介護で「きれいごと」を考えることは大切

介護 きれいごと

先日、THE PAGEさんの認知症5回コラムが終了しました。ヤフーニュースに掲載され、ものすごくたくさん読まれましたが、昨年同様辛らつなコメントもそれなりに頂きました。例えば

  • この記事を書いた人は、介護をしたことがない
  • この人の文章を読んでいると、きれいごとしか書いてない

柔らかく翻訳してますが、もっときっついコメントもありました。(全部読むと疲弊するので、一部しか読んでません)たくさんの人に読まれるというのはこういうことで、木暮太一さんが言ってた、本のAmazonレビューは★3.5がベストという話が痛いほどよく分かりました。どういうことかというと・・・

なぜ「3.5」なのか?それは、その本が本来想定している読者を超えて拡がってきたことを示しているからです。通常、いい本は、その本のターゲット読者が読めば、いい評価がつきます。星の数でいうと、「4」か「5」です。でも、ベストセラーになり、ターゲットとしている読者以外の人が読むようになると、メッセージが伝わりづらくなり、評価が落ちます。
引用元:http://koguretaichi.com/blog/2016/07/howtouseamazon

コラムのターゲットにしていない人(介護に全く興味がない人)にも読まれるということでして、広く読まれたことを意味してます。せっかくですので、辛らつコメントにあった「きれいごと」について考えてみたいと思います。

「きれいごと」を調べてみると

1 実情にそぐわない、体裁ばかりを整えた事柄。「もはや綺麗事では済まされない」「綺麗事を並べる」
2 手際よく美しく仕上げること。
引用元:http://dictionary.goo.ne.jp/jn/58582/meaning/m0u/

コメントにあった「きれいごと」とは、コラムの内容が、コメントする方の介護のイメージや現実と合ってなくて、介護って、そんなに甘いもんじゃない!現実はそんなふうにはうまくいかない!ということだと思います。

わたしは「きれいごと」をきちんと描けないと、いつまで経っても現実からは逃げられないと思っています。

介護ってそんなに甘くない・・・そう考えて、何年も介護し続けるのは自分を疲弊させるだけだからイヤです。現実はそんなふうにはいかない・・・どうやったら、現実にできるか考えたいです。「きれいごと」がウソで塗り固められたモノならば、それはよくないですけどね。

祖母が90歳で亡くなったので、母がそこまで生きるとあと17年あります。「17年も」と考えてゾッとする人もいると思うのですが、正直17年なのか明日終わってしまうか分かりません。だから、ゾッとすることもありません。その17年間、愚痴たれて人生過ごすのはイヤです。たまにならいいんですけど、そんなもったいない人生の過ごし方はあり得ません。自分の人生、楽しみたいので。

せっかくですからね、辛らつなコメントをも自分のエネルギーに変換して、いい意味の「きれいごと」をしれっと書き続けたいと思います。ブログへのアクセス数がグッと増えたので、きっと賛同してくださった方も多かったんだろうと思っています。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

12件のコメント

レビューは★3.5がベスト、妙に納得しました。
あまりに高い評価ばかりだと期待値も上がってしまい思った程ではなかったという感想を持ってしまう事もあるでしょうし、みんなと違う意見を言いたがる人、ただただ批判したがる人も中にはいることでしょう。そんな時こそ、しれっと!ですね(笑)

くどひろさんの自分の人生楽しみたいっていう考え、大好きです!自分を大切にする人は、他人も大切にできるって思います。

おかきさま

広く行きわたると評価も下がる、評価が下がらないうちは多く読まれてないという面白い考え方にわたしも妙に納得しました。

ねーさんさま

ありがとうございます。おっしゃるとおりで、言い回しは違うんですけど、全く同じことをどこかのコラムに書きました・・・どこだったかな・・・

介護を苦行にしてしまうと、介護地獄が待っています。負のスパイラルに陥ってしまいますよ。
介護者のネガティブな気持ちを反映した行動が、認知症の方の行動に反映しますからね。
昔、認知症の方を一生懸命治そうとしていた遠距離介護者を評して、川崎幸クリニックの杉山先生は、地獄を見てもらうしか無いでしょう。
そこから、自分で這い上がって来てもらうしか無い。と言ってました。
言い換えると、綺麗事の介護の話ができる様にならないと、認知症の方の介護は続きません。
気持ちを切り替える事で、認知症の方が救われます。それで介護者も救われるのです。
これを、理解できるまで、多くの介護者は苦しい日々を過ごすことになります。

小関先生

本当にコメントのとおりです。しかし愚痴系介護ブログはかなり人気がありますし、常に悲観的に考える介護者・介護者予備軍もかなり多いです。愚痴ばかり書いていると自分の気持ちがネガティブになりますので、わたしはそういう発信は好きでないです。このブログを読んでいる方のほとんどは、愚痴や悲観論に嫌気が指した方々です。

愚痴系のブログを書いている方の全てが、ネガティブ思考という訳では、ないと思いますが………。
過激に愚痴を書くことで、ガス抜きをしている方も居ると思いますよ。
どうやってガス抜きするか?これも介護者にとって重要なテーマですよ。
真面目に介護をして言って、毒抜きがうまく出来ない方々の中に、悲惨な結末を迎えてしまう方が居ます。
この様な方々を、どうやって対応して行くのか?難しい問題です。

わたしは愚痴ブログのガス抜きを受けとめてしまって、分かるがゆえに共感疲労するのであまり読まないようにしています。発信する側も、読む側も自由なので、自分に合ったチョイスをすればいいと思います。真面目にどっぷり介護をしそうな人が、「しれっと」という言葉を頭に浮かべて、ガス抜きしているというコメントをよく頂きます。ありがたいです。

綺麗ごとと愚痴! 
すごくわかります。今回年越しを認知の父と自分の自宅で過ごし、如何に説明しようが
介護キーパーソンの私と認知発症前の父しか知らない他の家族の認識のズレが良くわかり、又、父側の趣味の件のこともあり私の自宅での介護は解消することにしました。
元々はデイサービスの閉鎖という緊急事態がなければ出ない話でしたし、元の戻っただけの事なのですがいろいろと移動の為の手続きで奔走したのが「パー(笑)」になったのは精神的に疲れました・・。
私は実は夫の両親とも同居なので、どこかで「ほっ・・・」ともしています。
言い出してくれた夫の気持ちには感謝ですが、やはり地獄をみんなで味わう必要もなく、私も義理の両親には申し訳ないですが自宅を真の意味での「自宅」と感じたこともないなと・・。
半分不自由で半分自由なこの「雰囲気」。 まだまだこれからです。
父は同居してから毎日のように私と「くちバトル」してるのでとても言葉が多くでるようになりましたが、反面、用事を命令して自分で動かない傾向なので、今後はパーキンソンの対処も非常に重要になってきています。
泥水すすって綺麗ごとを言ってきますよ! しれっと!開き直り! いいじゃないですか?

いっこさま

年始からバタバタでしたね。いい意味で開き直ったり、きれいごとを言うことってすごく大切だとわたしも思っています。現実を受け入れながらも、しれっといきましょう!

同じ県内での介護生活なので中距離?介護ですが母が認知症と診断されて1年半が過ぎました。今は週に一度、実家に帰っています。その間、くどひろさんのブログにどれほど元気づけられたか・・・時には母と関わるのが嫌で、話すのもイヤになったり、そんな自分がイヤになったり・・・どうしても介護といえば「愚痴っぽく」になりやすい中でくどひろさんの優しい、でも客観的なお母さんへの対応を読むと、ほっとしています。まだまだ私もこれからだと思いますが母が天寿を全うするまで、私自身も「しれっと」しながら中距離介護生活を送りたいと思っています。

みるきーママさま

わたしのブログがお役に立てているようで、よかったです!

確かに愚痴っぽくなることあります、でも文字にする瞬間に客観的になれる自分がいるので、ブログはありがたいなと思っています。将来を不安視する方も多いのですが、しれっと目の前のことに集中していければと常に考えています。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか