介護を受けている人が感じている「逆ボランティア」の意味

リリムジカ

ミュージックファシリテーションで有名な「リリムジカ」の代表取締役、管偉辰さんの講演に飛び込みで参加しました。

リリムジカとは?

リリムジカとは、イタリア語のリリカメンテ(叙情的に)とムジカ(音楽)を組み合わせた造語で心に響く音楽という意味です。特養やグループホーム、デイサービスなどで生伴奏による音楽プログラムを提供しています。

介護に携わっている方ならば、メディアで一度は耳にした事がある名前かと思います。

演奏の逆ボランティアという深いコトバ

リリムジカ管さんとのQ&Aコーナーで、参加者の方からこのような質問がありました。

参加者
ボランティアとの違いはなんですか?

わたしも思ったんですよね、音楽を施設で提供するリリムジカは、他の音楽レクと何が違うのかって。共同代表の管さんはある介護施設であった実体験で、このように回答されました。

菅さん
ある地域のおばちゃんダンサーズの発表を見ていたら、隣のおばあちゃんがこう言うんです。「逆ボランティアしちゃったわね」

これ分かりますか?

おばちゃんダンサーズはボランティアで介護施設を訪問したはずなのに、ダンスを見たおばあちゃんは 「逆ボランティア」 と言っているんです。

おばちゃんダンサーズ → 自分たちのダンス発表の場、自己表現・自己実現の機会
ダンスを見たおばあちゃん → 一方的にダンスを見せられただけ

これを逆ボランティアという言葉を使うおばあちゃんの皮肉っぷりが、すごいです!

良かれと思ってやっていた事が、おばあちゃんには全く響いていない、逆に見てあげているという逆ボランティア状態だったということです。おばちゃんダンサーズだって、利用者のために!と思ってはいても、実際は届いていないというお話です。

リリムジカはボランティアではありません。慰問演奏のようなボランティアと何が違うかというと、

・ボランティアが決めたレパートリーで演奏しない(リクエストベース)
・終わった後に振り返りをする
・キーが高くて歌えない場合、キーを下げる。リズムが早すぎて歌えない場合、ゆっくりにする

わたしが以前行ったデイサービスは、通信カラオケDAMの前で職員が 「青い山脈」 を唄ってました。デイ初体験だったわたしはその姿に感動したのですが、利用者さんはまったく反応してなくてとても切ない気持ちになりました。

音楽を演奏するという行為ひとつ取っても、とても奥深いんだなって思いました。最近母が急にデイに行きたくないといい始めましたよ・・・どうしたんだろ、急に。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか