介護家族が「介護用品フェア」を賢く見るための2つのコツ

先日、東京ビックサイトで開催された国際福祉機器展に行ってきました。わたしがこういったイベントに参加している理由は、以下の2つです。

  1. ブログのネタになるし、興味のあるブログ読者の方がいる
  2. うちの母に使えるかもしれないという好奇心

東京ビックサイトは会場がどでかいので、回るのにも一苦労です。しかも、展示ブースが多すぎて効率よく回ることができません。介護用品を専門にされている業者の方の参加が多いのですが、一般の方も結構いらっしゃいます。プロではないので、目移りばかりしてしまうのです。こんなときどうしたらいいかという、わたしの最近の実践術をご紹介します。

今、介護で必要なものだけを中心に見て歩く

1つ目は、すぐ介護で必要としているものだけを見て歩くといいと思います。杖が欲しいんだけど、車いすのクッションでいいものはないか、ポータブルトイレはどれがいいかなど、すぐ必要なものだけを見て歩くのです。

今困っていることなので、商品の見極めも鋭いはずです。ただボーっと見に行くのとでは、商品への入り込み方が全然違います。今回参加して失敗したなぁと思ったことは、ポータブル水洗トイレの存在を知っていながら、亡くなった父には使わなかったことです。

たくさん情報を持っていても、すぐに引き出せないとダメだなぁと痛感しました。だから、今困っていることを解決するものだけを見るといいと思います。

福祉用具専門相談員を頼る

2つ目は、軽く流して最後はプロに頼るという方法です。介護用品を販売したり、レンタルする会社には福祉用具専門相談員という人がいます。

例えば父の電動ベッドをレンタルした時も、相談員が来ていろんなアドバイスをしてくれました。ベッドの上で食事をするからベッドサイドテーブルがいる、尿器をベッドの横にかけるホルダーがいるとかとか・・・ケアマネさんが分かっていることもありますが、とにかく介護用品について詳しい方です。

なので、介護用品フェアに行ったら、なんとなく新商品があることだけを頭に入れておくだけでいいと思います。それでいざ利用する段階になった時に、「そういえばフェアでこういうの見たんだけど」とプロに相談すればいいです。

相談員と話していて面白かったのが、わたしとはやはり視点が違っているということでした。福祉用具専門相談員の方は安全であることを重視していたり、「カタログにある」介護用品で解決しようと考えます。わたしは「カタログにない」ものばかりを探しているので、逆にいろいろとご紹介したら驚かれました。

国際福祉機器展で気になった商品をいくつかご紹介

今回のイベントは、このブログでご紹介したものがどうなったかという復習のイベントになってしまいました。

排泄予測デバイス「Dfree」

自著でもご紹介した排泄予知デバイス「D free」、代表の中西敦士さんに久々にお会いしました。わたしが取材したときはデモ機だったのですが、今は記事タイトル下写真のようになっています。

現在、介護施設での導入が進んでいます。このブログやイベントでお会いした方から、そういえば個人の購入はいつ頃というお問い合わせを受けます。聞いてみたところ2018年頃ということでしたので、楽しみに待ちましょう!

Dfree

ベッドサイド水洗トイレ

TOTOさんのセミナーに参加しました。

父が使っていたポータブルトイレは旧式で、気になる臭いなどは消臭剤でカバーしていました。汚物をラップでポンと包むポータブルトイレも多くありましたが、やはりウォシュレットがついているのは魅力でした。値段も安くなっていましたし(それでも40万くらい)、トイレ自体が軽く小さくなっていたので、移動も簡単になっていました。異物を流してしまったときも、取り出し可能です。

このトイレは特定福祉用具販売に指定されていて、年間10万円(限度額)の支給対象になっています。父を見ていて思ったのは、やっぱり自分でトイレに行きたいという欲求は相当強いんだなと。今生きていたら、設置も検討したかもしれません。

アクシブからALQ

足の不自由な母に試した歩行支援機アクシブ。もっと簡単な「ALQ(アルク)」という商品(この下の写真)が出てました。充電不要でばねの力で、歩きをサポートしてくれます。写真のようにベルトに装着して、ももをマジックテープで固定するだけで、自然と前に進みます。

高齢者の歩行が困難になってきたとき、転倒予防用などに便利な商品だと思います。母は足の筋力が極端にないので、助かるのですが、認知症なので自分で取り付けるのがちょっと面倒なんですよね。アクシブのときよりは、だいぶ改善されています。

ACSIVE アクシブ

今日もしれっと、しれっと。


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2件のコメント

くどひろさん、こんばんは。

私がこちらのブログへたどり着いた切っ掛けは、見守りのカメラの記事でした。

当時色々考えて、一番安いネット回線を母のところへ引き込み、そこにカメラを繋いで
家から監視すれば、母の様子が分かるので、回線を引いて貰って、費用負担は私持ちでもいいと考えました。
結局は、入居している施設が古い施設で、マンションタイプの全戸ネット回線契約が必要である事が解り
流石にそこまでの交渉は無理だと思い諦めました。

そしてアクシブ、こちらも以前テレビで取り上げられてましたが、実は私も先天性の病気があり、筋力があっても力強く歩く事が出来ません。
年齢を重ねてから、体力も筋力も落ちて、色々ドクターショッピングをした挙句に、先天性の病気がある事が判明
200メートルしか歩けなくなった時期を経て、2年のリハビリの後、真っ直ぐに歩けるようになりました。
酷い時はどんなに気をつけても、左に左に体が傾いてまっすぐ歩く事が困難でした。
私は両足が悪いので、両足にアクシブ付けて歩くのは気が重いなと思ったり、手術で体を切るくらいなら、アクシブ欲しいなと思ったり
動力がないと言う点では私も物凄く歓迎ですが、もっと軽量小型化して欲しいなと、欲を掻いてます。

まっすぐ歩きたいのに歩けない、結構ストレスですよ、コケる可能性も高いですし。

自分もてんてこ舞いさま

スマカメの記事人気ですし、カメラ自体もすばらしいのでどんどん広まって欲しいと思っています。今度じっくり記事を書く予定です。
アクシブよりはアルクは装着がかなり楽で超軽量ですが、ばねの力が弱いです。ロボットスーツは面白いのですが、予算や装着的にも現実的ではないかなと。理学療法士さんとは、病気がもうちょっと進んだらリハビリ用にいいかもと話しています。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか