なぜかひとりだけ内側によれる
・マラソンが異様に遅く、ゴールに着いたら誰もいなかった
・ハイヒールが履けないので、常にぺったんこな靴だけ

高校までは実家で母と一緒に過ごしたのですが、正直あまりCMT病を感じたことがなかったんですよね。ただ年齢を重ねる毎に変化を感じるようになり、10年前に東京に来てもらった時は、東京駅の階段の昇り降りが厳しい状態でした。

母は加えて認知症です。

「こんな状態で独居させていいの?」

そう思う人もいるかもしれませんが、想像以上に自分でなんでもできます。家の中ではあえて、

「コーヒー飲みたいなぁ」

とか言います。コーヒーのふたをあける、お湯を入れる、かき混ぜる、運ぶ すべてリハビリです。自分で持ってきた方が早いことが多いのですが、ここは我慢でじっと待ちます。負荷を与えることが本人のためなので、料理も時間がかかっても待ちます。

料理の時間がかかるの分かっていて早めに準備をするんですが、我が家の夕ご飯は17時40分が基本。早すぎて、夜中お腹が空いて目が覚めるほどですが、本人の生活パターンに合わせています(笑)

一方で “全力でやった” 握力検査後に倒れ、熱が出て寝込んでしまった母。

「胸が苦しい~、肺が委縮してしまったかもしれない、何も食べられない」

前半2つは口ぐせで、あまりにアピールするので病院に連れて行ったことがありますが、結果異常なし。ただ倒れている時のこの言葉はいつも以上に響き、さすがにあせりました・・・翌日朝にやっと復活した時は握力検査のこと、忘れてて助かりました(笑)

CMT病の内臓委縮は “稀に” ある という文言をある本で読んだ事が固定妄想になり、CMT病の人は内臓が委縮するんだ!という妄想が消えません。ここが認知症のやっかいなところです・・・ピック病ならではです。

CMTで検索して来られる方もいらっしゃるので、わたしが参考にしているサイト様はこちらです↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか