全国初の「認知症ヘルプマーク」のプレスリリースを読んで思ったこと

9月18日の愛知県大府市(おおぶし)のプレスリリースに、認知症ヘルプマークについての記述があったので、ご紹介します。

愛知県大府市は、認知症施策を先導してきた自治体として、認知症の当事者が身に着ける「認知症ヘルプマーク」の全国展開を加速化させます。

引用元:https://kyodonewsprwire.jp/release/202409196644
認知症ヘルプマーク

市は、「認知症ヘルプマーク」が全国で周知され、認知症を正しく理解し、認知症の方やその家族を温かく見守ることができる共生社会実現の一助となることを期待して、全国展開を目指しています。先だって、大府市民に対してひとり歩きの恐れのある市民やその家族に認知症ヘルプマークのデザインを反映(デザイン領域「横65㍉㍍×90㍉㍍」)したラバー素材のパスケース(大きさ「横65㍉㍍×100㍉㍍」)を配布します。

引用元:https://kyodonewsprwire.jp/release/202409196644

初めて認知症の母と会話した人、例えばセールスの人の様子を見ていると、重度まで進行している母であっても、認知症と気づく人はいません。

でも30秒くらい話すと、「あれ? 会話がかみ合っていない」とか「答えがずっと同じ」とか「あれ、それ、こればかりで意味が分からない」と多分思うはずです。

最長で30分も母と話し続けたセールスには驚きましたが、その人と訳あって話したときに母の認知症を伝えて、妙に納得していたのを覚えています。

ヘルプマークはセールスなどに悪用されると困るのですが、ご近所の方とか医療従事者とかすぐに認知症と気づいて欲しい相手もいます。家族の立場ではそう思いますが、ひょっとすると当事者の中にはためらう方もいるかもしれません。

認知症ヘルプマークの課題

わたしは認知症介護の講演の時にオレンジリングをつけて登壇していますが、認知症に関わる行政の方や医療・介護職の方、認知症介護をしているご家族はオレンジリングの存在を理解していますが、一般の方への浸透はまだまだです。

2005年からオレンジリングは始まったようですが(違っているかも)、20年近い歴史あるオレンジリングですらこんな状況ですから、ヘルプマークも一過性のものではなく粘り強く普及を続けて欲しいと思っています。

認知症サポーターの証であるオレンジリングは今、こんな感じになっています。以前は無料配布でしたが、有料の自治体もありました。わたしは認知症サポーターカードは持ってないです。

令和2年度までは認知症サポーターの証として、オレンジリングが全国一律で配布されていました。令和3年4月以降は、原則として、講座の実施主体者である市町村・都道府県及び企業・職域団体ごとに作成される認知症サポーターカードが渡されます。また従来通り、オレンジリングを配布する市町村・都道府県及び企業・職域団体もあります。

引用元:https://www.caravanmate.com/aboutus.html

認知症を「ニンチ」と呼ばないバッジとか、認知症に関するたくさんの仕掛けは全国で立ち上がるのですが、地道に続けていくのはやはり難しいことなのだと思います。ということで、認知症ヘルプマークのこれからの広がりに期待したいですね。

今日もしれっと、しれっと。


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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか