そうだったのか!「介護から解放される」 ということ

祖母が亡くなった後、葬儀の手配、喪主のお仕事、墓石の彫刻手配、未支給年金の請求、介護保険証の返還、成年後見人の終了などなど、この10日間はハンパなく忙しかったです。これに認知症の母のサービス担当者会議もあって、かなりヘロヘロでしたが、やっと東京へ帰ってきました。

帰りの新幹線でふと、「介護から解放される瞬間」 について考え・・・それをそのまま記事にしてみました!

介護から解放されるためには、これが必要!

「介護からの解放感」 を味わうためには、介護をしたんだ!っていう達成感、満足感がないと解放感は味わえないなって。遠距離に祖母を放置して、仕事に専念してほとんど介護してなかったら、解放感なんてものは得られません。

「やるだけのことはやった!」 「自分の事を褒めてあげたい」

そういった自分自身への達成感、満足感があって、初めて 「介護から解放された~」 ってなるわけです。達成感、満足感がない人は、解放感ではなく、後悔だけが残ります。「もっとこうしてあげればよかったー」って。

無意識の中で、いつも気になっていたこと

・病院から電話が来るんじゃないかと、携帯電話が24時間気になる
・死に目に会えないというので、夜につめをきらない
・朝が来ると、「今日も無事、夜を乗り越えた」 という思いになる
・4とか13という数字を目にすると、不吉な予感がする

この1年間は、こんな事が気になっていたんですよね・・・介護をしているみなさんも、何かしらのゲン担ぎをしたり、言葉にこそしないけど、毎日思っていることってあると思います。特に私のように余命宣告された人を介護する場合は、尚の事と思います。

ここ10日間は、携帯電話も気にならないし、朝起きた時の妙な思いもなくなりました。「介護から解放されたんだなぁ」 そう思える瞬間でした。他にも、介護から解放された瞬間がありました。

葬儀でも、火葬でもない、最も解放感を味わったとき

人によって介護から解放される瞬間って様々だと思うんですが、わたしは、

「亡くなるまで1年近く通った病院に、お礼の挨拶に行った時」

でした。週2,3回は病院へ行って、パジャマや下着を回収したり、必要なものを持っていったり、いろんな話をしたり、そんな1年でした。お通夜でも、火葬でも、葬儀でも、なんというか実感が湧かなかったんですよね。喪主のあいさつが多すぎたり、23年前に出て行った父が葬儀をかき回したり、それどころじゃないというのもありました。

でも、1年通った病院に10日ぶりに訪れると、さすがに亡くなった日の事を思い出しました。病院のにおい、建物の感じ、お世話になった看護師さんたち、亡くなったあの日がフラッシュバックのように思い出されます。祖母がいた病室には、もう別の患者さんが寝ていました。

「この病院にもう来ることはないんだなぁ~」

と思ったら、一気に 「介護から解放された」 感が襲ってきました。亡くなった日までの病院の領収書を見た時も、

「この病院にもう支払いに来ることはないんだなぁ~」

同じような感覚がまた、襲ってきました。葬儀や手続きが一通り終わった安心感も、解放感をあおったと思います。

「介護から解放される瞬間って、こういう感覚なんだなぁ~」

と思っていた次の瞬間、認知症でシャルコー・マリー・トゥース病の母(70歳)がわたしの腕をつかむと、その解放感はどこかへ消えていきました・・・一瞬だけの解放でした(笑)


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか