炊飯器の故障で認知症の母ができる家事がまた1つ減った話

認知症の母ができる家事は、年々少なくなっています。

かろうじてできる家事のひとつが、炊飯。できるとはいえ、1人暮らしなのに毎回3合炊いてしまいます。それをヘルパーさんが発見したら、捨てずに冷凍してくださっていた状況が続いていました。

最近、新しいヘルパーさんから炊飯器から煙が出たとの報告があって、これまで15年以上は使っていたと思われる炊飯器を諦め、新しい炊飯器を購入することにしました。

新しい炊飯器に買い替えることは、母が操作できなくなる、すなわち炊飯を諦めると同義です。今まではご飯を炊きすぎても、冷凍ご飯を釜に入れて水で解凍しても我慢してきました。時には炊飯器や米を隠して、炊き過ぎを防いだ日もありました。

しかしヘルパーさんに炊飯器を使って、母に温かいご飯を出して欲しいこともあって、新しい炊飯器を購入したのです。

新しい炊飯器は1.5合炊き

母は1人暮らしで、たまにわたしが帰ってきても最大で2人です。

3合炊きの炊飯器でも大きすぎると思ったので、新しい炊飯器は1.5合炊きとなりました。米の量が少ないからなのか、めちゃめちゃ早く炊けます。0.5合炊きで18分、1合20分、1.5合22分なので、時間のないヘルパーさんがいる間に炊けます。

1.5合炊きの炊飯器
茶碗と大きさが変わらない小さな釜

4時間以上の保温はできないなどの制限もありますが、毎回炊きたてでいいと思っているので、小型炊飯器は今の生活に合っているかもしれません。価格は4000円強でした。

また炊飯器が小さいので、台所の上の棚に収納できます。前は母の見えない別の部屋に炊飯器を隠していた時期もありましたが、今は台所に置けます。炊飯中に母はふたを開けて中を確認して危険な日もあったのですが、これだけ早炊きだと母がふたを開ける前に炊きあがります。

台所の上の棚に収納できる炊飯器

試してはいないのですが、炊飯器と米を母の見えるところに置いたら、1.5合炊きの釜に3合の米を入れて研いでしまうかもしれません。それはそれで危険なので、炊飯器は母の手の届かないところに置いています。

若干の寂しさもあります、間違えていてもかろうじてできていた家事を奪うことになるので。でもこれからはこうした話が増えていきますし、受け入れて前に進まないといけないですね。何年も自立を促してきての故障なので、しょうがないです。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか