その視点なかった!新刊『認知症家族に寄り添う介護しやすい家づくり』の感想

トンガの噴火による津波の影響で避難された岩手県沿岸部の皆さまは、寒い深夜の避難所への移動、きっと大変だったと思います。

内陸部で海のない盛岡市で寝ていたわたしのスマホも「津波です!」と枕元ですごい音が鳴って飛び起きたのですが、沿岸部の親族、友人知人が内陸にたくさんいらっしゃるから、アラートを出すのかなと勝手に解釈しつつ、しばらくニュースを見てまた眠りました。

昨年末に発売になったばかりの新刊『認知症家族に寄り添う介護しやすい家づくり』(日刊工業新聞社)を購入して読んでみたのですが、とても興味深い本だったのでご紹介します!

本を購入するきっかけ

認知症関連の本は即購入するか、図書館で借りて1回様子を見てから、購入を検討するかのどちらかなのですが、この本はタイトルだけで購入を決めました。

認知症の本を読み過ぎてしまったせいか、症状の普通の説明とかでは満足しなくなってます。この本は認知症介護の視点から見た、家の間取りやリフォームにフォーカスしているのが最大の特徴で、本の1部で取り上げられることはあっても、ここまで特化した本は見たことがありません。

認知症の母の症状に大きな変化がある今だから、この本に興味を持った部分もありますが、一級建築士、インテリアコーディネーター、介護福祉士が著者というのも面白く、即買いに至りました。

本の内容と感想

宝くじが当たらなければ、実家の丸ごとリフォームの予定はないわが家ですが、それでも下記記事で書いたように、在宅介護を続けていくうえで、部分的なリフォームはいずれやると思います。


在宅介護中の方で新築やリフォームの予定がなくても、認知症の気になる症状の原因が実は、家の作りやインテリア、照明が原因だった!なんてことが、この本で見つかるんじゃないかと。

わたし自身が在宅介護の苦労の中で到達した改善点のいくつかが、この本に登場していました。例えば、下記記事と同じ話が掲載されていました。

家の間取り、玄関、キッチン、ドア、トイレ、浴室、照明、インテリアなど、家族には普通に見えていても、認知症の人には違って見えている場所がたくさんあります。目次を一部ご紹介すると、

  • 落ち着かない照明
  • 認知症とカーテン
  • 一人で行けるトイレ
  • 満腹を思い出させるキッチン
  • 記憶障害に対応した間取り
  • しまい忘れを減らす間取り

気になる見出しですよね? 本の中で「色差」(色の差)という言葉が何度も出てきますが、意外と在宅介護で対策できていないポイントです。同系色だから、認知症の人が理解できない家の箇所、結構あると思います。

カラーで図やイラストも多く、132ページと薄いのでかなり読みやすい本です。「おわりに」のところで、住宅建築やリフォームにおける住宅メーカーの姿勢が書いてあるのですが、ここで「へぇ~」って唸ってしまいました。認知症って、そういう見方されるのかと。

家という視点から認知症の症状を探ってみたい、悩みを解決したい方にオススメの本です。

認知症家族に寄り添う 介護しやすい家づくり みんなが心地よく過ごせる間取りとリフォームのヒント

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堀越 智, 山崎 努, 川野美智子, 壁 恵一
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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか