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アルツハイマー型認知症の「4つの進行レベル」とは?

認知症 進行

認知症の進行は、軽度 → 中等度 → やや高度 → 高度

我が家は祖母がアルツハイマー型認知症なので、このタイプに特に興味があります。認知症の約半分が、このアルツハイマー型認知症と言われています。進行レベルには個人差があり、今日は 「進行レベルの4段階」 についてのお話です。

ネタ元はBSジャパン「教えて!ドクター家族の健康」ですが、関連情報も加えて解説していきます。

アルツハイマー型認知症には4つのステップがあり、軽度→中等度→やや高度→高度 と進行していきます。各ステップで認知症の方が、どんな行動を起こすのかを見ていきましょう!

軽度

  1. 夕食の段取り、家計の管理、買い物に支障をきたす
  2. 買い物で必要なものを、必要なだけ買う事ができない
  3. 誰かがついていないと、買い物勘定を正しく払えない
  4. 自分で衣服を選んで着る、入浴など家庭生活はなんとかなるが、社会生活で困ることがある

初期とも言われる軽度認知症は、全体の3割程度で全国で160万人いらっしゃいます。うちの母がこの軽度レベルで、買い物は余計なものを買い、メモを書いてお店に行っても全然違うものを買ってきます。

冷蔵庫にあるもので作る分には大丈夫ですが、献立を考えることができません。小銭をうまく使えずに、財布にどんどん貯まっていくという事も起こります。

中等度

  1. 介助なしでは適切な衣服を選んで着ることができない
  2. つりあいのとれない組み合わせで衣服を着る
  3. 買い物を一人ですることができない
  4. 毎日の入浴を忘れることがある、自分で体をきちんと洗う事はできる
  5. 家庭生活でいろいろなことを1人でできなくなり始める

軽度との違いが微妙ですが、衣服という見た目で分かるのがひとつポイントです。また注意力が散漫なところがみられ、母がたまに中等度に踏み込む事もあります。風呂には、1年近く入ってないです。(症状には波があります)

やや高度

  1. 寝巻きの上に普段着を重ねてきてしまう、靴の左右を間違う
  2. 入浴を嫌がる、体をうまく洗えない、風呂から出て体をきちんとふく事ができない
  3. トイレの水を流せない
  4. 尿便失禁がみられる、施設入所の可能性が高まる

祖母がこのステップです。寝巻きの上に普段着をきます・・・これって認知症特有の症状なんですね。トイレの水は流せないし、失禁もあります。数年このレベルを維持していて、次のステップへは移行しないんじゃないかな?って思ってます。

高度

  1. 言葉が途切れ途切れになる、完全な文章を話せなくなる、日常会話ができない
  2. 歩行能力の喪失、歩くのが難しい
  3. 介助なしでイスに座れない
  4. 笑う能力の喪失、嚥下運動は保たれる
  5. 意識の低下、昏睡

4つの進行レベルの 「スピード」 は?

軽度から中度、中度から高度への進行に要する期間は、2年~3年。全経過で10年~15年、若い方の認知症は各段階1年で進みます。

我が家に当てはめると、祖母は89歳でやや高度の認知症ですが、ここ数年変化はありません。一方で医学的にも若いと言われた69歳の母は、軽度の認知症ですがスピードはゆっくりでキープできています。

上記は一般例であり、個人差がかなりあります。祖母は高度までいってませんし、全経過=寿命ということではありません。ケア方法を工夫したり、お薬を処方することで緩やかになります。

4つの進行レベルと 「要介護度」 との違い

4つの進行レベルは、「要介護度」 とは違うものです。認知症が重度だと介護ランク(要介護1など)は高くなりますが、軽度だから要介護1という事ではありません。必ずしもリンクしません。

介護施設を検討する時に、認知症の方の受け入れ可否がまずありますが、要介護度に加えて、この進行レベルも抑えておくといいです。介護施設のタイプは有料老人ホーム、サ高住など様々です。

認知症は特別な条件にあたるので、【LIFULL介護】 で当てはまる介護施設の種類をチェックしてみてください。

「認知症の受診」 に踏み切るまでにかかる時間がひどい!

アルツハイマー型認知症の発見のきっかけは、

・もの忘れが多くなる
・同じこと何回も言う
・怒りっぽくなる
・『えっ!』 と感じることが多くなってきた
・意欲がなくなってきた

というのを、家族がいかに早く気づくかが重要です。しかし、気づいてから1年以内の受診はたったの1割です。

2年~3年経って受診というのが平均で、中には7年~8年経って受診という強者もいます。もの忘れは年相応に起きるからなかなか気づかない、だから受診しないということです。

MCI(軽度認知障害)の可能性も

ひょっとすると、認知症予備軍と言われるMCI(軽度認知障害)の可能性もあります。アメリカでは5割が認知症を発症、4割が現状維持、1割が回復というデータがあります。

簡単なテストで、「あたまの健康チェック」というものがあります。10分の電話によるテストで、「認知症ねっと」で購入できます。97%の正確性を実現しています。ムリに連れていくことができない場合、母の日や父の日のプレゼントとして、テストを受けてもらうと効果的です。

今日もしれっと、しれっと。

 


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東京と岩手の遠距離「在宅」介護を、10年以上続けられている理由のひとつが道具です。わたしが使ってきた道具を中心に、介護保険の杖や介護ベッドなど福祉用具も含め、介護者の皆さんがラクになる環境を実現するための本になっています。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(79歳・要介護3)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて11年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか