『ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!』の感想・書評

介護施設を間違えたらもっとボケる

「在宅介護はムリだから、介護施設に入れることにした」

わたしも亡くなった祖母を介護することになった時、この決断をしました。もし介護スタート時にこの本を読んでいたら、介護の仕方が180度違っていたかもしれない・・・そう思える本を見つけました!

長尾和宏医師と丸尾多重子さんの著書「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」は、タイトルどおり介護施設を間違うと認知症がさらに進むで!という話です。本の中で特に印象に残ったところを、いくつか引用します。

まだまだ自分で歩ける人を閉じ込める。→寝たきりになる。→口から食べられなくなる。→ボケがもっと進む。→そして胃ろうを作りましょう、という話になる。(略)そうやって、重度の要介護者を作り出している介護施設を、いっぱい見てきたよ。

ホントこういった介護施設は多いんだろうな・・・そう思いながら読みました。療養型病院でのベッドからの転落で大腿骨骨折した認知症の祖母は、胃ろうこそしませんでしたが、結果として上記に近い形になりました。介護施設選びは、認知症の薬選び以上に重要なんですよね。

改善するにはやっぱり家族の力が大きい。在宅なら良いわけでも、施設なら良いわけでもない。介護者と被介護者、二者の心を殺さずに最大限に良い方針を選び取るために、何が一番良い方法なのかを考えてほしい。

介護施設選びが終わると、介護が終わったかのような錯覚に陥りますが、実際は介護が始まっただけ。常に家族は考えて行動しないと、取り返しのつかないことになります。在宅か施設か一度決断したあとでも、状況は常に変化していきます。

評判が高かったり、名前が通っていたりすると、良いサービスが受けられると勘違いしてしまう。そんなこと、絶対にありえない!

病院も同じですよね。最終的には介護者が自分の目で見て、体験するしかないんですよね。

アポなしで突撃してみる。しかも、利用者の食事の時間を狙い撃ちする

介護施設の見学ポイントの4つのポイントのひとつです。アポなしはしたことなかったな・・・そういえば母が通っているデイは、いつでもどうぞ!というので、いい施設なんだろうな・・・職員と利用者がバラバラに食事しているところもお薦めできない、見学時間に取り繕う介護施設もあるのでアポなしを薦めています。

介護施設にはこういうリスクがあるという事を最初に分かっておくと、介護施設の選び方もその後の介護者としての関わり方もだいぶ変わってくるはずです。

施設介護を検討する人が、まず最初に読んで欲しい本です!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

長尾 和宏, 丸尾 多重子
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今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか