成年後見人になるための書類作成の方法とは?

はじめての成年後見制度ということで、知ったきっかけからスタートして、書類作成をして裁判所に持っていくところのお話をしています。今日は裁判所へ行く前に取り揃えておくべき、必要書類の最終回です。

書類を回収しながら、自分で作成できてしまう必要書類もある

自分自身で準備できてしまうものもいくつかあります。たとえば、自分自身(後見人の候補者)の収入に関する資料です。給与明細過去3か月分のコピーを提出します、これはすぐできますね。もし負債(借用書、ローン契約書)があれば、それも債権者からもらう必要があります。

今からお話する書類の記入例は、福岡家庭裁判所の記入例がすべてを網羅されていて分かりやすいです。各都市の家庭裁判所毎に、微妙に書式フォーマットは違いますが、概ね同じなので十分に使えます。

後見開始申立書

この書類が重要と裁判所に言われました。後見人になる申立の理由や本人(わたしの場合は祖母)の生活状況について詳しく書く必要があります。申立を受付してもらった際に1時間くらい調査官の方と話しましたが、確かにこの資料を何度も読み返してました。

質問票1、2

本人(わたしの場合は祖母)と後見人候補者である私についての質問です。この書類の祖母の部分は、かなりの部分空白で提出しました。祖母は重度の認知症で、祖母がいつ結婚して、どう引っ越して、どの会社に就職したかがまったく分かりませんでした。自分自身の事に関しては、すらすら書けました。当たり前か・・

親族関係図と同意書

うちは何にももめませんでしたが、この書類は一波乱ある可能性のある書類です。うちの場合は祖母の親族がほとんど亡くなっていて、親族は祖母の娘2人と孫2人でした。誰もわたしが成年後見人の申立になることを反対せず、むしろ申し訳ない・・・っていう感じで進みました。

財産管理をするのが職務なので、それを快く思わない親族が現れることあり、財産トラブルになるケースもあるようです。同意書をもらっておくことで、あとで揉める事もなくなります。

誓約書

本人(私の場合は祖母)のために財産を使い、裁判所からの書類提出依頼には応じる 的なものにサインと押印をします。ちなみに後見人が自分自身のために、お金を流用したら捕まります。そして後見人を解任されますので、あくまで本人のために財産は使います。

財産目録と本人の収支予定表

わたしはこれに最も時間がかかりました、みなさんもこの書類は最も時間がかかる作業になると思います。そして後見人に無事なった後も、基本はこの収支を常に家計簿のようにつけ続ける必要があります。これを後見人の職務というらしく、立派なお仕事です。報酬も出ますし、本当にお仕事という感じです。

わたしの場合ですが、祖母の資産はまず不動産については、法務局で固定資産評価証明書、不動産登記簿謄本を入手していたので、これを書き写します。問題は祖母の銀行口座です。認知症の母が何を思ったか、通帳を全部捨ててしまいました!(笑) 通帳もなければ、ハンコもない。結局、不明と記載して提出し、後日無事後見人になったら、銀行を回るという・・・ 普通はこういう人いないと思います、ハハハ。

借金嫌いな祖母だったので、負債系はなかったんですが、収入(年金)がこれまたどこに年金証書があるのか・・・とにかく宝探しのような毎日でした。これを遠距離で東京と往復してやってましたから、結構ハードでして裁判所の調査官の方も 『お疲れですね・・・』 と。でも私のような方、全国にはいらっしゃいますよ。

これで後見人の書類作成はすべて終了、わたしの場合は ”不明” ”不明” ばっかりで、後見人にならないと明らかにできない事が多すぎました。結局、最初に裁判所に行って、成年後見制度の説明を聞いてから、申立をするのに1か月かかりました。申立後は裁判所から何度か電話を頂きまして、特殊事情(通帳捨てたとか)を電話で話したりしました。

申立後、審理と言って、後見人を誰にするかに2か月くらいかかります。申立した人がそのまま後見人になれればいいのですが、他の人が選ばれたりすることもあります。(親族間でトラブルとかあると、特に時間かかります) そして、無事後見人に選ばれたのですが、この後いろいろありまして・・・また次回!


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

こんにちは。任意成年後見人になるべきか迷ってこちらにやってきました。成年後見人が本当に必要になるまでなにもしないでおくか、少し迷っています。心配性すぎるのでしょうか。

黒澤さま

わたしの体感ですが、今は成年後見よりも家族信託・生前贈与のほうが注目が集まっているような気がします。わたしのブログカテゴリ「成年後見」の新しいほうの記事を読むと、きっと成年後見のイヤなところが見えてくると思います。わたしのように自分で後見人ができればいいのですが、今は7割が専門職(弁護士や行政書士など)が就任して、毎月お金を払わないといけないですからね・・・

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか