認知症によく似ている父の入院中の「せん妄」と医師の判断

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医師
お父さまはご自身で判断できません。今後の治療をどうするかについては、ご家族で判断してください。

普通、医師にこう言われたら信じるご家族は多いと思います。しかし、その前の状態や最低限の「知識」を持っていれば、これは間違いだと気づくことができます。

その前の状態とは、こんな感じでした。

幽霊が見えた
この集中治療室の中に蚊が居るのに、誰も殺そうとしない!
畳を・・・畳を変えてけろ~

ガウンを着て、マスクをして殺菌して入る集中治療室に蚊がいる?幽霊?

妹からの連絡では、父との会話は正常ということは分かっていました。ただ「時折」こういう変なことを言ったり、暴言を吐くというので、これは「せん妄」だろうと妹に伝えました。一時的に認知症に似た症状にはなるけど、病院を出れば治ると。

このブログに「せん妄」について連絡をくださる方もいたのですが、実際わたしが「せん妄」を体験しないと記事にはしづらいということで、今回初めて「せん妄」について書いてみます。

せん妄とは?

長寿科学振興財団が運営する「健康長寿ネット」のせん妄の説明を引用します。

せん妄とは、時間や場所が急にわからなくなる見当識障害から始まる場合が多く、注意力や思考力が低下して様々な症状を引き起こします。通常は継続しても数日間ですが、まれに数ヵ月間続く場合もあり、的確な処置が行えないと昏睡や死に至ることもあります。1日の中でも症状の強弱があり、夕方に悪化する傾向がみられます。
引用元:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/senmou.html

不眠、昼夜逆転、幻視、妄想、見当識障害、記憶障害、興奮、錯乱、手の震えなど、認知症の知識がある方ならどこかで見た症状のオンパレードです。

原因としては、父のように入院・手術の影響で、外の情報が遮断されておかしくなったり、酸素や鎮静剤の影響で上記のような症状が出ることがあります。薬の副作用、加齢、元々持っている疾患なども原因になります。

治療は薬物による方法、環境を変える方法があります。1日の中でも正常な時間も多かったですし、一時的なものだと判断できたので、認知症ではなく「せん妄」と分かりました。認知症とせん妄の違いのひとつは、この一時的かどうかというところもあります。また、認知症の人が「せん妄」を併発すると、急に症状が悪化したように見えます。

結局、集中治療室から救急病棟の8人部屋に移動すると、少しずつ「せん妄」は消えました。そして自宅に帰ってきたら完全に「せん妄」は消えました。環境を変えたら治ったというパターンです。

普通に考えると、いくら命に関わる病気とはいえ、頭がしっかりした状態で管にいっぱいつながれて、ただ病院の天井を眺めている時間が何週間も続いたら、そりゃ気が狂うよな・・・そう思いました。メガネや補聴器が故障していて、外部の情報は遮断されておかしくなるというケースもあるようです。

いかに太陽を感じて、時計を見て、テレビを見て、人と会話して、日常を今を感じることが大切かということを、父が「せん妄」からの復活する過程を見て思いました。

おそらく手術してくださった医師は「せん妄」について理解していたと思うのですが、あるタイミングで別の科の医師(冒頭の説明をした人)に変わりました。そしたら経過説明書に「歩けない→見当識障害→痴呆」と。まさか医師が、こう書くとは思いませんでした。

認知症介護を経験してきて、「せん妄」の知識もあったから経過説明書に動じることはありませんでした。やっぱり家族は最低限の知識と、”初めての医師には” 少しの疑い、この2つを持ち合わせておくべきだろうなと思いました。

母の認知症診断や治療初期の時もこの2つを持ち合わせて臨んだので、今回も役に立ちました。ネットの情報を悪くいう方もいますが、読む側がしっかり取捨選択できるならば、これほど頼りになるものはないです。

多くの医師はきちんと「せん妄」の診断と処置をしてくださると思うのですが、うちのようなケースもありますので、介護者の自己防衛も大切です。何も知らなかったら、言われるがまま代理判断して転院させて、今頃生きてないだろうな・・・怖っ!

「畳を変えてけろ~」と、集中治療室での父のうわ言をスルーしてました。これも「せん妄」のひとつだと思って。最近帰省してマンションに行ったら、畳変えてました・・・本気だったとは!治療費を確保したい!とあれだけ言っているのに、61,000円もかけて勝手に畳を新しくして!

怒りたかったのですが、ここは怒りを抑えます・・・母の認知症介護でだいぶ怒りの抑え方が上手になりました。マンションの査定のプラスになってくれればいいし、残された余生ですから多少のことは目をつぶります。

今日もしれっと、しれっと。

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4 件のコメント

  • くどひろさん、こんばんは。

    私が直接看護(介護と言うよりそれ以前の状態)してないので、くどひろさん同様、見たままを正確にはお伝えできませんが、数年前に亡くなった父がせん妄を起こしました。

    経緯は、元々高齢期に多い「脊柱管狭窄症」を長年患って居たアルコール中毒の父が、対症療法の湿布と痛み止めでは効き目が無くなり「腰が痛くて歩けないから救急車を呼ぶ」と言い出し、自分で救急手配して、何とか歩いて救急車に乗り込み、入院したら最後!
    当然アルコールは抜け離脱症状、自力で歩け無くなり入院したので抜け出しての飲酒も無理です。

    入院3日目あたりの母からの電話では「もうダメだと思う、言葉も話せないし、目は虚ろ、喋ったと思えばお茶碗に虫が居ると言い出し、天井にも何か這ってると言い出す始末だ」と伝えてきました。
    あまりの急変に、これはアルコール離脱に因るせん妄だと確信し、母に伝えて時間の経過で良くなると伝えました。

    病院の対応はと言えば「脊椎間狭窄症に因る廃用症候群」に拠り寝たきりとなると言う説明で終始。
    親類も入院から一週間程度で見舞いに来てくれて「あぁ〜もう御終いだ」と誰もが思った変貌ぶりでした。

    続きがありまして、せん妄が抜けきらない内に、手を出さずに居れば看護師が食事も与えてくれる病院内で
    母が食事の介助をしたばかりに、誤嚥を起こしてしまった父は、そのまま誤嚥性肺炎を起こし
    今度は誤嚥性肺炎の治療で、色々な管やマスクに繋がれ、食事も出来ない状態になり
    正に生死を彷徨いましたが、入院から一月ほどで、腰以外は何も問題なく快癒しました。

    もちろんせん妄で廃人同様だった状態からも見事脱出です。

    歩く事が出来れば、せん妄の影響で自殺願望とか、窓から飛び降りとか、問題行動が起きた可能性が否定できませんが
    運良くと言うか、悪くと言うか、父は腰がダメで自力で立ちあがる事すら出来なかった為に、大変で辛い時期を
    ベットから身動き出来ずに過ごすしか無く、廻りの介護や看護をする人間にとっては好都合でした。

    既に両親とも鬼籍に入りましたが、せん妄を起こした理由が何故か?と真剣に考える事は
    本人にとっても家族にとっても、とても大切だと思います。

    案外せん妄の処置ってしてくれないかもです。

  • くどひろさんへ

    こんばんは いつも拝見させていたいております 抽象的な表現で申し訳ないのですが、出来る医者と会ったことがないので探す方が大変そうですね 医者に期待することはやめました さて、用件ですが、成年後見制度について私のブログでくどひろさんを紹介しました もし問題がございましたら変更しますので、ご指示いただけますと幸いです 宜しくお願い致します

  • たこやきさま

    ブログ読んでいただき、ありがとうございます!

    そしてご紹介いただき、うれしいです!わたしも公正証書遺言を作ろうかと今動いているところです。

    あしゅら砲すごいですよね、わたしも以前体験しました。ブログ村の「本当の」ランキングは、こういう時に分かる気がします。

  • 自分もてんてこ舞いさま

    安易に「廃用症候群」って・・・怖いですね。うちのかかりつけ医が「病院自体が病気を作っていることもある」とツイートしていたのですが、まさにそう思わせる内容でした。
    貴重な体験談お話頂いて、大変勉強になりました。今回の記事は「地味に」反響が大きいです、皆さん思い当たることがあるんでしょうね。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護2)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父(要介護5)も別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)