認知症の母がお風呂とトイレの場所を間違えたので対策した話

この日の盛岡の朝の最低気温は、-8℃。

めちゃ寒かったものの、前日夜に母の電気毛布をセットし、エアコンで寝室はほかほか。失禁もなく、穏やかな朝がスタートしました。洗濯かごには少量の洗濯物。翌日の洗濯でもいいくらいでしたが、いきなりの失禁で大量に洗濯する可能性もあります。

くどひろ

よしっ、洗濯しよう!

あまりに洗濯物が少なかったので、2階の自分の部屋に行って洗濯物を追加しました。1階に戻ると、母の気配がありません。居間か寝室か台所、もし居なかったらトイレですが、どこにもいません。こんな寒い日に、どこへ?

くどひろ

探す前に、洗濯機は回しておこう!

洗濯機に洗剤を入れようとすると、するはずのない場所から物音が。なに? と思ったら、洗濯機の真横にあるお風呂場に母がいました。洗濯機は脱衣所にあって、すぐ横が浴室です。

朝の浴室は、めちゃくちゃ寒い!室温計はありませんが、おそらく2℃くらいだと思います。そんな寒い場所で母は服を着たまま、ズボンだけを下ろし、お風呂の椅子に座って、バスブーツを履いていました。

このバスブーツを履いて座っていた

これ、どうしたらいいの?

シャワーヘッドを触りながら、わたしに質問してきました。こんな寒い朝に、シャワーでも浴びるの?

お風呂場とトイレを間違えた

くどひろ

ちょっとー、ここで何やってんの?

不思議な光景を見た2秒の間に、自分の頭が超高速回転したのが分かりました。どうやら母は、お風呂場とトイレの場所を間違えてしまったようです。

母は家ではお風呂に入らず、デイサービスでお風呂に入ります。だから母がお風呂を使うのは、失禁後に自分で処理するときだけで、あとは使いません。しかしこの日は失禁した形跡がなかったので、場所の間違いと判断しました。

元々、トイレとお風呂場を間違う気配は何度かあったのですが、実際に見つけたのはこれが初めてでした。

まずはズボンを履かせ、その後お風呂の椅子から立ち上がってもらおうとしたのですが、低すぎて立ち上がれません。ユニットバスについていた手すりは、母の動きに全く配慮していない場所についていて、使い物になりません。

とにかく狭いし、寒い!台所から椅子を持ってきて脱衣所に置き、その椅子を手すりにして、なんとか立ち上がることができました。

すぐに母を見つけたので、まだ用を足していませんでした。途中、漏れてしまうのではと思ったのですが、なんとかトイレに誘導できたのです。

くどひろ

ほら、これがトイレでしょ?

あら、こっちだ。わたしバカだね~

お風呂に2つの対策を行った

ひょっとすると、これまでも間違いはあったかもしれません。

認知症が重度まで進行しても50年以上も暮らしてきた家だから、お風呂とトイレを間違えずにここまで来れました。しかしこうした間違いがあっても、今は不思議ではありません。

もし母がひとりだったら、お風呂場からハイハイで冷たい脱衣場のフローリングの上を歩いて出てくることになります。立ち上がれないだけでなく、温度差によるヒートショックも心配です。
ひょっとすると、昨年末からの血圧の上下動の要因のひとつになっていたかもしれません。

早速、2つの対策を実施しました。たまたま風呂場の扉に、鍵がついていました。冬場だけは、鍵をかけておこうと思います。また「おふろ」と表示をしました。ただ貼り紙ははがしてしまうので、どれほど効果があるか分かりませんが、とりあえずはこれで様子を見ます。

お風呂の扉に鍵がついてました
はがされてしまうかもしれない「おふろ」の表示

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4件のコメント

今回の帰省の際に、カギを失くしてばかりなので部屋の取っ手近くに【カギは、元の場所に もどしましょう】のプレートを貼って来ました。こちらも何時まで貼っているかなと言っています。

@nyanko.wanko.1997さま

昔は貼り紙の効果あったんですけど、重度の認知症になると効果は激減します。でも有効な日もあるので、未だに貼っております。

お久しぶりです。
我が家も昨年介護状況が変わりました。
ついに夜間失禁(トイレが認識できず所構わずに)が始まった父の介護。
母が限界を迎える前に、施設入所となりました。
無理はしない事と、準備と家族全員のコンセンサス取ってたので、動きは早かったですv。

そして、私の収入手段も変わりました。
実家売却し、相続時精算課税制度を使って投資に。施設代を捻出してます。
くどひろさんの株コラムを見つけて、おぉ、ここでも会いましたね…と呟きました(笑)。

さて。貼紙剥がしですが、お風呂ドアにマジックでデカデカ書いてしまうのは、どうでしょう?

amyさま

早く動ける家族とそうでない家族がいますね、うちも早いほうだと思いますが気持ちの整理がつかない方も。
マジックを汚れと認識して、ずっとドアをカリカリするかもしれません。今のところははがさせていません。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか