家族目線で分かりやすく解説「認知症の薬の副作用」について

認知症 副作用 薬

毎年恒例になっている認知症治療研究会。1日目は6時間半、2日目は2時間、みっちり認知症の勉強をしてきました。

抗認知症薬を減らした認知症の方々が元気になる動画は、今まで何本も見てきました。今回もまた、そういう動画の連続でした。認知症のお薬の扱いは本当に難しいと思ったし、医師や薬剤師が製薬メーカーの添付文書(医薬品に添付されている使用上の注意、用法・用量、副作用などが記載)通り処方する現状は未だ続いていて、そのことを知らずに苦しんでいるご家族はまだまだいるんだなと思いました。

「白い巨塔」や「ドクターX」的な、きな臭い話もありました。そんな2日間で、特に面白いと思った池袋病院・平川亘先生のお話をご紹介します!

平川亘先生による抗認知症薬の副作用の講演

昨年の平川先生の講演をきっかけに使い始めたプレタール。今年は抗認知症薬の副作用のお話でした。

認知症によく効くお薬「シロスタゾール」に要注目!

2016.03.16

抗認知症薬の増量規定

抗認知症薬 増量規定
引用元:https://www.tekiryo.jp/info.html#2

表の見方ですが、例えばドネペジル(アリセプト)の場合は1日1回3mgを2週間継続し、その後5mgに増量するという規定があります。添付文書にそう書いてあるので、医師も薬剤師も患者さんをきちんと見てなければ、この通り増量され苦しむ方が増えているのです。

平川先生の話だと、この増量規定通りに処方していた10数年前は半分以上の患者さんが認知症のテスト結果が悪化、改善した人はわずか2%だったそうです。そして、アリセプト10mgが発売された2007年から副作用の患者さんが一気に増えたと・・・

認知症の薬(レミニール、アリセプト、リバスタッチパッチ)をモノに例えたら?

平川先生の私見ですが、認知症を紙に例えた場合、レミニールは「はさみ」、アリセプトは「斧」、リバスタッチパッチは「ナイフ」という例えが面白かったです。アリセプトは紙に斧を振りかざすほどの強さで、リバスタッチパッチは使い方を間違えると手を切って危ない、レミニールはこの中では比較的安全なお薬という意味です。

ある学生さんの話で、ラットにアリセプト10㎎の投与はサリン並という表現が強烈でした。リバスタッチは即効作用があって、わずか40分で効き始めるため、外来で貼ってもすぐ効果が現れる一方、量を間違うとあっという間に動けなくなる・・このあたりがナイフという表現になったのだと思います。

代表的な副作用として、アリセプトは易怒、興奮、不穏、歩行障害、不随意運動(意思に基づかない不合理な運動)、レミニールは吐気、下痢、食欲不振、メマリーはめまい、眠気などがあるそうです。

認知症の薬は量を多く処方されている

アリセプトが悪いわけではないのですが、それぞれの患者さんにあった薬の適正量というのがあります。増量規定に慣れすぎた医師や薬剤師が、未だに一定数いることは否定できません。お薬が増えれば製薬メーカーは儲かりますし、医師は規定を守らないと報酬が得られないというリスクがあります。

それでも薬の少量処方を実践している医師・薬剤師がいます。国の社会保障費を減らすことに貢献しつつ、認知症ご本人もご家族も救われるのなら、こんないいことはありません。

抗認知症薬がもたらす副作用について、介護家族はそこまで詳しい知識は必要ないかもしれません。ただこういう現実を知っているのと知らないのとでは、天と地ほどの差があるということ、それによって認知症介護の大変さが大きく違ってくるということは、間違いありません。

「勝手にお薬を止めてはだめ」「医師や薬剤師の言うことは絶対」という一般常識を、この認知症の世界では少し疑ってみる必要があると思います。

こういった知識を介護家族がご近所の病院でしたところで、「何も知らない家族が何を言っている!」と一蹴されてしまうかもしれません。本当はそういう病院は変えたほうがいいのですが、なぜか悪化の一途をたどっていたり、病院を変えられない環境にある人は、抗認知症薬の量を疑ってみてもいいかもしれません。

ご家族自ら、お薬の量を調整している方はたくさんいます。本当は医師に理解があって二人三脚状態だと家族も安心なのですが、いい病院が近くになかったりして孤軍奮闘されている方もいらっしゃいます。

一方であのような劇的に変化する動画を見ると、家族は変に期待し過ぎるところもあります。間違った量のお薬を飲んでいる人は、改善される可能性があるということです。ただ減らせばいいというわけでもありません。

1軒隣の病院を選んだだけで、認知症ご本人の人生もご家族の人生も大きく変わってしまうという現実を、知って欲しいと思います。どんなに正しい接し方をしていても、お薬ひとつでその苦労は水の泡ということもあります。

今日もしれっと、しれっと。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ものがたり診療所もりおか地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年より悪性リンパ腫の父も、別拠点で在宅介護中。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)