【認知症の妄想を乗り越えて】「作業療法士」さんによるリハビリテーション始まる!

週1回、40分のリハビリテーション(身体機能維持、筋力維持訓練)を開始しました。

文章にすると1行ですが、ここにたどり着くまでには約3か月ほどかかっています。理由は簡単で、

「認知症の母が、リハビリテーション嫌いだから」

シャルコー・マリー・トゥース病という病気で、末梢神経が損傷していて、神経の伝達信号が末端まで届かないため手や足の筋肉機能が低下しています。最も分かりやすい症状は、

「スリッパを履けない」

ことです。足先に力が入らないので、スリッパを足でキープできないんです。最近通っている歯医者では、スリッパを履かずに診療しています。この病気の進行はゆっくりなんですが、なんかしらリハビリしておかないと、さらに歩けなくなってしまいます。

筋肉機能が低下すると、こんな感じで委縮していきます。確かに歩きづらそうな足です。手も同じ感じで、えぐれています。

Charcot-marie-tooth_foot
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。

3か月間、リハビリがすごくいい! という話ばかりをして、ポジティブイメージを植え付け、最終的には、

「あんたに迷惑かけられないからね、リハビリやる!」

と言ってくれました。やった!と思ったのも束の間、こんなポジティブイメージも、すぐ吹き飛びます(笑)

リハビリをやりたくない理由(妄想含む)

1.以前のかかりつけ医が、「治らないものにお金をかける意味がない」 と言った
2.ふだん家の中で家事をしていて、歩いているからリハビリはいらない
3.男の人が来ると、近所の人から変な目で見られる

かかりつけ医は確かにこのような事を言う可能性もありますが、わたしは母がリハビリをやりたくないがための妄想だと思っています。以前はケアマネの薦めでリハビリをしていたのですが、突如止めてしまいました。その理由をケアマネさんに聞くと、

「ご本人の頑なまでの意志により、やめました」

以前もいやで止めてしまったようですが、主介護者がわたしになっているので、今後は絶対にやめません。気になるのは、なぜリハビリがいやなのか この理由をつかめないでいます。妹の話では、以前リハビリしていた時も、かなり駄々をこねていたようです。

今に始まった話ではない ということが分かって、ちょっとホッとしました。でも理由は分かりません。

リハビリの意味

1.何もしなければ確実に進行していくため、今よりもさらに手足が不自由になる
2.何もしなければ、現在の訪問リハビリ以上のお金が間違いなくかかる
→ 車椅子になったらバリアフリーにしたり、ヘルパーさんを使う時間も増える
3.作業療法士さんと触れあう時間が増えるので、「認知症」にもいい

3.は実は大きいんです・・・認知症で通院している病院の作業療法士さんが、リハビリをしてくれます。認知症を理解したうえで、作業療法士さんがリハビリテーションを行ってくれるのです。ヘルパーさんや病院、そしてこのリハビリと何かと 「人」 に恵まれています。 もちろん情報はすごーーーーく集めていますが、それにしてもかなり 「人」 に恵まれています。

リハビリテーション実施計画書

リハビリの目標、活動が自立できるかどうか、プログラム内容などが書かれています。気になったのは現在の 母の「自立度」 の判定です。記号しかないので、意味を調べてみるとこうでした。

障害老人の日常生活自立度 A1
→ 介助により外出し、日中は殆どベッドから離れて生活する。

痴呆性老人の日常生活自立度 Ⅱa
→ 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。

未だに「痴呆」って言葉が残っているんですね・・・ さすがに訪問看護を受けている病院のリハビリなので、「自立度」も正しいです。認知症同様、こちらのリハビリも完治がゴールではなく、「現状維持」 がゴールになります。

リハビリは始まったばかりですが、ものすごい勢いで駄々をこねまくり始めています。

「男の人と違って、女の人は力が弱い。ぽちょぽちょってリハビリをする」

男の人は嫌だから、女性の作業療法士さんをお願いしたのに、今度は力がどうのって・・・リハビリやりたくないだけなんですよね、結局。

1人暮らしでもごはんは毎回3合炊くし、薄着で寒空の下で外に出て風邪はひく、風呂は何か月も入ってない。直したいところだらけですが、それでも我慢して本人がやりたいようにやらせているんですが、リハビリだけは若干強制的にやってもらうようにします。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか