成年後見制度はどう使いこなすのが理想なのか?

成年後見制度 家族信託 生前贈与

以前、ジャーナリストの長谷川学さんが現代ビジネスで書いた「「悪夢のような成年後見制度」役所を訴えた、ある娘の告白」をご紹介した。ものすごく簡単に記事を要約する。

軽度の認知症だったお母さんを介護していた娘さん。お母さんは体を動かすことが好きで、家の中で自由にさせていた。時には転倒して傷を負うことや、口喧嘩したことも。よくある認知症介護の光景なのだが、三重県桑名市の地域包括支援センターの担当者がこれを、娘の母への虐待と決めつけた。お母さんがデイケアに行ってる間に、家族に無断で「一時保護」と名目でどこかへ連れ去り、同意がないまま後見開始審判の申立を、桑名市がしてしまったという事件だ。

なぜ包括は虐待と決めつけたのか?

最初この事件を知ったとき、なぜ包括が虐待と決めつけられたのか、そこがよく分からなかった。その理由が、月刊hanada1月号にこう書いてあった。

母親のケガについて、ケアマネジャーらにも事情を詳しく説明していたという。「ケアマネさんからは”介護が大変なのではないか””もっと介護サービスを利用した方がいい”と言われましたが、当時の私は、そんなに介護が大変だとは思っていませんでした。母には、なじんだ家でできるだけ良い時間、過ごしてあげたいと思っていました。それで料金を言い訳にして、お断りをしていました」

ところが介護サービスを断ったせいなのか、ケアマネは娘さんに向かって「危険な状態だ」「危険だ、危険だ」と言うようになったという。娘さんは「この人は、なぜ私たち親子の気持ちが分かってくれないのか」と悩んだというが、こうした周囲の独善的な思い込みが、やがて行政による不当な介入と人権侵害につながっていったようだ。
引用元:月刊hanada 2018年1月号

ケアマネは良かれと思って、更なる介護サービスを提案していたのだと思う。しかし、ケアマネも人間・・・自分の提案が通らないことに怒り、包括も巻き込んでこのような事件に発展したのだと記事を読んで思った。怖い・・・怖すぎる。

成年後見制度はどう利用するのが賢いのか?

わたしが成年後見人を務めていた2013年当時は、まだ親族後見人の割合が多かった。認知症の祖母の財産管理を、孫のわたしが行っていたのだが、その当時から次第に親族によるお金の使い込みが増える。その結果、専門職後見人(弁護士、司法書士、行政書士等)が担当する割合が増えた。

ところが専門職後見人に対して、月数万円の報酬を支払う必要がある。これに見合った働きをしてもらえれば、家族から不満の声は大きくならないはず。通帳を取り上げられ、まったく開示されないまま使い込まれ、後見人には訪問義務がないので会いにも来ない。そのうえ、お金を横領されたらそのお金は二度と戻ってこない・・・このブログにも、そういった制度に対する家族の不満が寄せられている。

後見人は家庭裁判所が選任するため、自分では選べない。(任意後見は別)ただ、後見人の候補者を記入することができるので、良さそうな弁護士、司法書士、行政書士を書くことはできる。とはいっても、どの弁護士が良くて、どの司法書士が悪いのかは家族は判断できない。

最近、こんな判断方法を見つけた。不動産屋を経営している行政書士・司法書士などは、距離を詰められる可能性もある。不動産売買や賃貸等で接点があるならば、後見人として適任だろうか・・という見方をしておくといいかもしれない。

あとは口コミ・・・父の相続でお世話になった行政書士さんは、実はケアマネが知っていた人だ。ネット上で専門職の口コミを探すのは難しいから、それこそ認知症カフェであったり、あるいは個人のブログに直接問い合わせるとかしないといけないかもしれない。

いずれにせよ八方塞がりであり、成年後見制度を賢くつかうのはコレ!と言い切れないのである。

成年後見制度のお世話になるきっかけ

成年後見制度を利用するきっかけの第1位は、預貯金の管理。認知症の祖母が子宮頸がんで入院したとき、祖母の口座のお金が必要になったのだが、家族といえどお金を引き出すことができない・・だから成年後見人にわたしはなった。また、介護施設入居時に、後見人を立ててと言われて、後見制度を利用することも多い。

以前なら家族が後見人になれたのに、今は弁護士などがなってしまう。毎月2万から3万の報酬をずっと払い続けないといけないうえに、後見人は簡単には変更できない。資産を多く持っていれば、後見制度支援信託(日常的な支払を後見人が管理し、その他大きな金額は信託銀行に預ける)を使うようにと家裁から言われる。

こうやっていろいろお金をとられてしまう可能性があり、現状なら「家族信託(意志判断ができなくなる前に、家族間で信託契約を結ぶこと。柔軟な財産管理が可能)」がお勧めかもしれない。家族信託に対応できる弁護士が少なく費用もかかってしまうが、後見制度よりもいいと思う。さらに「生前贈与」ということも考えておいたほうがいいと思う。

  1. 家族信託を利用する
  2. 生前贈与を検討する
  3. 任意後見制度を利用して、後見人候補者を選定しておく
  4. 信頼できる弁護士、司法書士、行政書士を探しておく

と書いては見たものの、どれも事前に準備しないといけないものばかり。そんなの準備しておく人なんて、まずいないと思う。ご想像にお任せするが、グレーな口座管理をするのが現状ではベストなのかもしれない・・・

今日もしれっと、しれっと。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護2)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父(要介護5)も別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:がんばりすぎずにしれっと認知症介護 (新日本出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか