NHKあさイチで、ほんの10分程度でしたがとりあげられたテーマが、『認知症・本人が語るホームページ』 でした。
運営しているのは、「NPO 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン」。イギリスのオックスフォード大学で作られている、Dipexをモデルにした日本版です。DipexはDatabase of Individual Patient Experiencesの略で、直訳しちゃうと、”個々の患者さんの経験や体験談のデータベース” となります。
認知症はもちろんのこと、乳がん、前立腺がんについて、患者自身の体験談はもちろんのこと、患者を介護する家族の体験談が、動画、テキスト、音声などで紹介されています。認知症は2013年7月からスタート、認知症本人が自らの認知症について語るというのは、とても珍しいのではないでしょうか?
認知症と診断された時の ”本人” の気持ちを、”本人が” 語っています。元々脳神経外科の医師で若年性アルツハイマーになった方が、診断された時の状況を語っていたり、認知症を自ら公表する時の思い、介護する側としてご近所に伝える時の思い などなど、みなさんもご記憶にあるであろう、あの瞬間の体験談の数々です。
体験談自体はものすごく短くて、1分~4分程度。文字起こしも忠実なので、”えー”、”あのー” といったなかなか言葉が出てこない認知症の方の ”間” も文字で表現されています。もっと長くてもいいかなぁ~と、個人的には思います。体験談は本当に勉強になりますが、このディペックス・ジャパンさんから、”別の意味” で学んだことが2つほどありました。
体験談の語りに触れることの意味
このディペックス・ジャパンさんは、専門の訓練を受けたスタッフがインタビューし、医療の専門家や患者会のチェックを受けてネット公開しています。ネット上にたくさんの情報があふれていますが、確かにどれが信頼できるかと言われると難しいです。その信頼を得られるような工夫をされているのが、当たり前のようでネット社会では当たり前ではないと思います。
ディペックス・ジャパンさんのサイトにもありますが、体験談って医学書に載ってない日常生活の悩みや解決方法を知ることができる と。言われて、はっ! となる言葉でした。これをもうちょっと具体的に言葉にしたのが、2つ目です。
ナラティブ・ベースド・メディスン(Narrative Based Medicine) という考え方
ナラティブ・ベースド・メディスンとは、“当事者・体験者の語りに基づいた医療” という意味です。良い医療とは、当事者・体験者の思いや語りに基づいて提供されるべきで、近年注目されている考え方です。
このブログの意味とは?
ブログに自分自身の介護体験談を書きつづるという行為はまさに、ナラティブ・ベースド・メディスンの基になるものだし、医学書を自ら作っているようなものではないかと。ディペックス・ジャパンさんのサイトを見て、ブログを続ける意味をまた見つけたような気がします。
認知症自体、特にこのナラティブ・ベースド・メディスンという考え方にとてもマッチしています。我が家はコウノメソッドにお世話になっているわけですが、メソッドの中にも、”世の中で最も認知症を知らないのは医師である” という言葉があります。医師が病気を分かっていない、医学書もあてにならない・・・何を頼りにするかといえば、みなさんの体験談しかないわけです。
認知症はアルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性で全く違いますし、年齢や生活環境、家族構成によっても変わってきます。しかも現時点で根治しないわけですから、これっ!っていう認知症の特効薬がない今、ひたすら体験談を積み上げるのが、ある意味本当の医療なんだろうなと。
このブログの下記に、”認知症” というボタンがあります。このボタンを押すと、にほんブログ村という認知症ブログを書いているたくさんの人たちのところへ飛びます。こちらのみなさんもまさに、ナラティブ・ベースド・メディスンの礎を作っている方々であります。にほんブログ村自体が、認知症の医学書って事になりますよね??
今日もしれっと、しれっと。
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