母はCMT病(シャルコー・マリー・トゥース)という難病で、手足の筋萎縮がものすごくゆっくり進んでいます。10代で発症した母が、どんな体験をしてきたかというと、
- 中学生のとき、マラソン大会で最下位となり、ゴールに着いたら誰もいなかった
- 20代のとき、ヒールを履きたいと思ったけど、つま先の力がなく履けなかった
- 握力が弱く、手の筋肉も委縮。ペットボトルのふた、牛乳パックなど、開けるのに苦労する
- スリッパがはけないので、病院内はスリッパなしで歩く
- 突然平地で、お辞儀をするように前に倒れる
若い頃は病名も知られておらず、意味のない湿布をくれる病院もあったとか。見た目には分かりづらいので、「本気を出してない」とか「やる気がない」と思われることもあったようです。
それでも、家の中は慣れていて壁も近くにあるので、ヨタヨタと歩くことができます。週1回の訪問リハでは、立ち上がり訓練や可動域訓練などをやっていて、落ちゆく筋力をとにかくキープするようにしています。
そんな母に、あるチャンスがやってきたのです。
ACSIVE(アクシブ)とは?
簡単に言うと、歩行支援してくれる機械のようなものです。モーターやバッテリーを使わず、重力とバネの力だけで歩行支援してくれます。充電の必要がなく、機械音もしません。シンプルで扱いやすく、しかも片足で550gと超軽量です。
送られてきた箱を開封すると、アクシブ本体とパンフレット、説明書が入ってました。
自立歩行できる人が対象で、病気やケガで自立歩行能力が低下した人をサポートするものです。歩行ロボット系よりも自分の力を使うところが、わたしはとてもいいと思います。すべてを機械に委ねたら、使える力もさらに衰えてしまいます。
名古屋工業大学・佐野明人教授が、10年以上研究してきた「受動歩行理論」に基づきます。受動歩行とは、
簡単にいってしまうと、足の付け根、ヒザを軸とする2重の振り子運動を利用し、少ないエネルギーを用いて効率よく歩く方式の歩行のこと
引用元:http://cannonballtrading.info/acsive/index.html
箱の中身(アクシブ本体、カーボンスティック、調整用六角レンチ)
今回、このACSIVEを無料レンタルしてくださったのは、横浜にあるキャノンボールトレーディングの森原顕正代表。わたしのブログを読んでくださり、リンク掲載依頼が来たのがきっかけでした。
「あ、知ってる、この方!」
2014年の東京ビックサイトで、たぶんお会いしたかもしれない方です。母のリハビリに使えそうなツール探しに行って、ご縁があったんですね。こういう奇跡が、最近いろんなところで起きます。
ACSIVEによる歩行テスト
訪問リハの理学療法士さんが、母にACSIVEを装着し、わたしが6秒動画を撮りました。(6秒動画サービス終了のため、動画は削除しました)自分でも装着可能ですが、プロが近くにいたので、お任せしました。一番歩きやすい、実家の台所で撮影してます。
画面右に向かって、よれて歩いています。本当は壁に手を突きたい母ですが、「手をつかないでね~」とお願いしているので、頑張って真っすぐ歩こうとしてます。そういう意識からか、歩行スピードも遅いです。
左足に、ACSIVEをつけました。バネの力で、左ひざが自然に前に押し出される感じがあります(わたしも着けました)動画でも歩行スピードもあって、真っすぐ歩けています。上下比較すると、違いがよく分かります。
理学療法士さんもご自身でACSIVEを試したら、前に押し出される感覚に「お、おぉ~」と言ってました。ちなみに筋力があるわたしは、「ん?構造は分かるけど、どうかな?」という感じでした。
理学療法士さんもわたしも、自力でできるうちは自力で!という方針なので、母はしばらく自力で歩いてもらいます。でも、車イス生活が見えてきた場合、選択肢として残しておこう!ということになりました。
ACSIVEを使った方の感想
元々は脳卒中での片麻痺を想定して開発されたものですが、足の運びが重くなったという方全般に使用できる製品です。脊髄小脳変性症の方も利用されています。実際の体験者の感想を、こちらにまとめました。
ACSIVEのお値段とお問い合わせ先
まずは無料貸し出し(1週間)を行っているので、そちらで体感してみるといいと思います。うちも往復の送料は負担して、借りました。超軽量なため、往復で運賃は2,000円しませんでした(横浜と盛岡間)
レンタル価格は下記で、購入の場合は片足で194,400円(税込)、両足で378,000円(税込)となっています。残念ながら、介護保険や給付を使っての購入やレンタルはできません。
試用、レンタル、購入申し込み、お問い合わせは、キャノンボールトレーディングの下記公式サイトよりお願い致します。
保険外でも、こうやっていろんな便利なものがあるんですよね。何でも介護保険で賄おうと考えがちですが、広く選択肢は持つべきだと常に思っています。
今日もしれっと、しれっと。