認知症の母がトイレでリハパンを洗うので新しい対策をした話

先日、認知症の母がリハビリパンツを水洗いしてできる「リハパン玉」の話をブログに書きました。

リハパン玉とは、母がリハパンを布のパンツのように水洗いした結果、リハパンが水を吸収してできるバレーボールサイズの玉を、わたしが名付けました。

リハパン玉は大量の水を吸って、おそらく1kg弱はあると思います。リハパンの吸収力はすばらしいと思いながら、いつも廃棄しています。

認知症の母がリハパンを洗う理由

そもそも母がリハパンを洗う理由は、布のパンツと同じように扱うので便などの汚れがついたら水で洗わないといけないと考えるから、また布のパンツと同じように洗濯してまた履くつもりでいるからです。重度の認知症なので、やむを得ません。

どこで洗うかというと、ひとつは台所です。そんなところでリハパンを洗って欲しくないわけですが、母が水を使える場所はそこしかありません。以前はお風呂場も開放していたのですが、母がお風呂とトイレを間違えて、極寒の浴室に座っていた事件があってから、鍵を掛けました。

もうひとつが水洗トイレです。トイレ後方に手を洗う水が出る場所があり、そこで手を洗わずにリハパンを洗います。そしてリハパン玉が、トイレの便座の後ろから出てくるのです。

トイレの中でリハパンを洗うと、別の弊害があります。それはトイレの便座や壁、トイレットペーパーホルダーなどに便がついているのです。リハパンを洗うときに直接便を触り、手足が不自由なので、トイレの壁に手をついて立ったり座ったり向きを変えたりして、被害が拡大します。

どうしてそんな場所に便がつくのってくらい、この前は大変なことになっていました。初めての話ではないのでしれっと掃除をするわけですが、リハパンを狭いトイレで洗おうとするから、被害が拡大すると予測しました。

リハパンを洗わない対策

そこでテスト的に、水洗トイレの手を洗う水を止めました。タンクのふたを外して、水栓とつながっているホースを外すだけの簡単な工事で、自分でやりました。

ここから水が出ないようにしました

これをやるとトイレの中で手が洗えなくなるので、わたしは不便です。母は元々トイレで手を洗ったり、洗わなかったりなので、わたしほどは影響がないと思います。

これで母がトイレの中でリハパンを洗うことはなくなりますし、トイレの中で便と格闘することはなくなると思います。またリハパン玉を見つける機会も減ると思います。でも今度は台所で洗うようになって、別の被害が拡大するかもしれないし、ゴミ袋に廃棄してくれるようになるかもしれません。

こういった在宅介護の格闘をしているおうち、全国にあるのかな? たぶんあると思います。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

お母様と同年齢の者です。今は介護される側からの視点で、読ませて戴いています。色々教えられ、そして考えさせられています。
高齢者が多くなって行くこれからの時代、やがて介護を受ける私達こそ、くどひろさんのコラムを読み、お話しを聞く事が重要だと思いつつ、2回目のお便りをしています。

だんだん大変になって行くお母様の介護…どうぞお身体を大切になさって日々をお過ごし下さい。

ガリラヤの風さま

2つ目のコメント、ありがとうございます!介護はいろいろありますが、健康で元気に過ごしております。

重度の認知症の母の介護の話をあまりオブラートに包むことなく、ストレートに書いております。こうした発信が果たしていいのかどうかと考えることもありますが、読者がいる限りは書き続けるつもりでいます。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか