認知症の代表的な症状「失語」を母に当てはめて気づいたこと

認知症サイトe-65.netの「失語」の解説が分かりやすいので、引用します。認知症における失語とは、下記のどこかに異常が起きる状態を言います。

・相手の声を、音として聞く

・聞いた音を、話として理解する

・話の内容を元に考える

・のど、口、くちびるなどの筋肉を無意識に使いながら声に出す

・相手に分かるように伝える

・単語の知識

・文章を正しく構成するなどの能力

引用元:http://www.e-65.net/medicine/category02_4.html

アルツハイマー型認知症でいう失語は、言葉の意味が分からなくなりますが、全く分からないのではなく、「言葉が出てこない」という表現が正しいと思います。

意味性認知症ならば、「りんご」の意味自体が分からず、りんごってなに?となりますし、進行性非流暢性失語ならば、助詞を間違えたり、うまく話せなかったり、もつれたりします。「わたし、、ご飯、、食べる、、」のようになるので、「失語」と言ってもいろいろです。

母はアルツハイマー型認知症の失語で、単語の知識が急速に減っていると思われます。

漢字の表記を工夫した

先日、インフルエンザ予防接種の申込書を書いてもらったとき、自分の名前や住所を漢字で書こうとすると、かなり怪しいのです。ヒントを与えると書ける場合もありますが、へんやつくりをごまかす日もあります。

訪問リハビリを受けた際、終了のサインを敢えてフルネームの漢字で書くというのを、理学療法士さんがやってくれています。わたしもできるだけ、母に書類を書いてもらうのですが、最近ではクイズ大会みたいになってます。

漢字を思い出せないだけでなく、読めない漢字も増えつつあります。例えば、居間にある壁掛けカレンダーの予定の書き方を、ここ数か月でこう変えました。

訪問リハビリ 15:30 → 訪問リハビリ 午後3:30 → 訪問リハビリ ごご3:30

まず「15時」が「午後3時」と分からない日があり、次に「午後」の字が読めない日があります。会話の中で気づいたことですが、結局ひらがな表記を多用するようになりました。読める確率は5割程度ですが、読めないと生活に支障が出るので簡単な表記にしました。

「閉める」も読めないので、フリガナを振ったのですが、フリガナが理解できていないようです。

認知症の「失語」という視点だけで書きましたが、もうひとつ別の視点でも考えておいたほうがいいよという話をここからします。

認知症による失語なのか、そもそも見えていないのか

先ほどの「午後」はわたしの手書き文字で、小さくて読めない可能性もあるのですが、そもそも目が見えてない可能性もあるのです。

2か月に1回、緑内障の通院をしているので、母の視野は確保できているのですが、80歳が近づき、白内障の症状も強く出始める時期です。また視力も落ちているので「読めないのではなく、見えてない」可能性も考えておかないといけません。

メガネを失くすことが増えた母ですが、さらにメガネを掛けるのが面倒になっているようです。メガネ、視力、白内障、緑内障、文字が読めない理由は、高齢者の場合、認知症で言葉を思い出せないだけではなく、こうした要素も考えられます。

そもそも漢字自体を読めない、思い出せない、言葉の意味が分からないタイプの失語なのか、目が見えていないのか。認知症介護をしていると、ついつい認知症だからとすべて考えがちですが、目の衰えにも注目しておいたほうがいいよ!というお話でした。

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今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか