「迷惑かける」という気持ちは、介護離職の強いモチベーションになる!

介護離職

先日、介護離職したときの職場メンバー(自分以外全員女子(笑))と飲み会をしました。

転職してわずか9ヶ月で、祖母が子宮頸がんになり、余命半年と言われ、同時に母が認知症になったのが3年前です。

有給を使って、盛岡に数日滞在。母の介護サービス契約をして、デイサービスの見学をする。病院探しをしながら、祖母の成年後見人の準備で裁判所に行き、また東京に戻るという日々でした。

何往復もした1か月の交通費は、最高で10万円を超えました。大変そうに書きましたが、割と淡々とこなした日々なので、介護に関してはほぼストレスはなく、仕事は後ろめたい気持ちでいました。

「迷惑かける」介護離職の強い理由

会社を何度も休んでマネージャー代行をしてもらったので、かなり迷惑かけました。介護離職する人って、この「迷惑かける」という気持ちが、離職の大きなきっかけになるんですよね。

「介護離職すると経済的に追い込まれる」というイメージが強いかと思いますが、それは次のステップ。まず「会社や同僚、チームに迷惑かける」という気持ちが先にきます。仕事を代行してもらうたびに、あと何回お願いすることになるだろう・・・そう考えたりします。

特に40代を過ぎると、役職になる時期と介護を迎える時期が重なります。リーダー的立場でありながら、何度も休めない、だったら辞めてしまおうとなるわけです。

それでも経済的恐怖(住宅ローン、生活費、教育費など)は、「迷惑をかける」後ろめたさをも凌駕する力を持っています。だから、両立を模索する人が断然多いのです。

両立を模索しながらも、迷惑をかけ続ける日々。でも辞めると、お金が続かない。こんな戦いをしている人は、今もたくさんいらっしゃいます。

わたしの場合、介護離職に踏み切った “強烈な” 理由が、別にもありました。

介護離職に踏み切ったもうひとつの理由

  1. 余命半年と言われた祖母をみないと、一生後悔する
  2. 真冬に灯油在庫ゼロ、燃えるゴミが捨てられず小屋に山ほど隠してあった実家
  3. 介護と仕事と両立なんてできない!と思えるほどの忙しさ

1や2については、自著やブログで今まで書いたことがあります。3つ目は、ブログでも本でも触れたことがないです。

「くどひろマネージャーのようになりたくない」

職場で、よく言われました。

朝会社に行ったら、夜までミーティングがぎっしりでほとんど席にいない、そんな仕事でした。転職したばかりで、自分でうまくコントロールできない葛藤もありました。意味不明だけど、立場上参加しておかないといけない・・・そんなミーティングだらけでした。

試しに深夜バスで盛岡から8時間揺られ、そのまま会議に出てみたら、あり得ないほど疲れました。祖母が倒れて1か月後には、介護離職の決断をしてました。相当、見切りが早かったと思います。

今思うと、これはとてもラッキーだったなと。中途半端に「介護と仕事の両立」を目指してたら、半年ぐらいでつぶれてたんじゃないかなと思います。ほぼ迷いなく辞める決断をしたからこそ、淡々と介護手続きをこなせたんだと自己分析しています。

1度目の介護離職と違っていたこと

33歳で介護離職したとき(父が脳梗塞で倒れた)、ホントの理由を言わないで辞めました。

「自分でやりたいことがある」

そんな言い訳をして辞めました。脳梗塞の叔父を見てましたから、これはもう人生見直さないと・・・そう思いました。結局は復活して、ほとんど介護せずに済んだのですが。

40歳で介護離職したときは、チームメンバーに家庭事情や病気、認知症のこと、成年後見制度まで説明をして辞めました。33歳の時もマネージャーだったのですが、チームメンバーにウソをついて辞めたわけで、なんかそれがひっかかってました。

介護においても祖母の失敗を母では繰り返さないようにしてますし、離職も33歳の失敗を繰り返さないようにしています。2度目のチャンスが巡ってくる人ってなかなかいないと思うので、やっぱりわたしはラッキーだって思います。

いつもだとここから、介護離職の対処法的なことを書くのですが、今日は自分のことを最後まで淡々と書きますね。

ブログのこと

今まで勤めた会社で同世代の人には、このブログのことを伝えてます。もし同じような状況になった時、少しは役に立つという思いからです。しかし介護離職時のメンバーはみんな若いので、ブログ名までは知らせていませんでした、まだ早いかなって。

でも、今回は伝えました。本を出したから・・・ではなく、今の仕事(文章を書く)が本気で面白いと思ってるからです。面白いと思って、それが少しずつカタチになりつつあるから伝えました。

みなさんはどうですか?

生き生き仕事している人、見かけますか?仕事の愚痴を言ってる人に、囲まれてませんか?

そして仕事、面白いですか?

わたしは常に収入の不安はつきまとうのですが、認知症介護と同じであまり先を不安視して生きると、今がもったいないので、うまくセルフコントロールしています。

まさか介護がきっかけで、こんな人生になるなんて1ミリも思ってもいませんでした。今まで数値ばかりの仕事をしてきた人が、いきなり文章書いて生活しているんですから、ホント人生って分かりませんよね。

飲み会の帰り道、こんなことを思いながら家に帰りました。

今日もしれっと、しれっと


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

6件のコメント

先日コメントさせていただいた、しんでぃーといいます。
好きなことをして楽しく仕事できるっていいなぁと思います。
自分も書くことは好きなのでまだブログを楽しく続けています!
自分も将来文字を書いて生きていきたいなぁ!

しんでぃーさま

毎日ブログを続けてらして、すばらしいと思います。
不思議なんですけど、書き続けるといろんなことが起きます。まずは3か月、目指せ記事100本からスタートして、半年、1年と続けてみてください。見える世界が変わるはずです。

初めまして。
私も工藤さんと同世代、認知症の父(要介護2)の介護を初めて1年程経ちました。
そんな中、半年前に職場の異動があり、全く違う仕事場に配属されほぼ新入社員的なポジションにいます。
職場全体が若い子の多い職場で、あまり話にも馴染めず、仕事も苦手な職に配属されてしまったので信用もなく、全く興味のない仕事に毎日ジレンマです。
退職も考えていますが、職場の方に止められ日々悶々と過ごしてます。
工藤さんの生き方、何だか素晴らしいですね。
父は認知症ですが、たまに困ったこともありますが子供のような言動に癒されることもあります。
異動前の職場で介護と仕事の両立は信用もあり多分ある程度出来たと思うのですが、今の職場で出来る気がしません。
今回のブログに何だか共感しました。
ありがとうございました。

たえやんさま

コメントありがとうございます。

子どものような言動に癒される・・・よく分かります。

いえいえ、大した生き方ではないですが、変わっているとよく言われます。変わっているから発信してますし、そういう人もいるんだぁって思ってもらって、視野が広がればいいなぁと思っています。

今後とも、よろしくお願いします!

母が認知症に進みつつあり、アマゾンで書籍の検索からくどひろさんのブログに出会いました。
突然やってきたことだったのでなんの準備もせず目の前が真っ暗になりました。書籍やブログでいろいろ情報に接して、知らないことがいっぱいあるけれど少し気が楽になりました。両親の老いを目の当たりにして複雑な気分になります。また病気のせいなのか攻撃的な言動が増えて少しまいっていますが、しれっとを目指してこちらも余裕をもてるようになりたいと思います。こうやって情報を発信していただけることがとても有難かったのでコメントさせていただきました。これからもよろしくお願いします。

そらまるさま

コメントありがとうございます!

書籍やブログでいろんなことを発信しているので、お役に立つとうれしいです。いろんな角度で書いているので、どれか当てはまることがあるといいなぁと思います。

今後ともよろしくお願い致します。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか