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離れて暮らす認知症の母を東京で見守っていたときに起きた2つのこと

わたしが東京に居て、認知症の母が岩手の実家に居るときは見守りカメラでの見守りになります。母の生存確認ができる安心感は大きいのですが、一方で止めたい行動を止められないもどかしさもありまして……。

久しぶりに入った母の過食スイッチ

母はご飯を食べたことを忘れるので、過食になりがちです。離れているときは最低限の食材を冷蔵庫に入れるようにして、それ以外の食材(調味料を含む)はすべて鍵のかかった食糧庫か同じくロックされた野菜室に入れています。

また飲料のサイズダウンもしていて、過去には1リットルのパックジュースの一気飲みもあって、その後の失禁処理が大変になるので、今は200mlのパックジュースとか、300mlのポカリとかそういうのしか置いていません。

見守りカメラに映った母が飲んでいたのは、3本のペットボトルでした。何で3本を次々と飲むのだろうと思いつつ、ラベルを見るとポカリスエットだったので、夜の失禁のリスクは高まるけど、洗剤の誤飲よりはましかなと思っていたら、1本だけラベルが違っていました。

母が飲んでいたのは、そうめんつゆ。麦茶と間違えて飲んだわけではなく、通常であれば冷蔵室ではなく、ロックのかかった野菜室に入っているはずのものです。実家にはたくさんの介護職の方がいらっしゃるので、どなたかが冷蔵室に入れてしまったのでしょう。

そうめんつゆのペットボトルを直接口でグイッと飲んだものの、さすがにしょっぱいと感じたのか、一口で終了。塩分が高そうであまり飲んで欲しくなかったので、たまたま実家に来た妹にそうめんつゆを逃がしてもらいました。

台所が泡まみれになっていた

台所には、食器を洗うスポンジを置いています。

母は全く料理ができなくなってしまいましたが、洗い物はやる気があります。でも洗剤をつけないとか、泡を洗い流さないとか、厳密には洗い物もできていないのですが、やる気を尊重してそうしています。

そのスポンジをふきんとして使うため、台所が泡まみれになってしまいました。台所はカメラの映像上も、事情を知らない人にも一見キレイには見えるのですが、ふきんで拭き取ると泡立つのです。

そこに母が食材を置いて食べたらまずいので、スポンジも置かないようにしたほうがいいと思い始めました。わたしが帰省したら食器を洗ってもらいますが、それ以外は制限をかけたほうがいいのかもしれません。

見守りカメラがある分、もどかしいところもあるのですが、可能な限り在宅で介護を続けていこうと思っているので、もどかしさともうまく折り合いをつけていくつもりです。

今日もしれっと、しれっと。


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2件のコメント

こんにちは。
見守りカメラは、お母さまの異変や命の危険回避には、無くてはならないツールだと思います。また日常の様子から、お母さまのQOL上昇に、どれほど役立っているかは言うまでもありません。
しかし、見えてしまうことのもどかしさも、とてもよくわかります…。知らなければこちらもイライラしないし、もどかしく思うこともなく、介護者の気持ちも安定し、少しでも介護対象者に優しくできるかも知れません。
くどひろさんのように岩手と東京は、直ぐに駆けつけられる距離ではなく、異変の際はヘルパーさんや妹さんに連絡するのが精一杯かと思います。
しかし私は車で30分の距離ですし、私かヘルパーさんのどちらかが毎日母の家を訪れ夕食準備などしています。くどひろさんの介護ツールを見て、何度も見守りカメラを導入しようか悩みましたが、未だに設置していません。実母は認知症はなく、特に障害や持病も無いですが、さすがに95歳ですから相応の物忘れや足腰など弱っています。それでも施設入居は拒否しているので、自宅で最後まで過ごせたらと思います。見守りカメラがあると、お互いに安心かもしれませんが、つい気になって頻繁に見そうで、私の精神的負担が爆増したり、たまたま見ていなかった時に異変があった際に「私さえ見ていれば」と後悔しそうで、カメラ設置に至りません。毎日、ヘルパーさんや私が行くのだから、それで十分ではないかと思っています。…こんな娘は冷たいのでしょうか…などとも感じることがあります。
「見守り」にキリはありませんね…。くどひろさんの細やかな見守りには、本当に感動します。
長文、失礼しました。

かみゅさま

見守りカメラは居間や寝室以外、例えば訪問者(侵入者)の確認でも活躍しています。
またできるだけ見る機会を減らすよう、あるエリアに母が入ったら通知が来るような設定にしています。
とはいえ、やはり弄便などが映ると、どうにもできないので本当にもどかしいですね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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