認知症の母を歯医者へ連れて行けばいい話がこじれすぎてしまったワケ

入れ歯

うぎゃー、口の中がカビで真っ白って、どういうこと??

認知症の人の「入れ歯」に注意!口腔カンジダに母がなりました! という記事を書いてから、わたしは母の口の中を定期的にチェックするようになりました。

最低週1回はポリデントで入れ歯洗浄をしていますし、デイサービスにお願いをして、入れ歯の泡みがきで入れ歯洗浄を行っています。

その日も夕ご飯のあと、母の入れ歯を外し、わたしは薄手の手袋をして、母の入れ歯を念入りにブラッシング。その後、ポリデントでつけ置き洗いをしようと思った瞬間、

ツルン・・・ガシャン!

うわぁーーー、やっちまったーーーー、母の入れ歯を割ってしまった!!!

入れ歯を壊して大騒ぎするわけ

入れ歯を割ると、母と一緒に長期間、通院しなければなりません。

遠距離介護なので、ずっと通院はできず、一部ヘルパーさんに通院の付き添いをお願いする必要があります。

また、母は認知症ですから、入れ歯の違和感がなくなるまで、エンドレスにわたしに訴えます。

わたしの大変さばかりを書いてしまいましたが、母自身もしばらく不自由な生活を強いられます。

入れ歯を歯に固定するための留め具(金属)の部分が欠けてしまったので、その破片を持って歯医者に行き、くっつけてもらおうと考えました。

破片はどこだろう・・・排水溝の中に入ってしまったのかな・・ない!

シンクの外に飛んでいってしまったかな・・・ない!

あるはずの入れ歯の破片が、いくら探しても見つかりません。

とりあえず、母に報告して謝ることにしました。

くどひろ
ごめん、入れ歯割っちゃった!

いいのいいの、そんなに違和感ないし

謝ったあとで、わたしはあることに気づきました。

ひょっとして、自分が入れ歯を割ったのではなく、洗う前から欠けていたんじゃないかと。だから、破片がどこにもないのではと。

母がひとりで生活している間に、入れ歯を割ってしまい、そのこと自体を忘れてしまっているんじゃないかと。

もうひとつ、そもそも留め具がない状態で、入れ歯の調整が終わっているかもしれないと考えました。

母に聞いても、認知症なので記憶はありません。そして、母は違和感を感じていません。

わたしは欠けた入れ歯の写真を撮影し、ひとりで歯医者に行って写真を見てもらいました。歯医者で待つこと15分、うちの事情を理解している歯科医が出てきて、こういいました。

歯科医
息子さん、これ割れてますね
くどひろ
やっぱり!

これで歯医者の通院が確定・・・また面倒な通院生活が始まります。

毎週歯医者に連れて行けないので、岩手に居る妹の予定をLINEで確認すると

そういえばこの前、入れ歯のかけらがあって、なんだろうと思った

やはり、母は自分で入れ歯を割っていたようです。

妹は2週間先まで予定がつかず、ケアマネに連絡して、ヘルパーさんに通院の付き添いをお願いしました。

わたしが福井で講演する15分前に、歯医者から電話があり、母の病状の説明をしてもらいました。今の状態でも入れ歯は問題なく利用できるため、わたしが次回帰省する際に、改めて治療します。

母が「入れ歯割ったから、歯医者連れてって」と言ってくれれば、ここまでこじれはしなかったのですが・・・。さすがにそれはできないよね、分かってる。

ただ入れ歯が欠けたというだけのお話ですが、ここまで話を膨らませてくれた母に感謝です。認知症介護、面白いですね~

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか