認知症の人が乾いていない洗濯物を取り込むときの対処法

洗濯物

2013年の自分のブログを読んでみても、母は当時から乾いていない洗濯物を取り込む習慣があることが分かる。

朝9時に洗濯が終わり、10分かけてピンチハンガー(物干し)に、脱水の終わった洗濯物を吊るす。

母は握力が弱いので、この作業がリハビリになる。だからわたしは、洗濯が終わった洗濯物を、母の目につく場所に置くだけでいい。

もしわたしがそれを忘れると、洗濯機の中に洗濯物が何日か放置され、後日、異臭を放って発見されることになる。

母が洗濯物をハンガーに吊るし終わり、1時間ほどテレビを見る。

そのままテレビを見てくれればいいのだが、母は外に干してある洗濯物に気づき、すぐ取り込む。

わずか1時間でも、夏はすぐ乾くからいいが、春・秋・冬は乾かない。それでも母は洗濯物を取り込み、しかも濡れたまま畳むこともある。

ビジョビジョのタオルはさすがに取り込まないが、軽く湿った程度ならガンガン取り込み、畳む。

そのタオルを、お風呂あがりに使ってしまったら地獄。タオルに顔を埋めた瞬間、世界は変わる。

乾いていない洗濯物を取り込む対処法

同じような認知症の症状で困っている人がいるか調べたら、Yahoo!知恵袋にあった。

認知症の父が乾いていない洗濯物を取り込んでしまいます。
貼り紙もしましたが見えていないのか見えていても無視なのか変わりませんでした。どうしたらいいでしょうか?

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10165236695

どんな小さな認知症の症状も、先人たちは経験済みなのだ。

回答で多かったのが、地域包括支援センターや市区町村に相談して!というもの。認知症の症状で困ったら、包括に相談という発想がわたしにはないので、少し驚く。

コインランドリーを使う、ベランダに簡易錠をする がベストアンサーになっていたが、わたしもどうしても選べと言われたら、これをベストアンサーにする。

コインランドリーの乾燥機は、冬場は使っている。簡易錠は、うちの家の構造上つけられないので、こちらはできなかった。

諦めて、もう一度干すという回答もあった。うちでも実践済みだが、残念ながら濡れたまま取り込んでしまい、永遠に終わらない。

結局、母の目につかないところで洗濯物を干すという、超シンプルな方法にした。わたしの部屋、母があまりこない2階でしっかり干し、乾いたら母に洗濯物を畳んでもらう。

ちょっと面倒だが、やむを得ない。また遠距離介護なので、ひとりで生活している時はどうしようもない。

濡れたままの洗濯物を取りこむ原因

なぜ、認知症の母が乾いていない洗濯物を取り込むのか、分かった気がする。

  • 何時に干したか分からない(時間の見当識障害)
  • 洗濯物は取り込むものというスイッチが、見ただけで入る
  • 尿便失禁の恥ずかしいという感覚だけは残っている(事実は忘れる)

母は、洗濯物=恥ずかしいもの という感覚だけは残っていると推測する。子どもがおねしょをして、外に布団を干し、近所の子どもがバカにするアニメシーンみたいなものかなと。

母はわたしが布団を干しても、洗濯物と同じようにすぐ取り込むことからも、きっとそのイメージがあると思う。近所からバカにされることはないが、幼少期から異様に近所を気にして育った母にはきっと、そう感じられるのだろう。

最近、ズボンに便がついたまま、天日干しをすることもある。わたしはビニール手袋をして、ズボンを裏返して確認するのが、日課になっている。ひどい時は、そのままの状態で乾いていることもある・・・。

遠距離介護でひとり暮らしだから、医療・介護職の方々も臭いに気づいていることもあるかもしれない。何度か確認したことはあるが、滞在時間が長くない、あるいは訪問時は問題なかったなどの理由で、指摘を受けたことは1度もない。

真冬でも家中の窓を開けまくる母なのだが、便失禁したという事実は忘れていても、臭いが充満しているかもという感覚はあるから、こういう行動になってしまうのだと思う。

隠して干すのも面倒な場合は、母がデイサービスに行っている間に洗濯を終わらせ、帰ってくる頃には乾いている状態にしておく。むしろ、こっちで対処していることのほうが多いかも。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか