人生最大の母孝行なるか?遺族年金の結果が来ました

遺族年金

12/14(木)の紀伊國屋書店新宿本店さんでの刊行記念トーク、みなさまぜひ遊びにいらしてください!

がんばりすぎずにしれっと認知症介護

9月に亡くなった父の手続きの中で、一番力を入れて頑張ったのが「遺族年金」です。

遺族年金 夫 死亡 手続き

この申請が通るか通らないかで、母のこれからの生活は大きく変わります。通らなければ未支給年金を1回受給して終了、認められれば、母が生きている間はずっと遺族年金が支払われます。母がどれだけ生きるかにもよりますが、金額にして数百万から1千万近い差があります。

27年前に父が家を出てから、母は自分の年金と祖母の年金で生活をしていました。父も最初はいくらか母にお金を渡していましたが、次第に減額され一時期はゼロになりました。それでは母が生活できなくなると、わたしは父に交渉をして、月数万もらう確約をもらいました。

それでも父の年金額から考えれば、もうちょっと母にお金を渡すべきだと思ったのですが、父は父でマンション管理費等に追われ、払えなかったんですよね・・・頭悪すぎです。

父がそのまま家にいたら、母はもっと裕福な生活が送れていただろう・・・と思ったり、亭主関白から解放されてよかったと思ったりで複雑です。その父がもらっていた年金の一部を、母が引き継ぐのが「遺族年金」です。

遺族年金の申請結果

普通に考えれば、27年の別居ですから夫婦関係は破綻しています。籍は残っていましたが、父と母は住民票は別。生計同一(夫婦や親子が、同じ屋根の下で暮らす)ではないため、遺族年金は受け取れません。しかし、いろいろ調べて分かったことは、簡単に言うと「金の切れ目が縁の切れ目」ということでした。

父と母はかろうじてお金でつながっていることが、いくつか証明できました。

  1. 毎月の母の生活費補填を、結果的には父がしていたことになった
  2. 父が出て行ったあとも、母の家の固定資産税の一部を支払い続けていた

1は、わたしが銀行の代理人カードを使って引き落としていました。2に関しては、土地の名義変更が面倒だった父が、そのまま固定資産税を払っていただけのことです。それでもお金のつながりはあったのでこれで証明できると考えて、申請してみました。第三者の証明が必要なので、この家庭事情を新ケアマネに説明し、サインを頂きました。

8割の確率で支給されないだろうと思っていた遺族年金は、支給されることになりました!

変わる先行投資の考え方

自分の本に書いたのですが、わたしは認知症介護を「先行投資型」でやっています。

医療・介護に関しては、先行投資をして母の「ほぼ健康で動ける時間」を延ばしてやろうという考えです。人生後半になって慌てて医療費などにお金をかけてしまったり、その時のために貯金する方はたくさんいます。そうではなくって、そのお金を早めに投資したら、ひょっとすると人生にかかる総コストが減るんじゃない・・・というのが、わたしの考えです。

その分、住まいや衣服などにはあんまりお金をかけないで、質素にやってきました。しかし、遺族年金が支給されることが決まりました。まだ元気で、母の記憶にも残るかもしれない今、お金をかけて住まいにも還元してあげよう!そう思いました。

還元第一弾は、居間と寝室のたたみを替えることです。前から母は、畳が毛羽立っていることを気にしていました。その毛羽立った畳を座布団で隠し(下の写真)、ヘルパーさんに見られないよう何年もやってました。なんかかわいそうだな・・・って思っていましたが、年金のムダ使いはできないのでガマンしてもらってました。

遺族年金

畳を新調してからというもの、座布団で隠すこともなくなりました。

い草の香りが気持ちいいですし、畳にはまさかの断熱材が入っていたのです!築50年近いわが家の居間は去年、わたしのDIYによって天井だけ断熱材が入りました。しかし床はスッカスカ・・寒いのなんのって。畳には伊藤園のお茶の殻も入っていたりして、消臭&リラックス効果まで!畳の進化、ハンパないです。

母の寝室も、畳を新調しました。これで気持ちよく眠れることでしょう。

父の死を経験して、改めて人って突然死ぬんだなと思いました。なので、住まいに関しても先行投資を少しだけして、極寒対策をしてあげようと思います。遺族年金の手続き、頑張ってよかった!

認知症の症状スイッチON

国産の熊本のい草を使用した、国産畳に交換しました。汚れが落ち、水洗いできる介護用畳というのもあるのですが、まだ大丈夫だろうと思って、普通の畳にしました。認知症の祖母が便を畳の上でかき回した跡が隣の部屋にあったので、介護用畳も悩みましたが、今回はふつうのやつで。

この畳は、目の流れと光によって色が変化します。目に沿ってみれば白く、目と垂直に見れば緑に見えるのです。母はこれが気になってしょうがないようで、わたしにこう質問します。

ひろ、なんでこの畳は白で、あの畳は緑なの?
くどひろ
光の当たり方じゃないの?

この会話を3日で40回以上繰り返し、おそらく過去最高に同じことを繰り返す母にげんなりしかけました。そこで、後日来てくれた畳屋さんを居間に呼び、畳の目の説明を母にしてもらいそれを録音しました。

ひろ、なんでこの畳は白で、あの畳は緑なの?
くどひろ
畳屋さんの説明聞いてみる、ほら!(スマホで音を母に聞かせる)
あぁ、そうなの。光の当たり具合で変わるのね、なるほど~

この音声は今のところ5回ほど聞いてもらってますが、まだまだ活躍しそうです。畳の色が劣化するまで、続くのかな・・居間も寝室もふところも、少しだけ温かい冬が迎えられそうです。よっしゃ!

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

たまたま初めてブログを目にして
胸がワサワサする気持ちで
急いで読み進みました
私の話なのか??と錯覚するほど
涙が止まらない思いで
いっぱいでした
もっと早く目にしていれば
新宿紀伊国屋書店へ
行ってみたかった!と思っています

まみをさま

コメントありがとうございます!

シンクロする部分がたくさんありましたか?

紀伊國屋書店新宿本店のさんの新刊記念トークイベントはまだ募集中ですので、お時間あるようでしたらいらしてください。

イベントの詳細はこちらです↓
https://40kaigo.net/publishing/15539/

くどひろさん
早速お返事ありがとうございます
私の両親は25年別々に暮らしており
父はこの9月に亡くなりました
いつかこういう日が来ると
わかっていながらも
くどひろさんのおっしゃる通り
人は本当に突然亡くなるものですね……
残された母とは、これを機に
一緒に暮らし始めましたが
残された手続きはとにかく大変ですよね
私の場合は非常に珍しいケースと
難しいねじれた状況なので
親族、相続、遺言、年金、弁護士などなど
委任状片手に毎日走り回り
行く先々で、冷たくあしらわれ
いろんな思いをして、孤独との戦い、
何度も心が折れました

偶然同じ年齢のくどひろさんが
とても頑張っていらっしゃるのを知り
勝手に親近感と励みになりました
お会いできたら泣いてしまいそうですが
是非お話を伺ってみたいので
紀伊国屋書店行けるようにします!

まみをさま

なるほど!シンクロ率が高すぎて、わたしもびっくりしました。
ブログで記事にしていると、こういった奇跡的なことがあるから、やはり発信しつづけることは大切ですね。

遺産分割協議書の作成がうちは楽だったのですが、まみをさんは本当にご苦労されたんだろうなと推測します。紀伊國屋さんで気軽にお声かけください、お待ちしております!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか