10年ぶり?の介護施設見学と私の施設選びポリシー

10年ぶりに、介護施設の見学に行ってきました。厳密に言うとこの表現は正しくないので、タイトルに「?」をつけました。

目的は、認知症の母を施設に預けるためではありません。介護の基本方針は10年前からずっと変わってなくて、いけるところまで在宅介護でいきます。

理想は在宅で母を看取ることですが、そこに強くこだわり過ぎて疲弊したり、母にとってプラスにならなかったりする場合は、躊躇なく方針転換してもいいと思っています。

母の認知症は重度まで進行していますし、他の人より転倒リスクの高い難病を抱えています。いきなり在宅介護が続けられなくなるかもしれませんし、コロナが第5類になって施設見学しやすくなってきたので、少しずつ見に行くつもりです。

10年ぶりの介護施設見学ではない

10年前の施設見学について、おさらいします。亡くなった認知症の祖母は、子宮頸がんで療養型病床に入院していました。当時は今ほど知識がなかったので、がんで医療行為は必須と考えて、最期まで病院がいいだろうと思っていました。

しかし、その病院のベッドから転落して大腿骨を骨折。ベッドで寝る時間が増えていき、どんどん弱っていく姿を見て、さすがにこのままではまずいと思って病院から出そうとしました。

病院のMSWさんからは、老健と住宅型有料老人ホームを紹介され、施設の前まで行って場所の確認だけして終わってしまったので、中の見学はしていません。

なぜ見学にしなかったかというと、祖母の退院を検討するたびになぜか熱発して、医師からこのまま病院に居たほうがいいと言われたからです。当時は在宅医療を知らなかったし、母も認知症と診断されたばかりで、2人同時に介護はムリと思っていたところもありました。

また介護歴1年未満だったわたしは、介護施設の違いをよく分かっていませんでした。介護施設の比較サイトは活用しまくっていたものの、10年前は岩手県盛岡市の施設の口コミはほぼなくて(今も少ない)、途方に暮れていました。

ちなみにお仕事ではグループホームの方に講演をしたり、サ高住の見学に行ったりしているのですが、母親のための施設見学は今回が初です。

わたしの介護施設選びのポリシー

わたしの介護施設選びポリシーはこうです。

  1. 認知症だからグループホーム、要介護4だから特養みたいな考えは持っていない
  2. 介護施設チェックリストを持って見学に行っても、本当のところは分からないし見抜けない
  3. 身近な介護職の方のオススメを取り入れる

ポリシーをまとめると、母と長く接している介護職の方は母の性格も、施設との相性も自分より分かっています。その方がお薦めする介護施設の見学に行くという、シンプルなやり方です。

これをやるには介護職の方との信頼関係がないと難しいのですが、長年在宅介護をしている中で築いてきたのでクリアできています。たぶんこの方のオススメなら、いい施設なのではと。

また施設の見学で何を見抜けるかですが、わたしは何も見抜けないと思っています。チェックリストには建物や設備を見なさい、サービスの提供状況を見なさい、施設の清掃が行き届いているか見なさい、経営方針を聞きなさいと書いてあります。

そこをいくらチェックしても、失敗はあり得ます。転職面接に行って、オフィスがキレイで会社の人事が好印象でも、入社してみたら上司や同僚が最悪だった、ブラック企業だったなんてことがありますが、あれと全く同じイメージで、短時間では見抜けません。

だから自分よりも、その施設に何度も何度も出入りして、他の利用者や利用者家族から評判を聞いていて、母の性格を加味して考えてくれる介護職の方の情報を信頼したほうが、リスクは減らせると思っています。

住宅型有料老人ホームを見学した

介護職の方のオススメは、住宅型有料老人ホームでした。この方も特養、グループホームとこだわりがなくて、母との相性を最優先に考えてくれて、ココかなと言ってました。

見学して思ったのは、現状の介護体制に満足しているわが家としては、住宅型有料老人ホームのほうがむしろいいなと。というのも、今のケアマネさんも通っているデイや訪問リハなど、すべて変えたくないからです。

施設長と話しながら、母が施設で生活するイメージを膨らませました。在宅介護を長くやってきたので、この廊下を歩くには歩行車が居るとか、この家具を持ち込んだら落ち着くとか、次々具体的なイメージが浮かびます。介護歴1か月で施設見学したら、これはできないでしょう。

オススメの施設に納得したのですが、すでに入居待ちの方がいました。同じ方法で介護職の方がお勧めするところを見学するつもりでいます。一通り見て比較をしてから、申込を考えます。とはいえ、基本方針は最期まで在宅です。

音声配信voicyの最新回は、冷蔵庫のベビーガードを突破した母が作った料理の話です↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

>要介護4だから特養みたいな考えは持っていない
問うのは何故でしょうか

匿名さま

介護度や施設の種類よりも、母親と施設との相性を最優先に考えているからです。ただわたしの力では施設との相性は見抜けないので、よく知っている方の情報を頼りにしています。結果としてグループホームを選択する可能性もあります。高額な有料老人ホームだけはうちの経済力では無理なので、それを除けばどの施設も入居する可能性はあると考えています。

介護施設の見学で見る点ですが、個人的には、入居者の顔を見ることかなと思っています。
表情や清潔感などですね。
親を入居させる介護施設を探していた時、条件面で候補に残った施設が二つあり、どちらを選ぶか考えた時に、施設の共用部にいた入居者達の雰囲気が良かった方を選びました。
もう一方の施設を選んでいたら今どうなっていたかは分かりませんが、選択は間違っていなかったと思っています。

Marchさま

選択は間違ってなかったと思えるのは、すばらしいと思います!
入居者の顔もありますよね。 その方法は判断が難しいのでポリシーに入れていませんが、いずれにせよ納得できたらいいなと思ってます。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか