「エンディングノート」は介護者自身を守るツールであることを理解して欲しい!

認知症 エンディングノート

今日、11月4日は祖母の命日です。2013年に亡くなったので、3年が経過しました。

この時期に決まってやること、それは「エンディングノート」の大切さを記事にすることです。でも、そんなに興味を持たれないのも「エンディングノート」の特徴です。

1作目の本にも書きましたが、これを準備していたら、祖母の介護はどんなにラクだったろうという思いがあるので、1年に1回、この時期に熱く書いています!

終活ブームなので、ご自身で準備をする方も増えていて、すごくいいことです。一方で、自分で書くことができない認知症の方もいるわけで、そういう方々のサポートを介護者はしてほしい!といつも思っています。

「本人の意志(遺志)最強説」と勝手に命名しましたが、それに従って介護することで、介護者は救われます。本人の希望どおりやってあげたという達成感、難しい判断が迫られたときも本人の意志通りやれば、悩みも激減します。考えることなく、エンディングノート通りやればいいのです。

亡くなった祖母の介護をして大変だったこと

祖母の介護をしてみて、強く感じたのは「介護者が、介護される人の代理判断するのは大変で疲れる」ということです。わたしが特に大変だと思ったのは、

  • 89歳の祖母の心臓マッサージをした場合、肋骨が折れる可能性があると言われ、判断に困った
  • 子宮頸がんで余命半年と告げられ、それを祖母本人に伝えるべきか分からなかった
  • 病院に呼ばれ、延命措置をするかどうかを決めてくれと言われた
  • 祖母の介護費用は祖母のお金でと言われていたが、口座がどこにあるか分からなかった
  • 喪主として、お葬式に誰を読んだらいいか、本人から聞いてなかったので苦労した
  • どういった葬儀をしたいか聞いてなかったので、わたしの都合のいいようにやった

特に延命の判断であったり、治療方針というのは、孫のわたしには荷が重かったです。そこで娘である母に頼ったわけですが、母も認知症・・・結局、母の妹の代理判断も加えて、娘2人の意見をわたしが実現しました。

葬儀のときも、「葬式に呼ばれた、呼ばれない」というつまらない言い争いが、親族であったりします。本人の遺志と言ってしまえば、それは最強のカードになるので、呼ばれなかった人も文句は言えません。また、香典を受け取るとお返しが必要です。もし遺志で受け取らないと宣言しておけば、お返しも要りません。

祖母の命日が来るたびに、これで本当によかったのかなぁという思いがよみがえります。やりきった感もあるし、後悔することもあります。その後悔をしたくないので、毎年命日付近で、母の延命措置、介護方針、葬儀についての希望を聞いて、アップデートしています。

わたしみたいな後悔を、ブログを読んでいる方もする必要はありません。ぜひ、エンディングノートを書いてみてください。そんな縁起でもないとか、まだ先のこととか言わないで、介護者自身を守るツールとして書いてほしいです。

母の今年の希望

昨年と大きく変わっていないのですが、ふだんは施設に入りたくないという母が急に、

あんたたちに迷惑かけたくないから、どうしようもなくなったら病院や施設がいい

と言ったことに、ちょっとびっくりしました。

昔から、こういう考えの母でした。自分のことより、子ども優先な人でした。今回書いたエンディングノートも、一貫してそういう主張でした。葬儀はムダにお金かけなくていいし、喪主として大変だから、家族葬でいいと言ってます。

黙って聞いていたら、なんとなく認知症になる前の母親がそこにいるような錯覚に陥りました。最近は作話が増えてきて、事実がなんだか分からなくなることも多いのですが、この話をしていたときの母は、以前の母親でした。

介護者だって、明日何があるか分かりません。もしわたしが死んだら、妹が介護をしなければなりません。そんなとき、このエンディングノートがあれば、重くつらい代理判断をすることなく、しれっと前に進めるのです。

ぜひ、エンディングノートを書いてみてください。できれば、うちのように特別な日を使って、毎年アップデートしてみてください。母も饒舌になってきて、結局1時間30分くらいかけてノートを書きました。思いは理解したので、もしそういうステップに移行したら、確実にこれらを実行していきたいと思っています。

病気の告知、延命治療、介護方針、葬儀の中身、お墓、戒名・・・意外とやることは多いです。そして、介護者=喪主ってことも多いと思いますので、葬儀屋さんもなんとなく検討しておくとラクです。

うちが使っているエンディングノートは一番売れているこれで、写真のとおりコピーして上書きしてます。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか