認知症の親が株式投資をしていたら『たくす株』はありかも?

先日、日経優秀製品・サービス賞2021のサイトを見ていたところ、日経ヴェリタス賞に目が留まりました。マネックス証券の株式管理サービス『たくす株』です。

2021年から始まった『たくす株』は、もし自分が認知症と診断されたら、申込時に指定した代理人である配偶者や子どもが、代わりに株式売却や出金(月1回、50万上限)を行えます。認知症になるまでの間は、もちろん自分で「たくす株専用口座」で株式投資を継続できます。

わたしも株式投資をするので、なるほどな!と思ったのと、介護中にある苦い経験をしたので、サービスについてさらに調べてみました。

認知症の祖母の株式投資

わたしは祖母の成年後見人になった際、すべての財産状況を調査するために、証券会社に株式が残ってないかを調査依頼しました。なぜ調査したかというと、わたしが小さい頃に証券会社のDMをポストで見た記憶があったからです。

残念ながらお宝発見とはなりませんでしたが、実は父の時も似たようなことがありました。父は認知症ではなかったのですが、ICUに居た際に父の介護費用が必要になり、父の部屋をくまなく調べました。

するとストックオプションで勤めていた会社の株を持っていて、取得時の株価も分かったので、すぐにスマホで現在株価を調べて歓喜!その後すぐに売却&出金の履歴を確認し、お金のない父の介護がスタートした苦い思い出があります。

株を持っているだけで、介護費用が捻出できるんじゃないかっていう夢を持った、わたしと同じ介護者の方、きっといると思います。

たくす株の手数料は?

認知症の親が仮に1000万円の現金を持っていた状態で成年後見制度を利用すると、弁護士や司法書士などの専門職後見人に支払う報酬は月3万~4万と言われていて、これを親が亡くなるまでの間、払い続けないといけません。

ただ、ある程度まとまった資産があれば、地域によっては後見制度支援信託を使いなさいと裁判所から言われるパターンがあるので、もし認知症の人が株式を持っていたら、場合によっては売却して現金化(個別で検討するらしい)するケースもありそうです。

裁判所としては株式は下落のリスクがあるので、認知症の人の財産を守る意味でそうなると思うのですが、家族の立場ではどうでしょう?

株は今売らないで、長期保有しておけば上がると思う方いますよね。あるいは、介護施設の利用はもうちょっと先だから、あと数年保有しておきたいと考える方には、たくす株のほうがよさそうです。

たくす株にも、しっかり手数料があります。代理状態になってからは、管理報酬が月2200円。あとは代理権発行時に、時価総額の1.65%。もし1000万円の時価総額なら、165,000円。あれ? 後見制度支援信託を利用したときの手数料と、そんなに差はない感じです。

手数料など吟味は必要になりそうですが、相続対策にも対応していますし、成年後見制度を回避したい人も多いはずなので、選択肢のひとつとして知っておくと良さそうです。



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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか