末期がんの家族への「余命告知」のはなし

遠距離介護をしているとはいえ、祖母(89歳)の入院や家族説明という大事な時には、仕事どころではありません。かなり重要な会議を休むことを会社、同僚に伝え、深夜バスで実家へ向かいました。深夜バスの移動って、思っている以上に疲れるんですよね・・・これはまたの機会に書くとして

妹から前もって、病状については聞いていたのですが、実際その紙を読むと、かなりショッキングな内容でした。

・子宮頸がんも初期のものではなく、進行したもので根治は困難と考えます
・手術中、突然の大量出血により、亡くなることもあります。その際は心臓マッサージは行いません
・本人にとって苦痛にならないような対応にします
・入院が長引くことで、足腰が弱り、今できていることもできなくなる可能性があります

口頭では余命で3年から4年と聞いていて、89年生きてきたから、まだ末期ガンでも結構生きられる!って思ったんですが、89歳という高齢で手術をするというのは、これだけのリスクが伴うんだと、改めて気づかされました。

ここまでは1人目の先生の話で、わたしが東京からかけつけるということで、また別の先生が現れ、わたし、妹、医師、看護師長、看護師の5名で家族説明が行われました。そこで子宮のレントゲンを見せられたのですが、子宮の大部分をがんが覆い尽くしています・・・・言葉がさすがに出ません。

そこで先生が放った言葉が、まるでドラマの1シーンのようでした。

『おばあさんの余命は、半年~1年と考えます。ステージⅢaという末期がんの可能性が90%以上で、病理検査結果で確定します』

えっ、3年~4年の余命と聞いていたのに、この先生はまたとんでもなく短い時間を・・・ 今が11月だからゴールデンウィークまでしか生きられないってこと?告知体験がない自分は、なんとも言えない気持ちと、これってどこかで見たことある・・・ドラマだ!と訳わからない事を考えました。

『がんの治療は放射線、抗がん剤、外科手術が3大療法なのですが、89歳という高齢を考えると体力的に放射線しか治療できません。

確かになぁ・・抗がん剤は体力消耗するという話を聞くし、結局は治る見込みはなく、いかにこの末期の子宮頸がんと上手につきあって長生きするか しか選択肢はないんだなと。そして祖母は認知症。ほとんど悩むことなく、本人には告知しない方向で行く事に決めました。

”がんで死ぬというのは、実はすばらしいこと なぜかというと、人生の終わりまでの期間がある程度分かるから、それまでにやり残した事など準備ができるから という話” をどこかで聞いたことがあります。それを思い出しながら、その日の深夜バスに揺られ東京へ戻ったのでした・・・早朝に着いて、そのまま満員電車に揺られ、職場へ向かいました。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか