法人が成年後見人を行う法人後見人は遠距離介護の味方

成年後見制度

祖母(90歳)の成年後見人に任命されてから、10か月が経過しました。今、成年後見人としてやっていることは、

1.病院の支払い
2.財産の管理

実質、この2つのみです。成年後見人になるまでは結構大変でしたが、なってからはたまに裁判所に書類を提出する以外は、通常の家計簿レベルの収支作成ぐらいなので、そんなに負荷にはなっていません。遠距離介護で負担の大きい 「交通費」 も、祖母の介護費用として認められているので、祖母の口座から交通費をもらっています。

祖母が2か月に1回もらう年金は、介護にかかっている病院代、交通費、病衣代、食事代でなくなります。結局、

「祖母の介護費用は、祖母の年金と貯金ですべてまかなっている」

状態です。特に遠距離介護だと、介護する側に経済的負担が重くのしかかる事が多いので、使えるものは使うべきです。成年後見人に親族がなれればいいんですが、頼れる親族がいなかったり、お金の管理が遠距離でできないならば、弁護士や司法書士などに依頼となります。でも、

・申立手続きの際の費用を、弁護士や司法書士に払わなくてはいけない
・月々の収支についても管理してもらう一方で、報酬を支払わないといけない
・何より相次ぐ、弁護士や司法書士による財産の悪用事件

というのもあって、わたしは自分で成年後見人になることにしたのですが、最近になって法人後見人という方法がある事を知り、もしこれを知っていたら、こちらにお願いしていたかもなぁ・・・ということで、今日は法人後見人のお話です。

法人後見人とは?

文字通り、成年後見人を法人がやるという制度です。ではどこの法人がやるかというと、社会福祉協議会(社協)や、司法書士が組織化された社団法人などがあります。

この法人後見人、誰でも使えるかというとそうではありません。審査があって、その審査に通った人が法人後見人を利用できます。ひとり暮らしの高齢者で親族もいない とか、遠距離のひとり暮らしの高齢者 という環境ならば、審査次第ではこの 「法人後見人」が利用できるかもしれません。

メリットとしては、法人なので ”組織化” されているという点です。担当の成年後見人がいなくなったとしても、あくまで組織なので、別の方が替わりに担当してくれるという点、また悪用に関しても組織に属しているならば、他人の目がきっちり働くので悪用もできないはずです。

どこに相談すればいい?

わたしはどこに相談したらいいか分からず、いきなり家庭裁判所に行ってしまいました。今思えばですが、各市町村にある 「成年後見センター」 にまずは相談しにいくといいです。

社会福祉法人であったり公益社団法人等が運営しているので、まずは近所の成年後見センター に相談したほうがいいです。品川成年後見センターのホームページに、実際の法人後見人になるまでの流れが書いてありますのでご覧ください。


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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか