川崎老人ホーム転落死に思う「大聖堂をつくる介護職」に会いたい!

れんが

JR東海の最高裁判決のニュースが飛び交う中、まさかの川崎老人ホーム転落死の話です。まずは、昨日のツイートをご紹介します。


介護に限らず、いろんなジャンルの情報を収集しています。その中でも群を抜いて面白いのが、永江一石さんのブログ「More Access!More Fun!」です。

つい最近、こんな議論が話題となりました。(いいね!が9000以上)

高所得者は他の人より必死に努力し、働き、リスクテイクしている。そんな人が日本の所得税の半分を収めているというお話です。読んだとき、その通り!としか思いませんでした。(同時にわたしは、日本に貢献してないと感じました)

ところが「介護職みたいな人たちはどーすんだ!」と噛みつく人が現れ、なんでこうなるんだ?と思ってたわけです。そしたら、次の記事が公開されました。

介護に就いていただく人は「金よりも人に優しくすることに楽しさとやりがいを感じる」人にやっていただきたい。「やりたくなかったがほかに就職口がないからしかたなく」とかの動機はホント止めて欲しいです。こういう人が虐待とかするわけです。引用元:http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=25388

川崎の老人ホーム連続転落死ニュースを見たとき、全く同じことを考えました。「やむを得ず介護の世界で働くことに・・」なんて、実際そうでも絶対に聞きたくないコトバですよね。

この記事では、やりたいことが見つからない人は、2つの視点で考えよう!と言ってます。

  1. お金が欲しいのか、それほどでもないのか?
  2. 自分はなにに喜びを感じるか?

わたしの中の優先順位は、「余裕をもつ」これが1位です。余裕がないと、認知症の母につらく当たってしまうからです。時間的余裕が精神的余裕をも生むと思っていて、経済的余裕はそのあとの話です。1.に関しては、お金はそれほどでもない。

2番目のなにに喜びを感じるかですが、わたしはブログを通じて人のためになったり、喜んでもらったりするのがとにかく楽しいです。これは介護職の方もカタチは違えど、同じ思いだと思います。

ケン・ブランチャードの「れんが」の話

「7つの習慣」という本で読んだことある!という方もいると思いますが、ケン・ブランチャードの「ザ・ビジョン」のれんがの話が一番しっくりくるので、最後にご紹介します。

ある通行人がこう尋ねました。

『あなたは何をしているのですか?』

1人目の労働者が、汚れた汗まみれの仏頂面でこう答えました。

『レンガを積んでいるんでさあ』

2人目の労働者も、汚れた汗まみれの仏頂面でこう答えました。

『時給2ドルで働いてるんでさあ』

3人目の労働者も汚れて汗まみれでしたが、活き活きとした表情で働いています。

そこで通行人はまた尋ねてみました。

『あなたは何をしているのですか?』

『大聖堂を建てているんでさあ』

ひとつ前のエントリ、介護施設という「個」ではなく、「まち」という大きな単位に目を向けるんだ!も、このれんがの話にとても似ています。れんがを積むという同じ仕事でも、3人の労働者はまるで違うところを見ています。

「大聖堂建ててる!」っていう介護職の方、いっぱいいらっしゃいます。

川崎の事件を受けて、「ただレンガ積んでるだけ」「時給たったの2ドル」という自分の勤務先やお国に向けられるネガティブコメントに流されそうな自分がおりましたが、「大聖堂をつくる介護職の方も、大勢いるんだ!」自分への戒めのために、書いてみました。むしろそういう人に注目しないといけません、こういう時こそ。

れんがの話、わけあって何十回と見聞きしているのですが、いつも思うのが語尾の翻訳の秀逸さ。なぜ「さあ」で終わるのか分からないけど、労働者っぽい感じが伝わってきますよね。

でも、この平成においては、福原愛ちゃんのもの。わたしの頭の中だけ、なぜかいつもこうなります。

「大聖堂を建てているんで、サー!」

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

おはようございます。二回目のコメントです。
介護が辛いと思わないのは、家族を介護したことないからかもしれません。
本当に大変な方と過ごしていないからかもしれません。だからこそ、本当に辛い苦しい想いをしている家族様や、介護職の方にもどんどん触れ合いたいと思います。どこかに必ず他の手段があって、それを上手く活用する事で、辛かったことが軽減されるはず。
くどひろさんの著書から学びました。
若い人が自ら介護の道に入り、活躍してくれる事を願います。押し付けではなく、気持ちを導く。
簡単じゃないからこそ課題です。
くどひろさんが、どんどん色んなこと発信してくれることが、介護職のわたしにとっても希望です!
今後とも色々教えてくださいね!!

hitominさま

2回目のコメントありがとうございます!

おっしゃるとおりで、必ずどこかに何らかの手段が眠っているといつも思っています。それを見つけることができるかどうか(見つける気力も大切)ですよね。

こちらこそいろいろ教えてください、引き続きよろしくお願い致します!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか