「子宮頸がんの手術」が決まった日のはなし

コウノメソッド実践医

まずは40歳の今、遠距離介護に関わることになった ”きっかけ” から、書いていきたいと思います!

祖母(89歳)は10年くらい前から認知症で、週3回のデイサービスを利用。母(69歳)との老々介護で地方都市で生活してきました。母も、若干認知症の気配を感じながらも、わたしは東京で普通に仕事をしていました。妹は嫁いでいるのですが、同じ県内在住。少し離れているため1ヶ月に1回程度、実家に帰るというそんな生活が数年間続いていました。

11月中旬、自宅で祖母が大量に出血、慌てた母が救急車を呼ぶという事が起きました。祖母は『こっちにくるな!』と叫んだそうです。母曰く、『いくつになっても、女なんだね』と。そのまま近くの産婦人科に搬送され、そこでも出血、さらに大きい病院へ転送されました。検査結果を見ないとなんとも言えないけど、子宮頸がんの疑いがあるということで、一旦終わりました。

ここでひとつ分かった事が、母の認知症は思ったより進んでいるということでした。祖母の入院手続きが進められないのです。書類もらったのに、ひとつも書けてない・・・ということで、東京にいる自分と病院とで電話のやりとり、妹はそれを現地で実行する そんな役割分担になりました。

妹は母を怒って、『書類まだできてないの!』 という有り様。今となっては認知症の人にもっともやってはいけない対応を、当時妹はやっていたので、今後はしないようにお願いしました。(いろいろと認知症の本を、読んではいたので)

次の日に妹は医師より、『かなり進行してる子宮頸がんで間違いないけど、検査をしてみないと分からない』という話、『高齢のため、手術をした場合にさまざまなリスクを伴う』という話、『手術中もし何かあっても、心臓マッサージを行わない(高齢で骨折するし、延命もそんなに効果がない)』などなど説明を受けました。

わたしはその話を職場の廊下で、同僚にばれないように聞きました。管理職という立場もあって、同僚やチームのみんなには悟られないようにしないといけないので平然を装いつつ、どんな時も携帯は持ち、電話が鳴ったら足音を立てずに廊下へ超ダッシュ!そんな感じでした。

当時まったくがんの知識のないわたしは、『末期ガン』というその響きだけで、なんかやばいなぁ・・・ それしかなかったです。幸い仕事がめちゃくちゃ忙しく、子宮頸がんの事も一瞬忘れるくらいでありがたかったのですが、会社を出るとすぐ 『末期ガン』・・・がーん! そんな感じで自宅に戻り、次の週の深夜バスのチケットをおさえました。

実家に帰るまでの1週間、そこからモーレツにいろんな事をネットで調べ始めるのでした~

今日この記事を書いてみて、明るく語るのって難しいなぁ~ ってのが分かりました。 アハハ。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか